別紙1:グローバルITマネジメントフレームワークの概要
グローバルITマネジメントフレームワークの全体像
グローバルでの情報システムやITマネジメントの目指すべき姿は、全ての企業で画一ではなく、各社のビジネス展開のパターン等に応じて異なります。
そのため、情報システムやITマネジメントの目指す姿を検討する際には、ビジネスの目指す姿、情報システムの目指す姿、ITマネジメントの目指す姿の順に検討することにより、それぞれの目指す姿について整合性を確保することが重要であると考えられます。
本研究活動では、このアプローチに沿って、グローバルでのビジネス、情報システムおよびITマネジメントの目指す姿を検討するうえで指針として活用できるフレームワークをそれぞれ整備しました。(総称して「グローバルITマネジメントフレームワーク」と呼びます)
各フレームワークの概要と活用イメージ
1.ビジネスの検討フレームワーク(グローバルビジネス展開パターン)
ビジネスの検討フレームワークとしては、海外に事業展開している日系企業における代表的なビジネス展開のパターンを整理しました。
パターンの整理を参考に、自社のビジネス展開のパターン(あるいは目指すパターン)を検討し、情報システムやITマネジメントの目指す姿に関する検討のインプットとすることを想定しています。
2.情報システムの検討フレームワーク(グローバル情報システムの集約・統合パターン)
情報システムの検討フレームワークとしては、グローバルビジネス展開パターンごとに、最適だと考えられるシステムの集約・統合の範囲(グローバル、リージョン、ローカル)を整理しました。整理は、業務系・コーポレート系の各アプリケーション(顧客管理、財務会計、管理会計等)およびインフラ(サーバー、ネットワーク、データセンター)について実施しています。
これらのパターンの整理を参考に、自社の目指す情報システムの集約・統合のパターンを検討し、ITマネジメントの目指す姿に関する検討のインプットとすることを想定しています。
3.ITマネジメントの検討フレームワーク(グローバルITマネジメントにおける“管理の強さ”のパターン)
ITマネジメントの検討フレームワークとしては、IT戦略策定・管理やセキュリティ管理等のITマネジメントの業務領域ごとに、グローバルでの“管理の強さ”という指標を作り、管理が弱い状態から強い状態までを1~6の6段階(6つのパターン)で定義しました。
例えば、「セキュリティ管理」において、最も管理が弱い状態(“管理の強さ”が1)および最も管理が強い状態(“管理の強さ”が6)を以下のとおり定義しています。なお、“管理の強さ”が2~5についても、段階的に管理が強くなるように、それぞれ状態を定義しています。
- 最も管理が弱い状態(“管理の強さ”が1)
ローカル個別セキュリティ管理(拠点ごとに独自ポリシー・ルールを策定し、グローバルやリージョン単位での管理は実施していない状態)
- 最も管理が強い状態(“管理の強さ”が6)
グローバル統合セキュリティ管理/実行(グローバルでポリシー・ルールを一元的に策定している状態)
このような定義を「IT戦略策定・管理」、「IT予算管理」、「個別IT投資管理」、「外部委託先管理・調達管理」、「セキュリティ管理」、「IT-BCM(事業継続管理)」および「IT人材管理・配置」について行い、以下のマトリックスで整理しています。
自社におけるITマネジメントの目指す姿を検討する際に、本フレームワークをステークホルダー間の共通言語として活用することにより、スムーズなコミュニケーションを図るとともに、自社の現状と目指す姿をフレームワーク上に可視化することにより、ギャップを可視化し、目指す姿を実現するために実施すべき施策を検討するのに役立つと考えています。
なお、目指す姿を検討するうえでは、「情報システムの目指す姿」や「グローバルやリージョンでのITパートナーの有無」、「リージョン統括組織の成り立ち」等のさまざまな要素を考慮することが必要であると想定されます。目指す姿を検討するうえで考慮すべき要素については、別途ITマネジメントの業務領域ごとに整理しています。