Xデータを活用した発見型トレンド予測サービスを提供開始

報道発表

2024年1月26日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、X(旧Twitter)データを活用した発見型トレンド予測のサービス「トレンドエクスプローラー™」を2024年1月26日より提供を開始します。近年、生活者の価値観やニーズの多様化に伴い、企業は生活者を中心に据えたマーケティング業務への変革が求められています。マーケターは個人の関心や専門分野に基づく情報収集にたけていますが、経験や人に依存したアプローチのみでは、選択肢が限定的となる傾向があります。これは、生活者のニーズの変化を見逃すだけでなく、特定の顧客層の好みや要望に焦点を当て過ぎることで、新たな市場セグメントや異なる顧客層のニーズを見落とす結果を招いてしまいます。
トレンドエクスプローラーは、NTTデータがXの全量データを受領し確立してきたデータ分析手法と、Google Cloudの生成AIを活用しています。国内月間4500万のXアクティブユーザーにおいて、食、旅行、美容など約30注1カテゴリの中から、2000万以上のモノ・コトのキーワードを常時モニタリングし、流行や価値観の変化の兆しを抽出してその背景・理由を可視化します。さらに、カスタマーサクセスを通じて、初期段階から意思決定プロセスに至るまでをサポートします。これらを通じて、商品開発やプロモーション戦略などのマーケティング業務における競争優位性を築くための新しい切り口を提供します。例えば、商品開発では、新しい商品アイデアの創出や、既存商品の改善点の特定を可能にし、プロモーション戦略においては、新しい顧客層へアプローチするためのタイアップ候補の発掘を可能にします。NTTデータは、企業のマーケティング活動を伴走型で支援し、より高精度に生活者の価値観やニーズを導くインプットデータの種類を拡充しつつ、5年間で売り上げ100億円をめざします。

背景

現代のマーケティング業界において、マーケターが直面する重要な課題の一つが、フィルターバブル注2による市場機会の見落としです。マーケターは個人の興味や専門分野に基づく情報収集にたけている一方で、このフィルターバブルがもたらす限界に直面しています。自身の慣れ親しんだ範囲や既存の顧客層に重点を置くことで、新しい情報や市場の動き、生活者ニーズの変化を捉えることが難しくなっています。この問題は、特に新しい市場セグメントや多様な顧客層へのアプローチにおいて顕著です。これにより、潜在的な市場機会の損失やイノベーションの欠如といった問題が生じる可能性があります。したがって、マーケターはフィルターバブルの限界を認識し、より広い視野を持って市場を分析することが重要です。
今回、NTTデータがこれまで11年間にわたってオフィシャルパートナーとして培ったXデータ分析への知見とGoogle Cloudの生成AIの技術要素を活用することで、約30カテゴリのトレンド予測を実現するサービスを開発しました。(図1)加えて、企業のニーズヒアリングから意思決定プロセスまで一気通貫で伴走するカスタマーサクセスも提供し、企業のマーケティング活動を伴走型で支援します。

図1:トレンドエクスプローラー概要

図1:トレンドエクスプローラー概要

サービスの特長

従来のマーケティングでは、マーケターの頭に浮かんでいる既知のキーワードを起点に裏付け情報を集め、深堀りしていく「検索」型のマーケティング手法が用いられてきました。この手法では誰でも思いつくアイデアや、既に競合が存在する領域に辿り着いてしまう、キーワードがわからない未知の事象は分析できない、調査するマーケターの知見に依存するといった課題がありました。これに対し、トレンドエクスプローラーは、日々生まれる膨大な量の生活者データと、約30のカテゴリを分析の軸として活用します。これにより、未知の新しい事象の「発見」から始まり、その事象の背景を深堀りし、今後の動きを予測、さらに新たなコンセプト案を生み出すまで、一連のプロセスを支援します。

1.膨大なデータ量からさまざまなジャンルの生活者トレンドを発見

国内月間4500万のXアクティブユーザーがX上で投稿する日々新しく生まれる言葉や、キャラクター名称をはじめとした辞書に掲載されない言葉などを、NTTデータが独自に自然言語解析を行っています。ここでリストアップされた2000万以上のモノ・コトのキーワードを、食、旅行、美容などの約30のカテゴリに分類します。これらのキーワードを常時モニタリングし、投稿量の上昇傾向や、情報感度が高いユーザー層の反応率などからトレンド化の兆しが現れたモノ・コトを自動で抽出します。また、それらが成長期なのか減退期なのかフェーズで識別することで、いまどのフェーズにいるかを理解することが可能です。

