エクサウィザーズと臨床における疾患・治療実態を把握するサービスの共同開発を開始 ~医療情報プラットフォーム「千年カルテ」とAIを活用し、電子カルテデータの利活用事業を推進~
2022年2月14日
株式会社NTTデータ
本共同開発では、次世代医療基盤法における認定医療情報等取扱受託事業者としてNTTデータが運用している医療情報プラットフォーム「千年カルテ」に蓄積された100万以上の患者さんの電子カルテデータを、エクサウィザーズのAI技術で解析し、疾病に応じて患者さんがいつどのような治療を受けているかの実態などを可視化するサービスを検討します。製薬企業や医療機関は、臨床における疾患・治療実態を把握することができ、医薬品の研究開発テーマの検討促進や患者さんごとの個別化医療の提供などに活かすことができます。
今後、開発したサービスの提供を通じて、日本の医療・社会・産業の課題解決を目指していきます。
背景
海外では、さまざまな情報源から日常的に収集される患者さんの健康状態や医療行為のデータである「医療リアルワールドデータ」を利活用し、医療行為を支援するサービスや医薬品の研究開発などが進んでいます。日本においても医療リアルワールドデータの利活用は大きな可能性を秘めていると考えられており、2018年に次世代医療基盤法が施行され、今後のさらなる利活用が期待されています。しかしながら、医療リアルワールドデータは膨大な症例数や項目数を有していることに加え、電子カルテに含まれる治療実態や治療効果などに関する情報については構造化・標準化は途上であるため、AI(機械学習・深層学習・自然言語処理)などの先端技術も取り入れた利活用の必要性が高まっています。
これまでNTTデータは、次世代医療基盤法における認定医療情報等取扱受託事業者として、医療情報プラットフォーム「千年カルテ」に蓄積された電子カルテデータを匿名加工し、医療機関や製薬企業に提供しています。一方、エクサウィザーズは、医療介護領域で事業開発を行っており、これまで複数の製薬企業、医療機関、アカデミア、自治体などと協業し、医療リアルワールドデータとAIを活用したプロセスと仕組みを構築しています。
今回両社は協業することで、NTTデータが提供する匿名加工医療情報および医療情報利活用技術に、エクサウィザーズのAI技術と医療領域の専門性を掛け合わせることで、大規模な医療リアルワールドデータから価値を創出する新規サービスの開発・提供を行っていくことになりました。
協業の役割
両社は各種サービスの活用拡大のための顧客への提案、共同での営業活動や情報発信を行うほか、以下の役割を担います。
NTTデータ
- 次世代医療基盤法に基づく匿名加工医療情報およびNTTデータが保有するAI技術情報の提供
- 医療のデータ整備に関する技術ノウハウの蓄積(データの構造化・標準化など)
- サービス提供に伴う周辺業務およびシステム改修などの導入や運用の支援
エクサウィザーズ
- 新規サービスの共同開発におけるAIモデルやソフトウエアの開発
- 医療リアルワールドデータの整備における「AI×医療」の専門性の提供
開発概要
両社で開発する領域として、以下を検討しています。
- 製薬企業などに対し、革新的な医薬品の研究開発や育薬に貢献する、疾患・治療実態や治療効果に関する分析サービス
- 患者さんや医療機関に対し、一人一人への最適な医療の提供へ貢献する、疾患の早期発見・診断支援などのサービス
この中で、まず開発を開始するのが、臨床における疾患・治療実態を把握するサービスです。
利用目的 | 治療の切替や重症度の変化など臨床における疾患・治療実態「Patient Journey」の把握 |
提供先 | 製薬企業、アカデミア、医療機関 |
ポイント |
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その他にも、下記テーマなどの開発の検討を進めていきます。
- 千年カルテの電子カルテデータを活用した疾患の発症や重症化リスクの予測とその要因探索などに利用できるAIを活用した新規サービス
- 文章で入力されている診療記録の情報や今後拡充予定の診療画像情報など、データベース上での取り扱いや整理が難しい情報について、有効な利活用を行うためのAI技術
図:新規サービスの開発イメージ
今後について
NTTデータはエクサウィザーズとともに、サービスの開発を進め、製薬企業をはじめとした顧客へ段階的に提供します。そして日本の医療・社会・産業の課題解決を目指して取り組んでいきます。
注釈
- 商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
製造ITイノベーション事業本部
第四製造事業部
長谷川、松浦、藤井
E-mail:milkr_support@kits.nttdata.co.jp