国内初の共同利用型勘定系システム向け「統合バンキングクラウド」の開発着手
~地銀共同センターへの適用決定、日本最大のバンキング専用クラウドへ~
報道発表
2024年2月8日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(代表取締役社長:佐々木裕、以下:NTTデータ)は、地銀共同センター注1参加行13行とともに、2028年1月に地銀共同センターに「統合バンキングクラウド」を適用することを決定しました。これに伴い、2024年4月より「統合バンキングクラウド」の開発に着手します。統合バンキングクラウドは、NTTデータが独自に構築するクラウド上に、複数の共同利用型勘定系システムを搭載できる、国内初の共同利用勘定系システム向けバンキング専用国産クラウドです。
2004年1月に地銀共同センターでサービス開始した勘定系アプリケーション「BeSTA®」注2の20年目の節目に、今後も安心・安全・安価に永続的なバンキングサービス提供を可能とするべく、地銀共同センターのオープン化と「統合バンキングクラウド」の開発に着手します。今後は、MEJAR注3など他システムへの展開、他業態の金融機関への採用拡大を目指すことで、日本最大のバンキング専用クラウドへと発展を目指します。
背景
近年、エンドユーザーの価値観が多様化し、その変化が大きく加速していく中、金融機関は、その期待に応えるための俊敏性・柔軟性の向上が必要となっています。さらに、金融機関に必須となる安心・安全を高い水準で保ったミッションクリティカルシステム注4の継続的な提供が求められています。一方、ミッションクリティカルシステムの支えとなるメインフレーム提供事業者ならびにその技術者の減少、半導体不足等によるハードウエア価格の高騰などの課題があり、永続的なサービス提供に懸念が残る状況です。
NTTデータは、この課題を解決するために、これまで「PITON®(ピトン)」注5を中心に勘定系システムのオープン化の取り組みを進めてきました。そして、本年1月4日には「PITON」適用によるMEJARのオープン化が完了注6しました。このことにより、統合バンキングクラウド化に向けた1stステップが無事に完了し、バンキングクラウド化の準備が整いました。本実績により、他勘定系スキームをクラウド化するための実現性が担保出来たことから、本取り組みをさらに一歩進め、安心・安全・安価に永続的なバンキングサービスを提供するための「統合バンキングクラウド」の開発に着手します。
概要
2022年11月の統合バンキングクラウド検討開始の発表注7以降、ミッションクリティカルな社会インフラをクラウド基盤で実装するためのサービス仕様を整理し、同時に想定されるリスクと対応策について検討を進めてきました。特に地銀共同センター参加行およびMEJAR参加行が参加する地銀共同センター・MEJARシステム・ワーキンググループ(以下、CMS-WG)注8に対して、統合バンキングクラウドのサービス仕様の情報提供を実施する等して、CMS-WGに参加されている多くの金融機関と議論を重ねてきました。
統合バンキングクラウドによってNTTデータが最先端の自社データセンターにハードウエア・ミドルウエア等を集約し、クラウドサービスとしてワンストップで提供することにより、効率的な運用や金融機関の管理負担の軽減へ寄与するだけでなく、永続的なサービスを実現可能となります。これにより、金融機関は勘定系システム以外の競争領域にリソースを集中させることでDX対応力を高めることができ、新たな顧客価値創出へとつなげることが可能となります。
これらのメリットを踏まえて、地銀共同センター参加行13行とともに、地銀共同センターのオープン化と2028年1月に「統合バンキングクラウド」を適用することを決定し、NTTデータはそれらの開発に着手しました。
特長
統合バンキングクラウドの特長は以下の通りです。今後も日本の金融機関の皆様に安心・安全・安価に永続的なバンキングサービスを提供頂くための、バンキングシステム専用の国産・超高信頼性クラウドとなります。インフラ、運用等の全てにおいてバンキングシステムに求められる高い信頼性を有するだけでなく、最先端の自社データセンターにより、高いグリーン性能を有するサステナビリティにも考慮された最新鋭のクラウドとなっています。
今後について
NTTデータは、以下の3段階でNTTデータの提供する共同利用型勘定系システムを段階的に統合バンキングクラウドに搭載することを目指します。本年オープン化を実現したMEJARについては2030年頃の適用を目指します。
加えて、STELLA CUBE®注9、BeSTAcloud®注10および、しんきん業態等の他業態への拡大を検討し、NTTデータの提供する共同利用型勘定系システムを段階的に統合バンキングクラウドに搭載することで、日本最大のバンキング専用クラウドとしての拡大と発展を目指します。
さらに、NTTデータが推進する「Open Service Architecture®(OSA)」注11のコンセプトに基づき、統合バンキングクラウド等の共通インフラ領域とアプリやAPI活用等の戦略領域の「両利きの経営」で、金融機関の新たな顧客体験を目指したDX対応力向上の推進に貢献していきます。
