ソーシャルメディア上での観光スポット話題量を測定する国内観光・インバウンド観光向けの新サービスを提供開始 ~Twitter全量データやディープラーニング技術等を活用し、日本全国の隠れた観光資源の発掘も可能に~
2017年2月15日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は2017年2月15日より、ソーシャルメディア上での観光スポットの話題量を測定する国内観光・インバウンド観光向けの新サービスを、旅行観光業界や地方自治体等に向けて提供開始します。
本サービスはTwitterの全量データとディープラーニング注1技術および、NTTデータが保有するプロファイル推定エンジン注2を組み合わせることで、これまで表記の揺れや地名の略称等が原因で正確な解析が困難だった観光スポット名の抽出や画像解析を用いた観光分析を実現しました。また、本サービスは海外78カ国の国・地域判定や趣味嗜好の解析に対応しており、例えば「スポーツが好きな(特定の国の)外国人観光客に人気の日本国内の観光スポット」のような詳細な条件での調査が可能となります。これにより、本サービスの利用者はソーシャルメディアを最大限に活用したきめ細かな観光分析や観光プランの提供が行えるほか、日本全国の隠れた観光資源の発掘等、地方創生・活性化に向けた計画策定にも活用することが可能です。
NTTデータは今後、本サービスを含むTwitter全量データを活用したサービス関連ビジネスで、5年間で累計10億円の売り上げを目指します。
背景
近年、訪日外国人旅行者数は堅調に増加しており、2016年には2400万人に達しました。しかし、2020年の政府目標である4000万人に到達するためには、全国各地の魅力を発信し、地方の観光需要を掘り起こす必要があります。また、昨今では、ソーシャルメディア上の一般消費者の発言が起点となり、地方の隠れた観光スポットに人が集まるといった事象も増加しており、観光分野においてもソーシャルメディア上の一般消費者の声を把握することが、ビジネス戦略上で重要になっています。
訪日外国人旅行者が訪れる観光スポットは全国に広がっているものの、全国各地の観光スポットの話題を統一的にベンチマークする方法や計測する手法がありませんでした。また、一部GPSデータを用いたサービスも存在するものの、ゴールデンルート注3以外の場所など、訪日外国人観光客があまり訪れていない地方のデータは十分なデータ量が取得できていないといった課題が存在しました。
これらの課題に対して、NTTデータは2012年よりTwitter社の公認パートナーとして保有しているTwitter全量データとディープラーニング技術を組み合わせ、全国30万以上の各観光スポットやそのコンテンツが持つ価値をソーシャルメディアの視点から計測するサービスを提供することとしました。
概要
本サービスは、NTTデータが保有する全言語のTwitterデータを対象に、日本の観光スポット・観光コンテンツに関する話題量を計測します。全国の観光スポットの話題量をスポット単位で網羅的に測定することで、話題になっている観光スポット・観光コンテンツが、どのような属性(国籍、年代、性別、嗜好性)のユーザーに話題になっているかといった詳細な条件での把握が可能となり、日本全国の隠れた観光資源の発掘等、地方創生への活用が期待できます。
また、本サービスでは日本人ユーザーのみならず、外国人(2017年1月時点で78カ国)ユーザーの分析も対象としており、インバウンド向けのデータとしても活用することが可能です。
サービスの特長
日本全国の30万件の観光スポット情報をプリセット
これまで困難だったスポット名の抽出をディープラーニング技術によって可能とし、日本全国の30万件におよぶ観光スポット名を自動抽出します。また、表記の揺らぎを抽出し、正式名称にマッチングすることで、ソーシャルメディアによる観光分析で課題であった、観光スポットの略称や言い回しも含めた分析を実現しています。
図1:ディープラーニングを用いた観光スポット名の抽出イメージ
全世界の全量データが解析対象
一般公開しているAPIはサンプリングデータであり、時間あたりの実行回数に制限があるため取りこぼしが発生し、地方の観光スポットに関する発言が十分な量確保できないという課題がありました。本サービスではTwitterデータの全量を解析対象とするため、発言数の少ない地方の観光スポットの分析も実現可能です。
観光スポットを65種にカテゴライズ
「温泉」、「神社・寺」、「ショッピングモール・アウトレット」、「洞窟」等、観光スポットを65種類にカテゴライズします。これにより、日本全国で同一種のスポット間の話題量を容易に比較することが可能となります。
海外78カ国の国・地域判定
NTTデータが所有するプロファイル推定エンジンにより、78カ国の国・地域判定が可能なため、どこの国・地域の人に人気の日本国内観光スポット等という条件で調査を行うことができます。
日本人・外国人含め投稿者の嗜好性分析が可能
