動画共有サイトへの不正投稿を自動的に検出するサービスを開始 ~メディアコンテンツの内容を特定し不正投稿監視や広告連動機能を提供~

ニュースリリース/NTTデータ

2010年8月16日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータは、動画共有サイト事業者向けに、自社サイト上に投稿されるファイルに含まれるメディアコンテンツ(音楽や映像など)を自動的に特定し、第三者が著作権を有するコンテンツの不正投稿を監視する「コンテンツ特定サービス」の提供を8月16日より開始します。「コンテンツ特定サービス」は、サイト上にファイルが投稿される際に内容を自動的に解析し、あらかじめデータベースに登録された楽曲や動画の特徴情報と照合することでファイルに含まれている著作物を特定します。これにより、第三者が著作権を有するメディアコンテンツの不正投稿の有無を検知することが可能です。

また不正防止のみならず、コンテンツ特定結果から視聴コンテンツに関連する商品情報や広告に連動させることにより、動画共有サイト事業者の新たなサービスの展開に貢献していきます。

本サービスは、昨年10月より日本の大手動画共有サイト「ニコニコ動画注1」に対して試験運用として提供しており、そこで得られた知見を元に今回新たに動画共有サイト事業者向けに展開するものです。

背景と目的

現在、インターネットの普及に伴い、さまざまな動画共有サイトが登場し、またそれを利用してメディアコンテンツ(音楽や映像など)を第三者と共有するユーザーが増えています。それに伴い、動画共有サイト事業者では、第三者が著作権を有するコンテンツの不正投稿対策や、コンテンツを関連情報と結び付け、新たな収益モデルを構築したいといったニーズが増大しています。これまで、コンテンツの特定には、主に人手による目視確認により行われてきましたが、コンテンツ量の増大に伴い、効率的かつ高精度な自動特定システムが求められるようになりました。

そこでNTTデータは、NTTコミュニケーション科学基礎研究所注2が開発したロバストメディア探索技術(RMS技術)注3を用い、動画共有サイト事業者向けにサイト上に投稿されるメディアコンテンツを自動検知するコンテンツ特定サービスを開始しました。これまでインターネット上のコンテンツ不正流通対策については、流通状況を把握し、必要に応じて該当コンテンツの削除を動画サイト事業者側に依頼、事業者側で依頼に基づき削除を実施するのが通常でしたが、本サービスにより違法性を含むメディアコンテンツの流通を未然に防ぐことが可能となります。

また、閲覧者に対してコンテンツに関連した情報を提供することでメディアコンテンツや関連商品の購買を促進させるなど特定結果データを生かした新たなサービスが可能となります。

【図】

図1:動画共有サイト事業者向けコンテンツ特定サービスの概要

提供内容

NTTデータが提供するコンテンツ特定サービスは、メディアファイルから抽出した特徴データと、データベースに格納したオリジナルコンテンツの特徴データとを照合することにより行われます。NTTデータは、これら特徴データの抽出機能および照合機能を提供します。

具体的なサービスの流れは以下の通りです。

動画共有サイト事業者は、NTTデータが提供する特徴抽出プログラムを用いて、対象となるコンテンツから特徴データを抽出し、NTTD探索設備に登録します。次に、動画共有サイトに投稿されるメディアファイルも同様に特徴データを抽出して、NTTD探索設備に送ります。RMSシステムは、登録されたコンテンツが送られてきたファイルに含まれているかどうかを検出し、結果を動画共有サイトに返します。なお、特徴データの抽出と照合は、音と映像の両方によって行います。抽出されたデータは非可逆であり、元の素材に復元することは不可能であるため、オリジナル素材が流出する心配はありません。また、音声と映像両方の特徴データで、ファイル内容を判断するため、キーワード検知による判断とは異なり、ファイル名が変更されていた場合や、多言語化されていた場合も検知可能です。MAD動画や字幕・テロップの付与等、投稿動画特有の編集が追加されたファイルも検知できます。(図2)

【図】

図2:動画共有サイト事業者向けコンテンツ特定サービスのシステム概念図

今後の展開について

NTTデータは2008年12月にサービス開始した著作権者向け「コンテンツモニタリングサービス注4」に加え、新たに動画共有サイト向けに「コンテンツ特定サービス」を提供することで、コンテンツ流通状況の監視だけでなく、コンテンツの不正流通の抑止が実現可能となります。

NTTデータは、今回のサービス提供実績を生かし、サイト上での安心で適正なコンテンツ管理および収益向上の実現を目指して海外も含めたさまざまな動画共有サイトへのサービスの展開を図っていきます。

注釈

  • 注1ニコニコ動画

    株式会社ニワンゴが提供している、2006年に設立された動画配信関連サービス。2010年5月プレミアム会員数が80万人を突破。

  • 注2NTTコミュニケーション科学基礎研究所

    人間科学と情報科学を融合した学際的なアプローチにより新しい技術、原理、概念を創出し、情報通信サービスにつなげる基礎研究を行うNTT研究所の一つ。

  • 注3ロバストメディア探索技術(RMS技術)

    音や映像から抽出した特徴データ同士を高速に照合することで、音や映像の断片に既知の特定の音や映像が含まれているかどうかを判定できる、メディア探索技術と呼ばれる技術。音・映像ともに探索のロバスト性(品質の劣化や変化への耐性)が極めて高く、加工や編集が行われた音や映像に対しても元のコンテンツを高い確率で特定できるなどの特長がある。

  • 注4コンテンツモニタリングサービス

    著作権者・コンテンツホルダ向けに、自身のコンテンツが世界の主要動画共有サイトやP2Pにて違法流通されている状況を把握・監視するサービス。

  • 本文中に記載されている会社名、サービス名は、各社の登録商標または商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
釜崎、高橋
TEL:03-5546-8051

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
流通サービス事業本部
メディアエンターテインメント事業部
高島、荒
TEL:050-5546-8950