デジタルアセット市場における“ナショナルインフラ”実現に向けた、「Progmat SaaS」及び「導入支援サービス」の提供開始について

トピックス

2024年11月1日

Progmat, Inc.
株式会社NTTデータ
SBI R3 Japan株式会社

Progmat, Inc.(代表取締役 Founder and CEO: 齊藤 達哉、以下 Progmat社)は、株式会社NTTデータ(代表取締役社長: 佐々木 裕、以下NTTデータ)及びSBI R3 Japan株式会社(代表取締役CEO:藤本 守、以下 SBI R3 Japan)と連携し、デジタルアセット発行・管理基盤である「Progmat(プログマ)」のSaaS版(以下「Progmat SaaS」)をリリースすると共に、「導入支援サービス」の提供を開始しました。

「Progmat SaaS」導入により、広範な金融機関の皆さまが、自社サーバー上にブロックチェーン/分散型台帳のノード等を構築することなく容易にデジタルアセット関連事業(原簿管理業務・カストディ業務等)を開始することが可能となります。また、広範な証券会社/仲介者の皆さまが、投資家の秘密鍵管理等を第三者(カストディアン)に委託することなく自社で完結することも可能となります。結果として、「セキュリティトークン注1」(以下、ST)の発行を企画する事業者の皆さまや、STの売買を希望する投資家の皆さまにとっての選択肢が拡がり、デジタルアセット市場の効率性向上や規模の拡大が期待されます。

図1

1.「Progmat SaaS」提供の背景

日本では、2020年施行の改正金融商品取引法によるST規制、2023年施行の改正資金決済法による「ステーブルコイン注2」(以下、SC)規制と、デジタルアセット市場の基礎が着々と整備されており、世界的な“伝統的金融×トークナイゼーション”の潮流の中でも優位に立ちうる市場です。

こうした機会を捉え、Progmat社は、デジタルアセット市場参加者同士のグループを超えた「共創」と、金融市場に関する深いドメイン知識と圧倒的なインフラ構築力を「1つの組織」で兼ね備えることを目的に、2023年10月に中立的な「共同事業体/スタートアップ」として設立されました注3

国内全体で既に2,700億円規模のST案件注4が組成されており、ST案件取扱数や利用証券会社のネットワークにおいて「Progmat」は国内トップの実績注5となっていますが、これまでのパッケージ版では自社サーバー上にブロックチェーン/分散型台帳のノード等を構築するか、カストディアンとして第三者を介在させて手数料を支払う必要があり、市場参加者の裾野を拡げるうえでのハードルとなっていました。

2.「Progmat SaaS」提供の目的と概要

そこでProgmat社は、上記ハードルを解消するため、各市場参加者が容易に利用可能な「Progmat SaaS」の開発に従事し、本日より提供が可能となりました。これまでのパッケージ版との主な相違点と期待効果をまとめると以下のとおりです。

図2

「Progmat SaaS」を支える基盤サービス(クラウド運用等)は、数多くの共同化システム構築実績を有するNTTデータとの連携により提供し、金融業務で必要となる高い品質・安全性・柔軟性を備え、安定的なアプリケーションの動作継続を可能としています。

また、「Progmat SaaS」が接続するブロックチェーン/分散型台帳として、SBI R3 Japanとの連携により、アジアで初めて「Corda5」に対応しています。「Corda5」は、各国の中央銀行が導入を検討しているCBDCなど、ミッションクリティカルなシステムの要件に対応するため、既存のCordaの設計理念を維持しつつ、基盤となるシステムアーキテクチャを刷新したものです。
具体的には、Kafka注6やKubernetes注7といった高可用性を実現するインフラ技術を採用し、内部処理をマイクロサービス化することで、さらなる可用性とスケーラビリティを達成しています。また、インフラのガバナンスに対する柔軟性が向上し、新規ノードの追加や管理がより効率的かつ柔軟になった点も特徴です。将来的にはノンストップでのメンテナンスも可能になる予定です。

「Progmat SaaS」では、金融機関や証券会社/仲介者の皆さまの既存システムからのAPI呼び出しによる自動連携から、無償提供のUI(ユーザーインターフェース)からの画面入力まで、利用者の状況に合わせた導入が可能であり、適切な導入方法の提案からシステム連携の支援までを「導入支援サービス」としてメニュー化し、Progmat社とNTTデータとで提供していきます。

3.今後の予定

現在「Progmat」のパッケージ版を利用している三菱UFJ信託銀行では、現在カストディ委託元となっている証券会社と連携し、2025年2月に「Progmat SaaS」への一斉移行を実施予定です。

他の導入予定の金融機関や証券会社/仲介者の皆さまについては、利用開始時点で適宜公表します。

以上

注釈

  • 注1 ブロックチェーン/分散型台帳等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、有価証券等の総称(金融商品取引法における「電子記録移転有価証券表示権利等」)
  • 注2 ブロックチェーン/分散型台帳等の電子情報処理組織を用いて移転することができる、法定通貨と価値の連動等を目指す決済手段の総称(資金決済法における「電子決済手段」)
  • 注3 プレスリリース: https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/230911_1.pdf
  • 注4 公募型資産裏付STを発行する受益証券発行信託における信託設定時の信託元本、および公募型債券STの発行金額を基に、Progmat社により算出
  • 注5 上記注4と同様の対象案件において、公募不動産STが24件、公募社債STが2件、利用証券会社(カストディ委託元)が9社/全11社
  • 注6 大規模なデータのリアルタイム処理を可能にする分散型メッセージングプラットフォーム。システム間のデータのやり取りを効率的かつ高信頼で行うことが可能。これにより、トランザクションやイベントの同時並列処理性能を高めるもの
  • 注7 アプリケーションをコンテナ(仮想化技術の一種)として管理し、自動的に配備、スケーリング、運用を行う技術。これにより、システムの可用性やスケーラビリティを向上させると同時に、メンテナンスや更新作業を容易にするもの

<別紙>

1.「Progmat, Inc.」概要

商号:
Progmat, Inc. (株式会社Progmat)
代表者:
代表取締役 Founder&CEO 齊藤(さいとう) 達哉(たつや)
本社:
東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング(WeWork内)
設立日:
2023年10月2日
HP:
https://progmat.co.jp
解説記事:
https://note.com/tatsu_s123/n/n03a291fa52ab
図3

2.「Progmat」プロダクト概要

「マルチアセット(STのみならず、SCやUTも)」×「マルチチェーン/クロスチェーン(ユースケースによってチェーン選択)」×「マルチウォレット(パーミッションレスチェーン上のアセットの接続元ウォレットはオープン)」を特徴とし、様々な展開に対応可能な拡張性を担保しています。

3.国内ST市場概要

ST案件の残高総額は約2,700億円、ST発行累計額は約1,400億円/49案件(うち7件償還済)、参入証券会社数は11社(+自己募集事業者有)となっています。

本件に関する問い合わせ先

株式会社NTTデータ
イノベーション本部GCS室
コンサル&セールス統括部
カスタマーコンサル担当
白川、大槻、星野
E-mail:salesgroupfor_progmat@hml.nttdata.co.jp