NTTデータが所有するプロファイル推定エンジンにより、「スポーツ」や「美容」、「本・読書」、「ビジネス」等、50種の嗜好判定が可能です。この嗜好性判定機能により、例えば「スポーツ好きの外国人旅行者がどのような観光スポットに訪れているか」等、ユーザーの嗜好性に合わせた調査が可能です。
旅前、旅後の発言把握が可能
GPSをベースとしたソーシャルメディア分析では「旅中」の分析が中心でした。本サービスでは全量データを解析対象としているため、訪日したユーザーが「旅前」、「旅後」でどのような発言をしているか等の把握が可能です。
本サービスの活用シーン
本サービスの活用シーンの例は以下の通りです。
全国の観光スポット話題量を俯瞰して把握
スポット情報には緯度経度情報をひも付けています。本データを活用することで、地図上で全国の観光スポット話題量を俯瞰して把握することが可能です。
- OpenStreetMap Copyright and License http://www.openstreetmap.org/copyright(外部リンク)
図2:スポット話題量イメージ
話題の観光スポットの把握
投稿数の多い観光スポット、投稿数が増加している観光スポット、写真投稿の多い観光スポットを把握できることで、自地域でどの観光スポット・コンテンツが話題になっているか、現状把握の分析などに役立てることが可能です。
隠れた観光スポットの把握
旅行好きなユーザー、情報感度の高いユーザー層の発言を解析することで、各地方に眠る隠れた観光スポット・観光コンテンツの新芽の把握に活用することが可能です。
Twitter上のインフルエンサーや反響の高かった投稿の把握
観光スポットの発言をしたユーザーの中でインフルエンサー(他者への影響力の高い人)を抽出。また、多くの人にシェアされた発言を調査することで、訴求するべきスポット・コンテンツを把握し、プロモーション時の広告作成等への活用に役立てます。
観光シーンの把握
観光分野においてはフォトジェニックな観光スポットがトレンドとしてあがりやすく、そのスポットで何をしているかをビジュアルで伝えるコミュニケーションも多くなっています。テキスト解析に加え、ディープラーニングを活用した画像解析により、その観光地でどのようなことが話題になっているかの把握に役立てます。
図3:画像解析による画像分類イメージ(その地域でどのような写真投稿が多いかを分類)
旅前、旅後の話題の把握
旅中だけでなく、旅前・旅後の投稿を解析できることで、訪日意欲の高いユーザーやリピート候補ユーザーに対してOneToOneターゲティング広告の配信等、誘客施策への活用が期待できます。
今後について
NTTデータは本サービスの提供および、本サービスを通したデータ提供・コンサルティングサービスに加え、お客さまのニーズにあわせて複数の情報源からデータを集め、企業活動等のビジネスの状態を視覚化し確認できるようにするダッシュボードの開発、マーケティング・オートメーション注4、顧客管理システム(CRM)等への連携を進めていきます。
また、今後はインバウンドだけでなくアウトバウンドのサービスへの展開をすすめることで、全言語Twitterデータを活用したサービス関連ビジネスで、5年間で累計10億円の売り上げを目指します。
参考
- Twitterデータ提供サービス Webサイト:https://nazuki-oto.com/twitter/(外部リンク)
注釈
- 注1ディープラーニングとは、人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層に重ねた構造をもつ、機械学習アルゴリズムの1つです。ディープラーニングの大きな特徴は、学習を多段に重ねることによって抽象的なデータの表現を獲得することができる点で、真の人工知能への第一歩であると考えられています。
- 注2プロファイル推定エンジンとは、Twitterのアカウントを、機械学習エンジンや言語解析エンジン「なずき®」を用いて分析したプロファイル結果を管理するデータベースです。
- 注3ゴールデンルートとは東京~富士山・箱根~名古屋~京都~大阪などの日本の主要観光都市を周る観光周遊ルートのことです。
- 注4マーケティング・オートメーションとはデジタルマーケティングの各プロセスを自動化するための仕組みやプラットフォームのことです。
- 「なずき」は、日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- 文中における商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
甘田(かんだ)
TEL:03-5546-8051
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
ITサービス・ペイメント事業本部
ソーシャルビジネス推進室
尾崎、高野
TEL:050-5546-9092
E-mail:info@nttdata-nazuki.jp