サーキュラー・エコノミーを実現するバッテリートレーサビリティプラットフォームを構築

~経済産業省の「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」に採択~

トピックス

2023年10月16日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下 NTTデータ)は、このたび、経済産業省の令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)注1」公募に応募し、2023年8月にシステム開発事業者として正式に採択されました。
NTTデータは、2022年度の経済産業省補助事業で作成したシステム要件定義等の成果注2を踏まえ、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステムとして「バッテリートレーサビリティプラットフォーム(以下、本プラットフォーム)」を構築します。まずは2024年度中に、バッテリー製造時のカーボンフットプリント情報や人権・環境デューデリジェンス情報を企業間で連携可能にする機能を提供開始します。業界横断でデータを連携することで、サーキュラー・エコノミーの実現を目指します。

1.背景

カーボンニュートラルの達成や資源循環型社会、人権・環境デューデリジェンスの実現など社会課題の解決には、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体で各組織が保有するデータを正確に流通できる仕組みが必要です。特に、欧州において2023年8月に施行された電池規則注3では、バッテリーのライフサイクル全体におけるCO2排出量や資源リサイクル率を欧州委員会に開示することが求められており、2025年から一部の規制が義務化される予定です。

2.取り組み内容

NTTデータは、電動車向けバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報(以下、CFP情報)集計や、希少資源の環境・人権への配慮状況(人権・環境デューデリジェンス)、バリューチェーン上のリサイクル・リユース情報などを可視化する仕組み「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を構築します。2025年から一部義務化が開始される欧州電池規則への対応も見据え、まずは2024年度中に、製造時のバッテリー情報(CFP情報や人権・環境デューデリジェンス情報)を企業間で連携するサービスを提供予定です。
2023年4月には経済産業省が中心となり、企業や業界、国境を跨ぐ横断的なデータ流通やシステム連携の実現を目指す取り組みを総称し「ウラノス・エコシステム」と命名しました。NTTデータおよび株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータグループ)は、「ウラノス・エコシステム」に関する公募事業に採択されるなど、企業間の安全なデータ連携の実現に向けた取り組みを進めており、グループ間で連携し、ノウハウを活用していきます。注4具体的には、NTTデータグループは、データ主権を確保しながら安全にデータを流通させるためのConnector技術等を用いて、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステムとユーザー企業システムやアプリケーションとの間のデータ流通機能を提供する役割を担います。今回のバッテリートレーサビリティプラットフォームは、ウラノス・エコシステムにおけるユースケースとして開発することになります。今後、バッテリー以外の他産業におけるユースケースへの展開についても検討していきます。
また、本開発においては、自社で開発したQRコード注5や、食品流通業界や物流業界で使われているブロックチェーン技術等を有する株式会社デンソー(以下、デンソー)と協力して取り組みます。デンソーは、将来的な幅広い産業におけるトレーサビリティ技術の活用も視野に入れながら、業界課題の整理や業務要件の検討を推進する役割を担います。

3.今後について

欧州電池規則において、バッテリーパスポートやリサイクル材利用義務化等のリサイクル促進のための規制が開始される2027年までに、バッテリー単位での情報管理を実現することで、購入ユーザー、解体業者、リユース企業、リサイクラなど、バリューチェーン上のプレーヤーと情報連携する機能を、本プラットフォーム上に拡張予定です。業界横断でデータを連携することで、電動車向けバッテリーにおけるサーキュラー・エコノミーの実現を目指していきます。
日本国内で制度・システムを整えた後、将来的には日本車が普及しているアジア諸国へサービスを展開し、国外でも幅広く利用されるプラットフォームを目指します。また、本システムは電動車向けバッテリーのみならず、サプライチェーンおよびバリューチェーンにおいてデータ連携が必要となる他のユースケースへの適用についても検討していきます。

図:バッテリートレーサビリティプラットフォームのイメージ

図:バッテリートレーサビリティプラットフォームのイメージ

関連リンク

NTT DATAのデータスペースに関する取り組み
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/dataspace/

注釈

  • 注1 NTTデータは、2023年8月に、令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」に採択されました。本事業は一般社団法人 低炭素投資促進機構が補助事業の事務局として公募を実施しています。
    https://www.teitanso.or.jp/case2023/
  • 注2 NTTデータとデンソーは、2022年9月に経済産業省の以下の補助事業(補助事業の事務局は一般社団法人 低炭素投資促進機構)に応募し採択されました。
    「令和4年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業費補助金(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」(カーボンフットプリント及びリユース・リサイクル並びにデータ連携基盤構築)」
    https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/saitaku/2022/s220920001.html
    https://www.teitanso.or.jp/case/
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2022/101300/
  • 注3 EUにおいて、2023年8月17日にバッテリー製品の原材料調達から設計・生産プロセス、再利用、リサイクルに至るライフサイクル全体を規定するバッテリー規則が施行されています。
    https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2023/1542/oj
  • 注4 NTTデータグループは、経済産業省が中心となって、企業や業界、国境を跨ぐ横断的なデータ連携基盤の構築を目指す「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」に関する公募事業に採択され、2023年10月より、サプライチェーンデータ連携基盤の開発・実証事業に着手します。
    https://www.nedo.go.jp/koubo/IT3_100282.html
  • 注5 QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
公共統括本部
第三公共事業本部
デジタルプラットフォーム事業部
第一システム統括部
第一営業担当
河田、増田
TEL:050-5546-2910

株式会社NTTデータ
第一インダストリ統括事業本部
自動車事業部
第二ビジネス統括部
福井、解田
TEL: 050-5546-8541