注釈
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注1
「地銀共同センター」は、NTTデータが構築・運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターです。
参加行は以下のとおりです。(利用開始および銀行コード順)
京都銀行、千葉興業銀行、岩手銀行、池田泉州銀行、愛知銀行、福井銀行、青森銀行、秋田銀行、四国銀行、鳥取銀行、西日本シティ銀行、大分銀行、山陰合同銀行 - 注2 「BeSTA」(Banking application engine for STandard Architecture)は、ベンダーを特定しないNTTデータの標準バンキング・アプリケーションです。
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注3
Most Efficient Joint Advanced Regional banking-system(最も効率的な先進的地方銀行共同システム)の略。
「MEJAR」は、NTTデータが構築・銀行が主体で運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターです。
参加行は以下のとおりです。(利用開始および銀行コード順)
横浜銀行、北海道銀行、北陸銀行、七十七銀行、東日本銀行、広島銀行 - 注4 社会的に影響の大きい重要なシステムであり、高い信頼性・可用性・性能等が要求されるシステム
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注5
NTTデータ2022年1月20日ニュースリリース「勘定系システムをオープン化するフレームワーク「PITON™(ピトン)」の製品化決定
~MEJARに続き、しんきん共同センターの次期勘定系システムでの採用が決定~」
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2022/012000/ -
注6
NTTデータ2024年1月4日ニュースリリース銀行業界初、マルチバンクオープン勘定系システムを稼働
~MEJARへPITONの適用開始~
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2024/010401/ -
注7
NTTデータ 2022年11月18日サービスインフォメーション「国内初の共同利用型勘定系システム向け「統合バンキングクラウド」を検討開始
~バンキング専用国産クラウドで安心・安全・安価に永続的なサービス提供を目指す~」を参照
https://www.nttdata.com/global/ja/news/services_info/2022/111800/ -
注8
NTTデータ2021年11月9日ニュースリリース「「地銀共同センター・MEJARシステム・ワーキンググループ」への参画について~システム領域の連携を強化や運用効率化を支援~」を参照
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2021/110901/ -
注9
「STELLA CUBE」は、NTTデータが構築・提供している地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターです。
参加行は以下のとおりです。(利用開始および銀行コード順)
きらぼし銀行、但馬銀行、富山銀行、長野銀行、神奈川銀行、東北銀行、仙台銀行、きらやか銀行、福邦銀行、名古屋銀行、清水銀行 -
注10
「BeSTAcloud」は、BeSTAをベースに、金融機関ごとに個別のサービスを提供する基幹系システムです。
利用行は以下のとおりです。(利用開始および銀行コード順)
荘内銀行、北都銀行、あおぞら銀行、福岡中央銀行、佐賀共栄銀行、長崎銀行、豊和銀行、宮崎太陽銀行、南日本銀行、沖縄海邦銀行 -
注11
NTTデータ 2020年10月7日サービスインフォメーション「ニューノーマル時代に対応した新しい「金融ITオープン戦略」を発表~「Open Service Architecture™」により、国内最大のAPIエコシステムを整備し、金融ITのオープンイノベーションを実現~」を参照
https://www.nttdata.com/global/ja/news/services_info/2020/100700/
- 「PITON」、「Open Service Architecture」「STELLA CUBE」、「BeSTAcloud」「BeSTA」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
西原
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
営業企画推進部
十時、高橋、二木
TEL:050-5546-7900