インフラ設備点検に適したドローン離着陸システムに関する共同研究を開始

昨今、経年設備の増加および労働人口減少が社会課題となっており、保守員の高齢化や点検コスト負荷を背景として、ドローンによるインフラ設備点検のニーズが高まっています。
東北大学は、産官学民協働による共創的価値を生み出していくことを目的に「タフ・サイバーフィジカルAI研究センター」を設立し、エコシステムの中で最適化された課題解決の手段を社会へ実装する研究に取り組んでいます。ドローン関連技術の一つとして、ドローンが離着陸や充電を行う拠点（以下：ドローンポート）における従来の問題点を解決する「EAGLES Port」^注1の研究を行っています。
NTTデータは、デジタル技術を用いたスマートメンテナンスの開発、展開に取り組んでおり、要素技術の一つであるドローン分野については、これまでに航空分野で培った経験を生かし、複数ドローンの集中管理および空域管理を実現するドローン運航/交通管理ソフトウエアパッケージ「airpalette® UTM」^注2を提供し、ドローンの安全運航を支援しています。
両者は2020年度よりドローン関連技術に関する意見交換を開始し、両者の持つ技術やサービスを融合することで社会課題・産業課題の解決に寄与できることを確認したことから、このたび共同研究を進めることとしました。

これまでのドローンポートは垂直方向への離着陸を前提としたものが主流ですが、着陸時の推力低下や風の影響による機体の不安定さや、それによる離着陸に要する時間増等が課題となっています。また、従来のドローンはGNSS（Global Navigation Satellite System）により自己位置を特定していますが、衛星の補足数や天候の影響で十数mの座標誤差が生じるという問題がありました。
これらの課題に対して、本研究対象であるEAGLES Portは、ドローンが安定して飛行できる速度のまま、水平方向に連続して離着陸可能とする技術と、吊り下げ方式による格納を実現することにより、不安定性と時間増の問題点を根本的に解決します。また、マーカー技術HueCodeにより、常に高い座標精度での自己位置特定を可能にします。
本共同研究では、インフラ・設備点検のユースケースを想定し、移動式のドローンポート活用や座標誤差が生じるGNSSに頼らないドローン飛行制御の技術研究に取り組み、以下の役割分担でフィールド実証を通して研究成果を確認します。

東北大学：ドローン離着陸技術の方式検討、方式実装、実験
NTTデータ：ドローンサービサー等を巻き込んだ具体的なユースケース・要件の検討・整理、airpalette UTMとの接続方式検討

「EAGLES Port」は、強風下でも安定して複数ドローン（100台/分）が連続着陸可能なドローンポート技術であり、基本特許を取得しています。また、GNSSに頼らないドローンポートの離着陸やインフラ点検の飛行制御技術として、高精度なドローン位置推定のためのマーカー技術「HueCode」を保有しています（特許出願済み）。

airpalette UTMは、ドローンを効率的かつ安全に運航するため、飛行ルート設定や自動遠隔制御を行う運航管理機能「Flight Operation System（以下、FOS）」と、機体同士の衝突回避や禁止空域への侵入監視を行う交通管理機能「UAS Traffic Management core（UTM core）」で構成されるNTTデータが開発・提供しているドローン運航/交通管理ソフトウエアです。

本共同研究を通じて、インフラ設備点検の適用に向けたドローン離着陸システムの技術の確立をめざします。また、本共同研究の技術を生かした製品化により、自治体やインフラ企業、ドローン点検サービス提供企業等へ展開し、社会課題の解決やドローン市場の発展に貢献していきます。

報道関係のお問い合わせ先

国立大学法人東北大学
タフ・サイバーフィジカルAI研究センター センター長
田所 諭
E-mail：tadokoro@tohoku.ac.jp

株式会社NTTデータ
広報部
田中
TEL：050-3644-3022

その他のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
テレコム・ユーティリティ事業本部
ユーティリティ事業部
丸山、佐々木
TEL：050-5546-8150