全国初 衛星画像データによる都市計画基本図更新を実施

トピックス

2024年7月30日

株式会社NTTデータ
一般財団法人リモート・センシング技術センター
中日本航空株式会社

概要

株式会社NTTデータ、一般財団法人リモート・センシング技術センター、中日本航空株式会社(以下、「事業体」という。)は、衛星画像データを用いた新しい測量技術(以下、「本技術」という。)を確立し、山口県山陽小野田市(以下、「山陽小野田市」という。)が全国初の取り組みとして、本技術を用いて都市計画基本図の更新を行いました。
従来公共測量においては、解像度や位置精度の課題から衛星画像データの使用が想定されておらず、空中写真測量が主流でした。しかしながら、自治体での予算上の制約等もあり、適切な頻度で都市計画基本図を更新できない自治体が多く存在しています。
更新手法に新たな選択肢が加わることにより、全国の自治体で適時更新が進み、現況に即した都市計画の立案やまちづくりの基礎資料としての利活用が期待できます。

背景

事業体は、全国の自治体が適切な頻度で都市計画基本図を更新できるよう、衛星画像データを活用した新たな測量技術を確立することを目指し、令和2年度より山陽小野田市とともに、内閣府の実証事業に取り組み始めました。
衛星画像データを用いて都市計画基本図を更新するためには、公共測量として測量法の「作業規程の準則」(以下、「準則」という。)に適合する必要があります。これまで衛星画像データの利用方法については準則に規定されていなかったため、準則第17条第2項の定めにより準則に定めのない新技術で公共測量を行うための手続きを行うこととなりました。

実証事業の結果

実証事業では、以下3点について検証し、基準を満たすことが確認できました。
その後、実証事業において作成した作業マニュアル案と精度検証報告書案をもとに、国土地理院と協議・修正を繰り返し、無事、準則第17条第2項を適用した新しい測量技術として衛星画像を用いた測量が可能となりました。令和6年3月には全国で初めて、衛星画像データを用いて更新された都市計画基本図が完成しました。

表:実証事業の結果

項番 検証項目 検証結果
(1) 準則が定める精度を満たすこと 衛星画像データを用いた都市計画基本図の更新における精度は準則の要求精度を十分に満たせる
(2) 準則第17条第2項の適用可能性の確認 準則第17条第2項を適用した新しい測量技術として、公共測量を行うめどがついた
(3) 従来手法と比較した場合の費用削減効果 コスト削減効果も見込める

概要(特長)

新手法では衛星による撮影を行い、従来手法と同様の手順で都市計画基本図を更新します。衛星は広域を網羅し、周期的に撮影しているため、面積が広い自治体であっても継続的な更新が可能です。空中写真測量と比較すると、衛星による撮影は面積あたりのコストが低いため、特に広域を対象とする業務において、コスト削減効果が見込まれます。

図1:衛星画像データを利用した新しい測量技術

図1:衛星画像データを利用した新しい測量技術

撮影した衛星画像データと、作成した地図は以下の通りです。近年、商用衛星の解像度は最高30cmまで向上しており、航空写真に近しい視認性となっています。新しい測量技術により更新した都市計画基本図は、従来手法で作成したものと同等であり、山陽小野田市では公開型GIS(自治体の各種個別業務で保有する地図情報を公開することで、市民サービスの向上につなげる仕組み)の背景図としても利用されています。

図2:衛星画像データを用いた都市計画基本図の更新の例

図2:衛星画像データを用いた都市計画基本図の更新の例

今後について

現時点では、準則に適合する範囲は平たん地に限定されているため、今後は山間部を含む全域を対象として衛星画像データを使用できるよう、取り組んでいきます。宇宙業界においては、これから数多くの高解像度衛星の打ち上げが予定されており、衛星画像データを用いた地図の更新がより身近になることが期待されます。
事業体は、最新の衛星画像データと新しい測量技術を用いて、全国の都市計画基本図の更新業務に貢献していきます。

注釈

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本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
アセットビジネス担当
大竹、神立
TEL:050-5546-2450