衛星画像やドローンを活用した高精度な水害住家被害調査技術により罹災証明書や保険金支払いの迅速な実施をサポート

~制度改正に伴い、サービス提供にむけて始動~

トピックス

2024年9月25日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、令和6年5月の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」注1の改定を受けて、これまでの実証事業等で培った衛星画像やドローンを活用した高精度な水害住家被害調査技術を用いたサービスの提供を目指し始動します。
従来、被災後の罹災証明書発行のための住家被害認定調査は目視が原則でしたが、被災者の迅速な生活再建の観点から制度が改正され、被害認定調査にAIやドローン等のデジタル技術の積極的な活用が可能になりました。
NTTデータは本制度の見直しのための技術検証事業(以下、本実証事業)に参画し、衛星画像の解析などAI技術の開発やドローンを航行するための各種調整等の運用面で実績を積んできました。本実証事業においてドローン等による調査でも目視と同水準の調査が可能であることを確認し、制度改正に向けた動きが大きく前進しました。
NTTデータは本実証事業で培った技術・ノウハウを実用化し、(1)衛星やドローン等による広域画像の取得から30分以内に解析結果を提供する「浸水域、浸水戸数の推定機能」と、(2)ドローン空撮画像を使用して調査対象の3Dモデルを生成して外観調査に活用する「浸水深の計測機能」(技術検証事業で計測誤差1cm以内の精度が確認)の2つの機能をサービス提供することを目指します。本サービス提供により自治体や損害保険会社等が実施する住家の被害認定調査の省人化・効率化を実現するとともに、災害からの生活再建に貢献していきます。

背景

近年、日本の全国各地で甚大な被害をもたらす台風や豪雨等自然災害が頻発しています。自然災害発生時には、自治体の罹災証明書の発行や損害保険会社の保険金支払いのために住家の被害調査が行われますが、自然災害の激甚化や広域化、人手不足等により、被災者への初動対応・早期復旧に関わる対応が逼迫(ひっぱく)するケースがでてきています(図1参照)。さらに、罹災証明の住家被害認定調査は目視原則とされているため、デジタル技術で代替することが現実的に困難でした。
そこでNTTデータは、防災コンソーシアムCOREでの活動等を通じてドローンを活用した住家被害調査の技術開発を行うとともに、デジタル庁のアナログ規制見直しのための技術検証事業注2に取り組みました。技術検証の結果、デジタル技術を活用した調査の精度がこれまでの目視調査と同水準であることが確認できたことにより、2024年5月に災害に係る住家の被害認定基準運用指針が改定され、住家の被害認定調査にAIやドローン等のデジタル技術の活用促進が図られることとなりました。

図1:災害に係る住家被害認定業務の流れ

図1:災害に係る住家被害認定業務の流れ

図2:石川県内灘町でのドローン調査(実証実験)の様子(2024年3月撮影)

図2:石川県内灘町でのドローン調査(実証実験)の様子(2024年3月撮影)

概要(特長)

震災発生後、調査計画策定から各住家の外観一次調査に必要となる情報や調査の代替手段として、以下、2つの機能をサービス提供することを目指します。

調査計画策定に有効な浸水域、浸水戸数の概算
衛星画像やドローンによる空撮画像から浸水域をAIが自動推定・抽出するとともに、その推定浸水域と住宅地図等の住家に係る情報を組み合わせることにより、調査計画策定には十分な精度での調査対象エリアおよび戸数を概算見積もりすることが可能です。
浸水域の解析、住家戸数の解析ともに10分以内に実施可能であり、デジタル庁との技術検証事業においては、空撮画像入手から最短30分以内で解析結果を提供することができました。短時間で水域や浸水戸数を見積もることができることで、例えば、これまで人員を割いて現地確認していた被災範囲の把握作業が大幅に縮小または不要になり、リソースの最適化に役立ちます。また、現地確認による二次被害の防止にもつながります。

図3:浸水域、浸水戸数の概算イメージ

図3:浸水域、浸水戸数の概算イメージ

ドローンを活用した各住家の浸水深の計測

ドローン撮影から生成した3Dモデル等により目視調査と同等水準の浸水深の計測結果を提供することが可能です。3Dモデルは360度どの角度からも確認することが可能なため、浸水痕を探すため家を一周することも可能注3です。また3Dモデル上での計測も可能なため、例えば浸水痕までの高さ等の計測が可能となります。技術検証事業において計測誤差は1cm以内となっており、精度としても現地調査の代替手段として活用可能です。また、一戸単位での各住家の浸水痕が確認し難い場合等に浸水深の分かっている箇所の情報を基に疑似浸水面を再現することで、各住家の浸水深を推定する簡易的な手法注4も提供します。
ドローンの撮影~解析までは、1戸当たり10分程度で実施できたことが技術実証事業から確認できており、調査の省人化だけでなく時間の面でも効率化が見込まれ、早期の罹災証明書発行につなげることが可能です。

図4:各住戸の浸水深の計測イメージ

図4:各住戸の浸水深の計測イメージ

今後について

NTTデータは本サービスの提供により、自治体や損害保険会社の住家の被害認定調査の省力化・効率化を実現するとともに、被災後速やかに支援が届くことによる被災者の生活再建に貢献していきます。
現在は水災が対象ですが、震災への拡大にも取り組み中です。震災へのデジタル技術の活用についても、技術の検証とともに、関係各所と連携し規制緩和の実現を目指します。

注釈

  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
長村
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第一公共事業本部
危機管理ソリューション担当
森田
TEL:050-5545-1866