Marble Visionsの資本業務提携に合意、高分解能・高頻度な衛星システムの開発に着手

~NTTデータ・パスコ・キヤノン電子のジョイントベンチャーとして「Marble Visions」本格始動~

報道発表

2025年2月25日

株式会社Marble Visions
株式会社NTTデータ

株式会社Marble Visions(以下「Marble Visions」)、株式会社NTTデータ(以下「NTTデータ」)、株式会社パスコ(以下「パスコ」)およびキヤノン電子株式会社(以下「キヤノン電子」)は高分解能・高頻度な光学衛星観測システムの開発に向けて資本業務提携を行うことで合意しました。本合意により、2024年7月1日にNTTデータが設立した衛星観測サービスを提供する新会社「Marble Visions」は、NTTデータ、パスコおよびキヤノン電子3社のジョイントベンチャーとして始動します。
Marble Visionsは、衛星開発から衛星データの活用までの垂直統合を加速させることにより、国内外の多様な公共・産業で活用可能な衛星観測システムを整備します。全世界を対象に国土から都市・建物レベルまでを高頻度に3次元観測可能なデジタルツイン注1により持続可能な社会の実現を推進していきます。

背景

近年、宇宙技術の進化とともに民間企業による宇宙ビジネスへの参入が急増しています。ロケット技術の進歩で低コストでの宇宙アクセスが可能になるとともに、複数の小型衛星によるコンステレーション技術の発展により、地球上のデータを高頻度かつ高精度に観測できる体制が整いつつあります。さらに、AIやビッグデータ解析技術の向上により、これらの衛星データを短時間で解析し、必要な情報を迅速に取得できる環境が整備されてきています。
こうした背景を受けNTTデータは、高頻度かつ高精度な撮影が可能な衛星観測システムによる、現状をリアルに表現したデジタル地図の提供を通じて新たなデジタルツイン市場を創設することをめざし、2024年7月1日に新会社「Marble Visions」を設立しました。注2
Marble Visionsは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)が公募を実施した宇宙戦略基金の技術開発テーマ「高分解能・高頻度な光学衛星観測システム」(以下「本事業」)の採択事業者に2024年11月29日に決定注3しました。本事業の実現にむけMarble Visionsは、新たにパスコ・キヤノン電子および株式会社アクセルスペース(以下「アクセルスペース」)と提携するとともに、NTTデータ、パスコおよびキヤノン電子のジョイントベンチャーとして始動します。今後Marble Visionsは、各社と研究開発委託契約を締結し、高分解能・高頻度の衛星システムの開発をすすめていきます。
これまでNTTデータは衛星画像付加価値コンテンツであるデジタル3D地図事業「AW3D」注4、パスコは空間情報事業および衛星運用を支える地上システム事業の分野にて宇宙ビジネスに貢献してきました。キヤノン電子は小型人工衛星および部品類の研究開発、宇宙軌道上で3機の衛星の運用実績があります。今後は、これまでの実績から得た顧客ニーズを本事業の設計に反映することを強みに、衛星開発から衛星データ活用までの垂直統合を加速させていきます。

図1:事業の垂直統合イメージ

資本業務提携の概要

Marble Visionsは、高分解能・高頻度な衛星観測システムの実現に向け、今後NTTデータ、パスコおよびキヤノン電子からの増資を受け入れる予定です。またMarble Visionsは、国内の小型衛星、地上システム、プロダクト・サービスを牽引する企業体の豊富な技術と実績を集結することで、衛星観測システムを実現する事業基盤を強化していきます。

Marble Visionsの会社概要

社名 株式会社Marble Visions
代表者 中村 好孝
所在地 東京都江東区豊洲3丁目3番3号
事業概要
  • 地球観測衛星の開発、運用
  • 衛星データの取得、解析、提供
  • 衛星データを活用した地理空間情報サービスの提供
資本金 10億円 ※2026年4月までに50億円まで増資予定
出資比率
  • NTTデータ 60%
  • パスコ 30%
  • キヤノン電子 10%
URL https://marble-visions.com/jp.html

衛星観測システムの概要

Marble Visionsでは、高頻度での地球の3次元観測・可視化・デジタル地図活用を可能とする衛星観測システム(以下「本システム」)の整備をめざしています。近年、都市インフラ設計や防災計画策定などで現況に即したサイバー空間の活用が期待されていますが、都市や国土の3次元による定期的な観測・更新は困難でした。Marble Visionsは本システムにより高頻度かつ高精度な衛星観測システムの開発をめざしていきます。本システム上で、利用者は現況確認に加えて変化の把握、都市の分析・シミュレーション・未来予測を行えるため、迅速かつ正確な意思決定が可能となります。
Marble Visionsは2027年までに衛星の初号機を打上げ、2028年までに計8機の衛星を順次打上げ予定です。その後、衛星システムの高性能化と継続的な拡張をめざします。

