岩手医科大学とAI画像診断の実証実験を実施 ~大動脈瘤の画像診断補助および臨床意思決定支援システムの確立~

ニュースリリース/NTTデータ

2020年5月29日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(代表取締役社長:本間 洋、以下:NTTデータ)は、岩手医科大学(学長:祖父江 憲治、以下:岩手医大)と、放射線医学講座(教授:吉岡邦浩)にて、大動脈瘤の画像診断補助および臨床意思決定支援システム(以下:本研究)について6月19日より実証実験を開始します。

本実証実験では岩手医科大学附属病院(以下:附属病院)の患者27,000人の医療画像データを利用して、NTTデータのAI画像診断エンジンの学習を行い、医療画像から大動脈瘤の自動測定および臨床意思決定支援システムの診断性能評価を行います。

NTTデータは岩手医大とともに、本実証実験の結果を踏まえ、実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証、また大動脈瘤以外への拡大を進め、放射線科におけるAI活用を広めることを目指します。

背景

医療画像の診断を専門に行う放射線科医は世界中で不足しているといわれていますが、地方医療の現場においてその傾向はより顕著に見られます。本研究のテーマである大動脈瘤は人口の超高齢化を迎える日本で社会問題となることが予想されており、かつ診断に用いられるCT画像は撮像範囲が広く高齢者が対象となることが多いため、併存疾患も多く、画像診断の負荷は非常に高いものとなります。このため、放射線科医は今後大量のCT画像から効率的に大動脈瘤を診断することが求められます。

地域の中核病院である附属病院は、医療画像診断を必要とする患者を多く対応していることから、放射線科医の負担軽減が課題となっています。このように作業負荷が大きく、医師不足が問題となりつつある画像診断においては、AI等のデジタル技術による診断支援を望む声が強まっています。

そこでNTTデータと岩手医大は、大動脈瘤の画像診断において、経過観察目的で撮影された大動脈瘤CTをAIが解析し、動脈瘤の同定および自動計測、瘤の増大の有無と診療ガイドラインに従った手術適応の可能性の提示を行う臨床意思決定支援システムの開発・検証および実診断業務への適用可能性を共同で進めることになりました。

実証実験について

目的実証実験の目的は以下の通りです。
  1. (1)放射線科医の診断を効率化できる大動脈瘤のCT画像AI診断補助システムの開発を行う。
  2. (2)放射線科医がAIを活用して行う診断プロセスの確立を進め、医療へのAI導入における先進的・中心的役割となること目指す。
対象附属病院の患者合計27,000人
(内訳)
  • 4,500例の大動脈瘤患者
  • 22,500例の循環器疾患以外の診断目的に撮像された患者
検証方法27,000の対象データを、NTTデータのAI画像診断エンジンに学習させ、大動脈瘤の自動測定および臨床意思決定支援システムの診断性能評価を行います。
実証期間2023年1月31日まで

NTTデータのAI画像診断支援ソリューションについて

AI画像診断支援ソリューションは、患者の医療画像をAI技術で分析し、疾患の可能性がある箇所を画像上とテキストで示します。NTTデータのAIソリューションの特長は、(1)CTメーカー、あるいは造影剤の有無といったCT撮影の条件によらないこと、(2)特定の疾病のみならず、あらゆる臓器の異常を対象としていることです。疾病によらず診断が可能なことから、広く放射線科医の負担を削減できると想定されます。

またNTTデータはアメリカをはじめとする複数カ国の複数病院で画像データを収集し、本ソリューションの精度向上に用いており、本サービスのグローバル展開を目指しています。

図:AI画像診断支援ソリューション画面例

図:AI画像診断支援ソリューション画面例

今後について

NTTデータと岩手医大は、本実証実験の結果を踏まえ、実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証を2021年度中目途に計画しています。併せて、大動脈瘤以外の疾病についての検出・特定を行うアルゴリズムの開発と検証を実施予定です。AIによって医師の診断時間を包括的に削減することで、地域医療の抱える問題、医師不足の一助となることが期待されます。

今後もNTTデータは岩手医大とともに、画像診断などの医療分野においてAI導入を通したデジタル化を推進していきます。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
田中
TEL:050-3644-3022

本実証実験・ソリューションに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
技術開発本部
ヘルスケアAIセンタ
岡田、荒木、小倉
TEL:050-5545-4851