データセンターにおける液体冷却技術の活用推進に向けて、「Data Center Trial Field」を開設
トピックス
2024年11月21日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、データセンターにおける液体冷却技術の活用推進に向けて、検証施設「Data Center Trial Field」を2024年11月から千葉県野田市に開設します。
昨今、AIなどの情報技術の発展により急増するサーバーの発熱量に対して、冷却効率が高い水冷サーバーや液浸冷却など液体冷却技術が注目されています。しかし、現在の液体冷却技術はメーカーごとに仕様が異なるためお客さまの要望を十分に満たすことが難しく、安全な施工や運用のための関係会社間の相互理解も不足しています。
これらの課題解決には、データセンターに関わる各事業者が参画し、ITサービスの企画から運用までの各フェーズを想定した共同検証を行うフィールドが必要です。
「Data Center Trial Field」は、日比谷総合設備株式会社(以下、日比谷総合設備)と桑名金属工業株式会社(以下、桑名金属工業)協力のもと、データセンターの冷却設備を再現し、複数の液体冷却の装置・サーバーを同時稼働できる環境を提供します。本施設に各事業者が集い、上記課題解決に向けた共同検証を実施していきます。
NTTデータは、事業者間のコミュニティー拡大とコラボレーションの推進を通して関連技術の発展を支えるとともに、より持続可能性の高いITサービスをお客さまへ提供していきます。
背景
昨今、AIやクラウドサービスをはじめとした情報技術・サービスの発展により、データセンターの需要は急増しています。また、膨大なデータ処理を効率的に行う技術はデータセンターの電力消費の急増や、サーバーラックの高集積化による発熱量の増加を引き起こし、従来の空気による冷却方式のみでは対応が難しくなっています。そのため、冷却効率が高く、省エネルギーな水冷サーバーや液浸冷却など液体冷却技術のニーズが高まっています。
しかし、現在の液体冷却技術はメーカーごとに異なる仕様で設計・提供されており、負荷容量や台数に関する初期構成、稼働後のサーバー増減等の構成変更の柔軟性に欠け、お客さま要望を十分に満たせないなど課題があります。
また、サーバー室の構築にはサーバーやサーバーラックのほか、熱源機器と熱交換器をつなぐ配管・配管接続部の処置といった安全を担保するための施工や、中央監視ネットワークと各機器の保守運用のためのシステム連携・運用フローを確立する必要があり、データセンター事業者を中心に、配管施工会社・装置メーカー・設計会社等の相互理解・連携が求められます。
これら液体冷却技術の活用における課題を解決し、社会実装をより加速させるためには、データセンター環境を再現できる検証施設と、データセンターに関わる各事業者が連携・協働するコミュニケーションの場が必要です。
概要
NTTデータは、日比谷総合設備と桑名金属工業の協力のもと、データセンターの冷却技術検証施設「Data Center Trial Field」を、2024年11月から千葉県野田市に開設します。開設にあたりNTTデータは液浸冷却装置・水冷ラックおよびサーバーを提供、日比谷総合設備は検証施設の構築、桑名金属工業はチルドタワー®注1を提供します。
本施設では、データセンターを再現した環境下で液体冷却技術の実機稼働が可能になるほか、データセンターの効率性向上のための最適な冷水温度・流量を探る検証や、既存データセンターへの導入に向けた監視システム・施工・運用面の適応可否確認、実機導入のための保守作業員のトレーニングを行う事が可能です。
本施設は、独自に発展する液体冷却技術を活用するために、データセンター事業者や機器メーカーの他、ITベンダーや研究機関などデータセンター領域のさまざまなプレーヤーが集い、課題解決に向けた共同検証を行う場として運用を行います。
本施設を活用することで、液体冷却技術の活用における課題に対し、下記のメリットを創出します。
「Data Center Trial Field」の特長
- ドライクーラー注2とチラー注3を一体化した熱源「チルドタワー」による柔軟な運用条件の設定が可能
チルドタワーは外気を活用することで省エネルギー性能が高いほか、供給冷水温度域が広いことが特長です。そのため、冷水の要求温度が異なる装置の柔軟な受け入れと、適用環境に応じた温度条件を想定した検証が可能です。 - 複数機器の同時稼働および入れ替えが可能
二次側接続口を複数用意しているため、機器の同時稼働により、同一環境下での異なる機器の検証や、差分評価が可能です。また、さまざまな検証テーマを並行して実施できるほか、冷却システムを止めることなく機器の入れ替えを行う運用および施工テスト・評価が可能です。 - 施設内コラボレーションによる検証の詳細化が可能
本施設はデータセンターの機械設備施工を多く手掛ける日比谷総合設備の拠点を活用しています。そのため、液体冷却の配管と建物配管の接続技術検証および製品開発といった、冷却技術周辺に関する検証についてもコラボレーションによる実施が可能です。
基本情報 | ||
名称 | Data Center Trial Field | |
所在地 | 日比谷総合設備株式会社 技術研究所 | |
開設 | 2024年11月 | |
面積 | 105m2 | |
冷却能力 | 75kW(開設時) | |
電源容量 | 6kVA×4 3kVA×2 計30kVA(開設時) |
今後の予定
今後NTTデータは、本施設において、液浸冷却や水冷サーバーなど液体冷却の性能や運用・周辺技術・ソリューションに関連した検証を行い、お客さま要望を柔軟に満たすサービス提供を行います。また、装置配管に関する国内外の規格差異に起因する施工課題を解消し、さまざまな環境で液体冷却技術が導入されることを想定して、日比谷総合設備と専用部品の開発等に取り組んでいきます。
NTTデータは、ITベンダーとデータセンター事業者を繋ぎ、業界を横断した事業者間コミュニティーの拡大やコラボレーションを通して液体冷却技術の活用と社会実装を推進し、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきます。
注釈
- 注1 「チルドタワー」は桑名金属工業株式会社の登録商標です。
- 注2 ドライクーラーとは空気を媒体として冷水温度を下げる機器です。
- 注3 チラーとは圧縮機などを用いて機械的に冷水温度を下げる機器です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
In English
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
テクノロジーコンサルティング事業本部
テクノロジーコンサルティング事業部
小賀、黒瀧、宇野
TEL:050-5546-9491
E-mail:facility_consulting@kits.nttdata.co.jp