2.トレンド候補として抽出された理由・背景を深堀し可視化

発見されたモノ・コトとその投稿に対して、NTTデータの言語解析技術とGoogle Cloudの生成AIで解析することで、特徴的なキーワードの中からその背景要素を抽出します。この背景を読み解くことで、ただトレンドを知るだけでなく、思考の幅を広げ、新しいアイデアや仮説立てに役立てることができます。

3.トレンドの未来を高精度で予測

トレンドアイテムの推移を学習した予測モデルを作成し、調べたい対象の今後の投稿数の推移を予測できます。Google Cloudの機械学習サービスを統合したプラットフォームであるVertex AIによる、過去2年分の投稿量推移データの分析を行うことで、対象トレンドへの関心が前年比で上昇・維持・下降するか、当月比で上昇・維持・下降するか、70-80%の高精度で予測します。

4.新商品のコンセプト案を自動生成

生成AIを活用し、トレンドとその背景要素を踏まえた新商品コンセプトやプロモーションの企画資料を自動作成します。(図2)自動生成を活用し、コンセプト案を複数作成することで、意思決定における選択肢を増やします。

5.お客さまニーズ別にトレンド候補を提案するカスタマーサクセス

トレンド候補検討フェーズから新商品コンセプト案の採用を意思決定するプロセスまで、一気通貫で支援するカスタマーサクセスも合わせて提供します。お客さまの関心のあるカテゴリをヒアリングし、トレンド候補を抽出した後、お客さまの業種・業態・ニーズに即したコンセプト案を提案します。

図2:コンセプト案のアウトプットイメージ

図2:コンセプト案のアウトプットイメージ

導入事例

トレンドエクスプローラーは、ベータ版として、2023年より大手消費財メーカーや小売業の企業に試行的に導入を行っており、商品開発や販促プロモーションといった業務において、売り上げ向上や業務改善に寄与しています。

大手小売業での導入事例

マーケティング部門では、食に関して今後ヒットしそうな商品を兆し段階から捉えて商品戦略に反映したい思いがある一方、データドリブンに生活者の購買心理やニーズを把握することが出来ていないことが課題でした。そこで、トレンドエクスプローラーを導入することにより、全社の商品戦略に食に関する生活者トレンドを反映し、新商品の開発、既存商品の改良、商品の仕入れ、販促プロモーションなどの複数業務に活用いただきました。この結果、既存商品の改良を行った商品では、改良前と比較して3倍の売り上げを達成するヒット商品を生み出すことにも成功しました。

今後について

トレンドエクスプローラーは今後ますます拡大する生活者の価値観やニーズを利活用する要望に応え、より高精度に導くため、X以外のSNS等インプットデータの種類の拡充を計画しており、5年間で売上100億円をめざします。
NTTデータは、これまで培った技術や知見をもとに企業のデジタル変革のパートナーとして、マーケティング活動を伴走型で支援することで、小売り・流通、製造業を中心とした業界全体でのマーケティング変革を推進します。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社コメント

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 執行役員 情報通信事業本部長 綱田 和功
「この度、NTTデータ様がGoogle CloudのVertex AIを通じて提供する生成AIを活用して、新たなサービス提供を開始することを大変喜ばしく思います。今後もGoogle Cloudは、企業が生成AIを活用したアプリケーションやサービスをより効率的に開発し、それを利用するお客様によりよい体験を提供できるよう、様々な技術を提供してまいります。」

参考

トレンドエクスプローラー
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/trendexplorer

注釈

  • 注1 2000万のキーワードを業種・業界別に使いやすいよう自動でカテゴリごとに分類。
  • 注2 アルゴリズムがネット利用者個人の検索履歴やクリック履歴を分析し学習することで、個々のユーザーにとっては望むと望まざるとにかかわらず見たい情報が優先的に表示され、利用者の観点に合わない情報からは隔離され、自身の考え方や価値観の「バブル(泡)」の中に孤立するという情報環境のこと。
    (参考 総務省情報通信白書令和元年版 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd114210.html
  • 「トレンドエクスプローラー」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
  • 本サービスは、X発信者個人の特定や個人へのアクセスを目的とした分析や分析結果の提供を行うものではありません。
  • 新商品コンセプトやプロモーション企画資料等の自動生成は、顧客の意思決定をサポートすることを目的としており、広告等の一般公開を想定した情報を生成するものではありません。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
石上
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
法人コンサル&マーケティング事業本部
法人アセットベースドサービス推進室
高野、中山
E-mail:sddx_contact@kits.nttdata.co.jp