花粉対策事業に貢献するドローンとAIを活用した共同研究を実施
~スギに適した植林場所の選定を支援する~
トピックス
2024年6月28日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、ドローンの社会実装に向けた取り組みを進める一環として、2023年10月から2024年4月にかけ、(公財)東京都農林水産振興財団 東京都農林総合研究センターとともにドローンとAIを活用した「スギの生育に適さない場所を示す植物」の生息位置を特定する共同研究を行いました。かねてよりNTTデータが有人航空機の分野で安全航行管理を支えるシステムを提供してきたノウハウを生かし、東京都が進める花粉対策のひとつ「花粉の少ないスギへの植え替え事業」への貢献を目的としたものです。 現在、公益財団法人東京都農林水産振興財団では花粉対策として多摩地域における花粉の少ないスギへの植え替え事業を実施しており、東京都農林総合研究センターではスギの健全な生育に関する研究としてスギの生育に適さない場所を示す特定の植物について調査していますが、調査は険しい山林や急な斜面での目視確認を必要とするため、時間と体力を要求されます。また、急斜面の調査には危険が伴い、目視での確認が難しい場所も存在します。
これらの解決策を探るため、今回の共同研究では、まずスギ植え替え事業の施業地においてドローンを自動航行させ対地高度5mから直径10cm程度の小型植物を撮影し、それをもとに葉のつき方の特徴まで識別可能な高画質のオルソ画像注1を生成しました。その後、AIソフトを用いて、複数の植物の中からスギの生育に適さない場所を示す特定の植物を判別、その結果を地図ソフト上にマッピングし「植物生息地マップ」を作成することで、当該施業地における特定の植物の生息位置を可視化しました。これにより、植物の確認に要する時間の削減を目指します。
また、この調査中、低空飛行による撮影範囲の狭小化という課題を解消し、撮影効率向上を図るために行ったドローンの2台同時自動飛行にも成功しました。
現在、人力・手作業で行っている本調査をドローンで代替することにより、調査エリアの拡大、調査効率の向上、調査員の安全確保などに大きく貢献するものと期待されます。
実施概要
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実施場所 |
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実施内容 |
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検証観点 |
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ドローンの活用により期待される調査活動への効果
ドローンを活用し、空撮した画像から特定の植物を抽出して、生息する位置を確認できたことで、調査に費やす労力の低減への貢献が可能となりました。
エリア拡大
人力では困難だった急斜面もドローン撮影で調査可能となるため、より広範囲での調査による、生息位置の正確な把握が可能です。
時間短縮
人力で捜索する場合に比べ短時間での調査が可能です。
調査頻度の向上
一度設定した飛行ルートの使用により、定期的な定点観測が容易に可能です。
危険性低減
急斜面など危険な場所に立ち入る必要がないため、滑落などの危険性の低減が可能です。
今後について
今後は本プロジェクトから得た知見や成果を生かし、調査対象の植物の種類の増加や調査エリアの拡大を図りながら、他のデータとかけ合わせた分析を行うことで、森林保全分野の発展に寄与できるよう実証を進めます。
さらには広く社会全体に展開し、より高度かつ広範囲な社会への貢献を目指します。
注釈
- 注1 オルソ画像:写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(以下、「正射変換」という)したもの
- 注2 DF Scanner:DeepForest Technologies社が開発、販売する森林情報解析システム
- 「airpaletteUTM」は、日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
デジタルコミュニティ事業部
佐藤、増永、篠原
E-mail:tmgdrone@hml.nttdata.co.jp