ASEANの文化遺産の魅力を、オンライン企画展でより広く詳細に発信
2021年11月26日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、ASEAN事務局が推進するASEAN諸国注の貴重な歴史的文化遺産をデジタル化する「ASEAN Cultural Heritage Digital Archive(ACHDA)」プロジェクトにおいて、「e-exhibition(オンライン企画展)」機能を搭載しました。これは2020年2月に全世界に公開した、ASEAN各国の文化遺産を紹介するデジタルアーカイブシステム「ACHDA」の新機能で、文化遺産をより魅力的に発信することを目的としています。
「e-exhibition」は、歴史や文化に精通したキュレーターが、ACHDAに公開されているコンテンツの中からテーマを決めて選定、紹介するというオンライン企画展です。第1回目のe-exhibitionでは22点の文化遺産を展示、紹介します。
NTTデータは今後もACHDAウェブサイトのユーザーインターフェースの充実を図ると同時に、引き続きASEAN全10カ国の文化遺産の公開に向けて取り組んでいきます。
なお、本活動は日本政府の拠出金により、2006年に設立された「日・ASEAN統合基金(JAIF)」の援助によって実施しています。
背景と目的
人口約6億5千万人を超えるASEAN地域では、多様な民族、宗教、人種、文化を擁し、「ONE VISION, ONE IDENTITY, ONE COMMUNITY」を掲げ、より強固な結束へ向けて一体感を醸成する文化事業が進められてきました。こうした背景のもと、ASEAN事務局はこれまで各国個別に行ってきた文化発信をASEAN全域で一元化し、ASEAN域内の文化交流を促進することや、歴史的に価値の高い文化遺産を後世に継承していくこと、さらには、ASEAN域外の人にもASEAN各国の文化に触れる機会を提供することを目的に、2018年にACHDAプロジェクトを開始しました。
NTTデータは、本プロジェクトの第1フェーズにおいてインドネシア、タイ、マレーシアの3カ国で文化遺産約160点をデジタル化し、2020年2月27日よりアーカイブサイト「ACHDA」を公開しています。本システムでは、従来のNTTデータのデジタルアーカイブシステムで対応していた画像・音声・動画データだけでなく、立体造形物の3Dデータにも対応し、世界中からこれらの文化遺産の閲覧が可能となりました。その後も新たにカンボジア、ミャンマーの文化遺産を追加で公開し、2021年11月26日時点では274点のコンテンツが閲覧可能です。
ACHDAとe-exhibitionについて
このたび、これらの貴重な文化遺産をより広く、深く発信していくため、アーカイブサイトに「e-exhibition」機能を搭載しました。これはASEAN諸国の歴史や文化に精通したキュレーターが、ACHDAに公開されているコンテンツの中からテーマを決めて選定、紹介するというオンライン企画展です。第1回目のe-exhibitionでは、ゲストキュレーターのジラード・フィリップ・E・ボノタン氏が、ASEAN加盟国の協力を得て22点の文化遺産を展示、紹介します。
図1:e-exhibitionページ
図2:スルタンの王冠(インドネシア)
図3:金のコイン(マレーシア)
図4:マニュスクリプトのキャビネット(タイ)
第1回目オンライン企画展について
公開日時 | 2021年11月26日 |
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公開場所 | オンライン |
テーマ | Forging History: Metals in the Crucible of ASEAN's Transformation (歴史を築き上げる:ASEANの変革を支えた金属) |
公式HP | https://heritage.asean.org/e-exhibitions |
AMLADⓇとは
「AMLAD」は、博物館・図書館・公文書館や企業・団体が保有する画像、動画、音声などのあらゆるデジタルコンテンツを一元管理し活用するものです。NTTデータが、文化遺産という「人類の資産」の後世への継承と新たな情報利用の機会を世界中の多くの方に提供するために開発しました。2018年にはバチカン教皇庁図書館が所蔵する歴史的な手書き文献3,000点のデジタル化を実施し、「AMLAD」を活用してその保全と公開を現在も行っています。その他、国立国会図書館や高野山大学など、世界有数の文化機関に対して提供されています。さらに2020年にはASEAN事務局が推進するASEAN諸国の貴重な歴史的文化遺産をデジタル化する「ASEAN Cultural Heritage Digital Archive(略:ACHDA)」プロジェクトにおいて、ASEAN地域全体の文化遺産を集約するデジタルアーカイブシステムを構築し、第1フェーズとしてインドネシア、タイ、マレーシアの3カ国で文化遺産約160点の2D・3Dデジタル化を完了しました。インターネット上に公開されるアーカイブサイト「ACHDA」では、世界中からこれらの文化遺産を閲覧可能です。
「AMLAD」事業の一環として、2021年10月には歴史的建造物であるバチカン市国内16世紀の天文台「Gregorian Tower」の3Dスキャンを行い、デジタル化を成功させました。NTTデータのデジタルアーカイブ事業としては、初めての建造物の3Dスキャン・デジタル化となり、3Dモデルの「Gregorian Tower」はUAEドバイで開催されるExpo 2020 Dubaiで公開されています。
「Gregorian Tower」3Dモデルのデモンストレーション動画
ASEAN事務局、日本大使館、NTTデータからのコメント
ASEAN 事務次長(社会文化共同体担当)Ekkaphab Phantavong
COVID-19の流行はASEANの文化機関に大きな影響を与えていますが、同時に没入感のあるデジタル文化の提供を通じて、お客さまへの働きかけを再考するきっかけとなっています。
Forging Historyは、魅力的なストーリーテリングを通じて、ASEANの豊かで多様な文化遺産をより多くの人に知ってもらうとともに、博物館、美術館、図書館がデジタル技術を使ってコレクションを紹介する革新的な方法を模索するきっかけになることを目指しています。
ASEAN 政府代表部特命全権大使 千葉 明
NTTデータによる日本の先進的なデジタル化技術が活用され、JAIF(日・ASEAN統合基金)がこのプロジェクトの立ち上げに不可欠な役割を果たしていることを光栄に思います。
NTTデータ 執行役員 福西 克文
ACHDAプロジェクトのさまざまな取り組みを通じ、NTTデータの情報技術がASEANの文化遺産におけるその価値の継承と発信に貢献できることを大変光栄に思います。
今回開発したe-exhibitionページによる、文化遺産の新たなユーザー体験を通して、ACHDAの取り組みの価値がより広く知られることになり、現在の貴重な文化資産を確実に未来に伝えていくという新たな文化が醸成されていくことを心から願っております。NTTデータは、今後も本事業を通じて貴重な人類遺産の継承に貢献できるよう取り組んでいきます。
今後について
今後もASEAN事務局、ASEAN諸国と協力し、貴重な文化の保全に貢献していきます。第2回目以降のe-exhibitionも順次公開予定です。また、これまでデジタルアーカイブ事業を通じて実施してきた希少な文献や立体造形物の電子化・アーカイブ化の技術、建造物の3Dスキャン・デジタル化をノウハウとして蓄積し、それらを最新のXR技術と組み合わせることで、世界の希少な文化遺産や美術品等のデジタルデータのさらなる活用に役立てていきます。
参考リンク
注釈
- 注ASEANとは、東南アジアの10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)が加盟する地域協力機構です。
- 「AMLAD」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道機関からのお問い合わせ
株式会社NTTデータ
コーポレート統括本部
広報部
田中
TEL:080-1724-5429
製品・サービスに関するお問い合わせ
株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
デジタルソリューション統括部
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