なんばエリアにおける商業施設へのO2O2O送客サービス実証実験を開始 ~ユニバーサルオブジェクト認識の実用化に向けて~
2016年6月8日
株式会社NTTデータ
日本電信電話株式会社
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)、日本電信電話株式会社(以下:NTT)は共同で、株式会社NTTドコモ(以下:NTTドコモ)、パナソニック株式会社(以下:パナソニック)、南海電気鉄道株式会社(以下:南海電気鉄道)、株式会社髙島屋(以下:髙島屋)の協力の下、2020年に向けて「O2O2O(オーツーオーツーオー)」サービスの実証実験を6月10日より開始します。
O2O2Oとは"OOH to Online to Offline"の略称で、ユーザーに屋外の標識(OOH)を介して情報を提供し(Online)、提供情報に基づきユーザーを目的地(Offline)に案内する仕組みのことです。本実証実験では、ユーザーがOOHを本実証実験専用スマートフォンアプリケーションで読み取ることにより、近隣の商業施設に関する情報を提供し、目的地へ案内します。これによる送客効果の検証を行うとともに、NTTの「ユニバーサルオブジェクト認識」技術を用いることで、協力企業各社の認識技術を適材適所で、かつ統一的なインターフェースでのこれまでになかったおもてなしサービスの実現を目指します。
本実証実験は、NTTグループおよびパナソニックが、2015年6月に発表した業務提携注1において重点領域と位置付けている流通領域のPoC(Proof of Concept)注2施策の一環として実施します。今後、NTTグループはパナソニックとの協業を通じて、2020年に向けた訪日外国人向けおもてなしサービスの実用化を進めていきます。
背景
昨今、訪日外国人観光客が急速に増加しており、観光先進国を実現するための"おもてなし"サービスの具現化が求められています。大阪を中心とする近畿圏には、全国・関東平均を上回るペースで外国人観光客が訪れているなか、特になんばエリアは国内最大の格安航空会社(LCC)の乗り入れ空港である関西国際空港と接続しており、買い物を好むアジア圏からの旅行者が多いという特徴が見られます。このような背景から、なんばエリアを実施場所とした流通分野に軸足を置くおもてなしサービスの実証実験を行うこととしました。
実証実験の概要
実施期間 | 2016年6月10日(金)~2016年6月13日(月) 2016年6月17日(金)~2016年6月20日(月) |
---|---|
実施場所 | なんばCITY、なんばパークス、大阪タカシマヤ |
対象者 | なんばエリアを訪れる訪日外国人観光客 |
主な検証内容
本実証実験では同じデザインの屋外標識(OOH)から、最寄りの商業施設への案内(位置情報を活用)を行うことによって、消費者に購買活動を促す効果を検証します。
- 従来のOOHにO2O2Oの機能を付加することで、情報の認知から目的地までの送客を実現できること。
- OOHが持つ位置情報を活用し、タイムテーブル化された情報提供により送客効果を高められること。
- 消費者(本実証実験では訪日外国人)に対して、ピクトグラム注3を用いた情報提供手段が効果的であること。
ユーザーのメリット
ユーザーは、本実証実験専用アプリをスマートフォンにインストール/起動し、なんば駅周辺に複数設置された本実証実験専用マークのOOHにスマートフォンをかざすと、ユーザーに合わせた言語注4で近隣の商業施設におけるキャンペーン情報と、本実験の目的地である免税カウンターへの案内地図情報を得ることができます(Online)。
ユーザーは受け取った情報をもとに商業施設で買い物をした後、アプリの案内によりスムーズに免税カウンターへ進むことができます。免税カウンターではスマートフォンをライトにかざしたり、自動の位置測位を行うことで目的地にチェックインし(Offline)、特典を得ることができます。
商業施設運営事業者のメリット
商業施設の運営事業者は、従来のような看板形式以外にポスターや壁面広告など既存の販促メディアデザインに半透明のシールを貼付することでサービスの導入が可能なため、現在のデザインをほぼ損なう事なく運用を開始することが可能です。これによって、既に設置済みの販促メディアを介して店舗への送客の促進が可能になります。
またユーザーが目的地でチェックインすることによって、ユーザーが目的地に到達したことが把握できるため、ユーザーに向けて提供した情報が、どのような送客結果に結び付いたかを測ることができます。