表:Marble Visionsがめざす衛星観測システム

従来の一般的な衛星観測システム めざす衛星観測システム
精度
  • 小型光学衛星では1-3m解像度
  • 2次元情報が主体
  • 40cm級の高解像度撮影が可能な小型光学衛星
  • 3次元情報化が可能な複数衛星の協調運用
頻度
  • 全世界:5年に1回程度
  • 都市域:1~2年に1回程度
  • 全世界:1年に1回程度
  • 都市域:四半期~半年に1回程度

Marble Visionsがめざす未来

Marble Visionsは、2027年から衛星データおよび地理空間情報サービスの提供を開始する予定です。全世界を対象に国土から都市・建物の形状レベルまでを高頻度に3次元観測することで、以下のような活用が期待されます。

  • 国土管理:地理空間情報整備、環境評価
  • 都市計画:スマートシティ、都市計画図作成、まちづくりシミュレーション
  • インフラ管理:設備管理、再生エネルギー整備計画
  • 農業・森林:生育状況把握、資源量把握
  • 安全保障:情報収集、地理空間情報整備
  • 交通:道路管理、ドローン制御
  • 建設土木:土木設計、i-Construction
  • 防災・環境:ハザードマップ整備、被災状況把握、生態系評価
  • 科学・研究:気候変動対策、AI等の学術研究

今後について

Marble Visionsは、衛星開発から衛星データの活用までの垂直統合を加速させることにより、国内外の多様な公共・産業で活用可能な衛星観測システムを整備します。全世界を対象に国土から都市・建物レベルまでを高頻度に3次元観測可能なデジタルツインにより持続可能な社会の実現を推進していきます。

図2:高分解能・高頻度な光学衛星観測システムイメージ図

図3:本事業の技術開発における各社の役割計画

注釈

  • 注1 現実空間のデジタルコピー(双子)をサイバー空間に表現する技術で、リアルな現状の分析や未来の予測・シミュレーションへ活用できる。
  • 注2 観測衛星サービスを提供する新会社「株式会社Marble Visions」を設立
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/070102/
  • 注3 宇宙戦略基金の技術開発テーマ「高分解能・高頻度な光学衛星観測システム」
    https://fund.jaxa.jp/techlist/theme8/
    https://fund.jaxa.jp/content/uploads/kekka8.pdf
  • 注4 全世界デジタル3D地図AW3D
    2014年2月、NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センター(以下「RESTEC」)」は、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)」が撮影した約300万枚の衛星画像を使い、世界で初めて5m解像度の数値標高モデル[Digital Elevation Model(DEM)]で世界中の陸地の起伏を表現している全世界デジタル3D地図のサービス提供を開始しました。
    2015年5月からは、都市計画等の分野において利用を広げるために米国の民間衛星会社MAXARの衛星画像を活用した高精細版3D地図の提供を開始しました。これにより最高50cm解像度を実現し、都市エリアを中心とした「建築物」レベルの細かな起伏の表現が可能となりました。さらにAI等最先端技術を用いた地物情報抽出にも取り組んでおり、お客さま業務の短工期化、低コスト化を支援しています。
    AW3Dは、世界130カ国・地域以上、4,000プロジェクト以上で、新興国におけるインフラ整備や防災対策などの社会問題の解決に活用されており、社会および経済発展へ貢献しています。
    AW3D WEBサイト http://www.aw3d.jp/
  • 「AW3D」は、日本国内におけるNTTデータとRESTECの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本リリースは、NTTグループ各社等が展開する宇宙ビジネスのブランド「NTT C89」の取り組みの1つです。

URL:https://group.ntt/jp/aerospace

  • 「NTT C89」は、日本電信電話株式会社の商標登録を出願中です。
    「NTT CONSTELLATION 89 PROJECT」の略称であり、社会へのソリューション提供を通じて宇宙関連事業の拡大および宇宙産業全体の発展に貢献していく取り組みです。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
長村
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社Marble Visions
本間、松岡
E-mail:info@marble-visions.com

株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
大竹、栗林
E-mail:marble-support@hml.nttdata.co.jp