IC運転免許証のICカード機能を活用した個人認証サービスの事業化に向けた検討・開発について

ニュースリリース/NTTデータ

2009年11月24日

株式会社NTTデータ

 株式会社NTTデータは、IC運転免許証のICカード機能を活用した、簡易かつ信頼性の高い本人認証を実現する民間企業向けサービスの事業化に向けた検討・開発を開始します。
 IC運転免許証内のICチップに記録された情報は、本人認証情報として利用することで、変偽造などの不正利用を防止し、信頼性の高い本人認証を行うことが可能です。NTTデータでは、銀行口座の開設、携帯電話の契約などといった民間サービスの領域で、IC運転免許証を活用した信頼性の高い本人認証方式の導入を支援するため、IC運転免許証をより簡易に扱うことのできる「ペアリング技術」を開発しました。NTTデータではこの技術を軸に、今後民間企業向けの個人認証サービスの事業化に向けた検討を進めます。

【背景】

 2007年より、ICチップを内蔵したIC運転免許証への切り替えが順次進んでおり、今年度中にすべての都道府県でIC運転免許証が発行される予定となっています。
 IC運転免許証では免許証の情報がICチップ内に電子的に書き込まれているため、顔写真など表面の印刷面の情報が偽変造された場合でも、ICチップ内の情報を読み出し、電子データの改ざん確認を行うことで不正な免許証を発見することができます。こうしたIC運転免許証の利点を活用することで、銀行口座の開設や携帯電話の利用契約といった、本人確認を必要とする民間のサービス等で、偽造免許証による他人名義の契約などを防止することが可能です。
 しかし、IC運転免許証内の情報を読み取るには、IC運転免許証発行時に設定された2種類の暗証番号を本人が覚えておき、そのつど読み取り機に入力する必要があり、民間のサービスにおいてはIC運転免許証内の情報を活用する際の障壁になることが想定されます。

【取り組みの概要】

 通常、IC運転免許証に格納された電子データの読み出しには、発行時に設定された2種類の暗証番号の入力が必要となりますが、このたびNTTデータでは、暗証番号入力の代わりに、本人の持つほかのICカード情報をキーとして、2枚のICカードのペアリングによるパスワード変換による個人認証を行う技術を開発しました。これは、IC運転免許証の二つの暗証番号 (PIN1、PIN2) と個人が携帯している本人特定可能な他の媒体(ICカード、おサイフケータイ®等)のIDをセンタに事前登録(ペアリング)しておくことで、IC運転免許証の電子データの読み出しを、パスワード入力の代わりに他の媒体をかざすだけで行えるようにするものです。

(注 特許出願済み 特願2009-140364号)

 NTTデータでは、この技術を用いてIC運転免許証の情報を利用する際の運用上の利便性を向上させることで、民間サービスにおいてもIC運転免許証による信頼性の高い本人認証が普及すると考えており、今後民間企業向けの個人認証サービスの事業化に向けた検討を進めます。
 企業にとっては、IC運転免許証の電子データを認証に利用することで、信頼性の高い本人認証を実施することができるほか、本人認証の証跡情報の管理業務もこれまでの紙媒体主体のものから、電子的な管理に切り替えることが可能になるなど、コンプライアンス強化・業務効率化などの面でのメリットを期待できます。
 また、IC運転免許証の利用者にとっては、2つの暗証番号を常時暗記し、そのつど入力するという煩わしさから開放されるとともに、暗証番号忘れにより本人認証が受けられない、という状況を回避することができます。

【サービスイメージ】

 今回検討・開発を進める個人認証サービスでは、改ざん確認機能、他のICカードとのペアリング機能を「認証センタ」からSaaS型のサービスとして提供することを想定しています。その他、本人確認代行、年齢確認代行、証跡管理代行といった付加サービスの提供も視野に入れています。

【図】

 本サービスの利用場面としては、以下のような利用例を想定しています。

<想定利用例1>金融機関における口座開設時の個人認証
 口座開設時において、IC運転免許証と携帯電話をかざしてデータの読み出しを行い、運転免許証券面の確認だけでなく、ICチップ内のデータを確認することで、より厳格な本人確認が実施できるとともに、読み出した電子データを本人の同意を得た上で顧客情報として活用することも可能となり、入力の負担軽減等の業務効率化にもつながることが想定されます。
<想定利用例2>コンビニエンスストアでの情報端末での個人認証
 予約商品の受け取り等において、IC運転免許証とコンビニエンスストアの会員カードをかざしてデータの読み出しを行い、利用者の本人確認を行うことで予約番号等の入力を省略し、利用者の負担軽減やなりすまし等の抑止につながることが想定されます。

【今後の展開】

 NTTデータでは、今後のIC運転免許証の普及をにらみ、本サービスを活用した新たなサービスや機能拡充のための市場ニーズの把握、制度面や運用面の関係機関との調整等、2010年度以降の本サービスの事業化に向けた検討を進めます。

注 「おサイフケータイ®」は株式会社NTTドコモの登録商標です。
注 その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部 岩内
TEL:03-5546-8051