本実証実験では、本実証実験専用マークにスマートフォンをかざした総数や、複数箇所に配置した本実証実験専用マークにおいて最もスマートフォンがかざされたマークの利用件数、一連のO2O2O送客サービスの提供によるユーザーの経由地の変化や目的地到達(チェックイン)件数によるサービスの受容性を検証します。
技術のポイント:ユニバーサルオブジェクト認識
本実証実験では、画像、可視光、音波/無線等の各種認識技術を連携させることにより、ユーザーがOOHに"かざす"行為と、目的地へのチェックイン("近づく"行為)を単一のアプリにて実現し、ユーザーの利便性向上を図ります。これを実現する技術が「ユニバーサルオブジェクト認識技術」であり、以下の特長を持ちます。
- さまざまな認識手段を統合管理するプラットフォーム・共通的なAPIを有し、さまざまなクライアントアプリから呼び出し可能
図:ユニバーサルオブジェクト認識 概念図
- 1."かざす"技術
NTTが開発した「アングルフリー物体検索技術」注5および「電子透かし技術」注6、パナソニックが開発した「光ID®技術」注7を用いて、直感的な"かざす"体験を提供します。
- 2."近づく"技術
NTTドコモが提供する「Air Stamp®」注8を用いて、目的地に到達した事を認識させる"近づく"体験を提供します。
各社の役割
NTTデータ
- 実証実験の全体構想策定と運営、およびプロジェクト管理
- 各種技術を連携させたスマートフォン用アプリの開発・運用
- 認識/測位データの蓄積によるO2O2O導線把握、誘導に関する課題抽出と結果分析
日本電信電話株式会社
- 「ユニバーサルオブジェクト認識技術」、「アングルフリー物体検索技術」、「電子透かし技術」の提供、および実装に関する技術支援
NTTドコモ
- 「Air Stamp」の提供、および実装に関する技術支援
パナソニック
- 「光ID」の提供、および実装に関する技術支援
南海電気鉄道
- 鉄道駅関連施設(関西空港駅、なんば駅)における実証実験許諾支援
- 実証フィールドとなる商業施設(なんばCITY、なんばパークス)のエリア提供、および実証実験運営に関する協力
髙島屋
- 実証フィールドとなる商業施設(大阪タカシマヤ)のエリア提供、および実証実験運営に関する協力
今後について
「O2O2O」における消費者導線の拡大およびさらなる特性把握や、送客効果を最大化するための情報提供形態の検討を進めながら、将来的なインバウンド向けサービスへの連携などを念頭に置いた交通・流通業向けのマーケティング高度化を図っていきます。
また本実証実験をユニバーサルオブジェクト認識実現の第一歩と位置付けながら、NTTグループやパナソニックの優れた技術のさらなる連携を図り、2020年に向けた訪日外国人向けおもてなしサービスの実用化を進めていきます。
注釈
- 注12015年6月17日発表 「日本電信電話株式会社とパナソニック株式会社の業務提携について(外部リンク)
- 注2アイデアに基づく試作品開発を行い、トライアルとして実証実験などを行う事でサービスの実用化目途を推し測ること。
- 注3物事や概念などをひと目で理解できるように単純化したイラスト。
- 注4対応言語は、英語、中文(繁体/簡体)、韓国語の4言語。
- 注5アングルフリー物体検索技術(外部リンク)
- 注6電子透かしサービス「POPITA®」の紹介ページ(外部リンク)
- 注7光ID技術の紹介ページ(外部リンク)
- 注8Air Stamp 製品ページ(外部リンク)
- 「Air Stamp」は株式会社NTTドコモの登録商標です。
- 「光ID」はパナソニック株式会社の登録商標です。
- 「POPITA」はNTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
風間、小泉
TEL:03-5546-8051
日本電信電話株式会社
広報室
TEL:03-5205-5550
本実証実験に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
ITサービスペイメント事業本部
交通流通事業部
三井、植平
TEL:050-5546-7717
日本電信電話株式会社
新ビジネス推進室
2020担当
TEL:03-6838-5701
技術に関するお問い合わせ先
日本電信電話株式会社
サービスイノベーション総合研究所
企画部
広報担当
TEL:046-859-2032