イオン銀行と連携し、商流データを活用したサプライチェーン・ファイナンスを実現

~iQuattro®を活用し、サプライヤー企業の早期資金化を支援~

報道発表

2024年8月2日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、株式会社イオン銀行(以下、イオン銀行)と連携し、サプライチェーン上の商流データをiQuattro®注1(読み、アイクアトロ)に一元的に管理・蓄積し、融資に活用するサプライチェーン・ファイナンスの仕組みを構築しました。その取り組みの第一弾として、イオン銀行より、発注書データを元にサプライヤー企業に融資を行う「発注書ファイナンス」の提供を開始します。
日本企業は諸外国と比較して支払いサイトが長く、全業界平均支払サイトが60日程度注2のところ、サプライヤー企業は「発注書ファイナンス」を利用することで、バイヤー企業からの発注直後より融資申し込みが可能となります。また、商流に基づいた与信判断となるので、サプライヤー企業にとっては借入金利が低くなる等資金調達コストを削減する効果も期待できます。
今後、NTTデータは、サプライチェーン・ファイナンスシステムを2030年までに国内外30社へのサービス提供を目指すとともに、サプライチェーン全体の強靭(きょうじん)化を目指すお客さまへの伴走・支援により、サプライチェーン変革に貢献していきます。

背景

昨今、経済活動のグローバル化や社会課題への対応要請、さらには地政学リスクが加わり、サプライチェーンリスクが多様化し、企業にとってサプライチェーン管理の重要性が増しています。また、資本市場からは資本効率を重視した経営が要請されるなど、企業経営はますます難しいかじ取りが求められています。こうした中、デジタル技術を活用し、サプライチェーン全体のモノ・カネ・情報の流れを把握することにより、企業の業務効率化やレジリエンスの向上に加え、資金繰りを支援する『サプライチェーン・ファイナンス』の取り組みに注目が集まっています。

NTTデータは、サプライチェーンにおける企業間や業務プロセス間での情報活用を推進するプラットフォームであるiQuattroを2017年より提供し、企業間での情報活用によるサプライチェーン最適化・高度化を目指す数多くのプロジェクトのコンサルティングからシステム導入まで総合的な支援を実施してきました。その中でiQuattroを活用したさらなる価値創出を目指し、NTTデータのアセットである法人インターネットバンキング「AnserBizSOL®注3」と連携し、サプライチェーン上の商流情報を金融業務に活用するサプライチェーン・ファイナンスシステムを開発しました。

概要

NTTデータが提供するサプライチェーン・ファイナンスシステムは、サプライチェーンにおけるバイヤー・サプライヤー間の受発注などのさまざまな商流情報をiQuattroにより一元的に管理・蓄積し、金融機関側での融資に利用できる形に加工し、金融業務に活用するものです。具体的には、発注データを元にサプライヤー企業に融資を行う「発注書ファイナンス」や、売掛債権を支払期日前にサプライヤー企業に前払いする「早期資金化」等を指します。
NTTデータは、2022年よりイオン銀行とサプライチェーン・ファイナンスの検討を開始し、システム構築を進めてきました。このたび、イオン銀行よりサプライヤー企業向けに「発注書ファイナンス」の提供を開始注4します。

図1:NTTデータが考えるサプライチェーン・ファイナンスの概要

図1:NTTデータが考えるサプライチェーン・ファイナンスの概要

「発注書ファイナンス」の導入内容と成果

  • 日本企業は諸外国と比較して支払いサイトが長く、中小企業の全業界平均支払サイトは60日程度と言われています。サプライヤー企業は「発注書ファイナンス」を利用することで、バイヤー企業からの発注直後より融資申し込みが可能となります。また、商流に基づいた与信判断となるので、サプライヤー企業にとっては借入金利が低くなる等資金調達コストを削減する効果も期待できます。
  • バイヤー企業は、サプライヤー企業の資金繰りを支援することで、単なる受発注の関係を超え、サプライヤー企業の事業成長に貢献することができます。中長期的にはバイヤー企業にとっても強靭(きょうじん)なサプライチェーンの構築に資すると考えます。
  • バイヤー・サプライヤー間でやりとりされる真正性が担保されたデータを利用することで、金融機関が借り手の申告情報の精査などにかけていた時間とコストの削減を実現できます。

「発注書ファイナンス」の特長

1.企業間の商流データの連携・加工機能

企業間の商流データ(EDIデータ注5)を各企業から連携し、iQuattro上で金流データに統合することにより、発注日・入金日等の単位で融資申込に活用可能な形に加工する機能を提供します。それにより、サプライヤー企業への資金融資のための金融機関側での時間短縮や事務作業の効率化が実現され、サプライヤー企業の早期資金調達を実現することができます。加えて、商取引に実際に使用されている情報を融資申込に利用することができます。

2.融資申込機能

上記1の機能で加工したデータを活用し、サプライヤー企業が金融機関に融資申込をするための各種画面・ワークフロー機能を提供します。これにより、サプライヤー企業はこれまでより簡易的に融資申込が可能となります。

3.外部サービスとの柔軟な連携

NTTデータが提供する法人インターネットバンキング「AnserBizSOL」とのシングルサインオンによる認証連携機能や、企業の既存の仕組みとの接続や連携が実施でき、既存システムを活用した柔軟な構成が可能です。これにより、高セキュアな環境での外部サービスとの連携や新規システム構築範囲の最小化、システム開発期間の短縮を実現します。

図2:iQuattroで実現する「発注書ファイナンス」の概要

図2:iQuattroで実現する「発注書ファイナンス」の概要

今後の展開について

NTTデータは、今後も多様な商流データの活用を検討し、サプライチェーン・ファイナンスシステムのサービス提供領域を拡大させる予定です。また、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化を目指すさまざまなお客さまへのサービス展開やバイヤー企業向けの買掛金長期化によるキャッシュフロー改善等の新たなサービスの企画検討を進めていきたいと考えています。今後、2029年には110億ドルに達すると予想されるサプライチェーン・ファイナンス市場注6に対して、iQuattroでのサプライチェーン・ファイナンスシステム構築経験や資産を生かし、ASEAN諸国をはじめとするグローバル市場も視野に2030年までに30件のサービス提供を目指します。

注釈

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
梅原
TEL:03-5546-8051

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
コンサルティング事業本部
コンサルティング事業部
難波、谷田
第一金融事業本部
金融グローバルITサービス事業部
増本、影井
金融イノベーション本部
ビジネスデザイン室
登坂、本田
E-mail:iquattro_contact@kits.nttdata.co.jp