生成AIを活用したISO20022対応を支援するサービスの提供開始

~不規則な住所データを生成AIで構造化し、金融機関や企業のデータ移行にかかる作業負担を軽減~

トピックス

2025年3月26日

株式会社NTTデータ
NTTデータ ルウィーブ株式会社

株式会社NTTデータ(代表取締役社長:佐々木裕、以下:NTTデータ)とNTTデータ ルウィーブ株式会社(代表取締役社長:三宅 信一郎、以下:NTTデータ ルウィーブ)は、生成AI技術を駆使して金融機関や企業が保有する不規則な住所データを自動的、かつ効率的に構造化する「ISO住所構造化サービス」を2025年3月より提供開始します。複数の金融機関と一般企業がサービス利用を予定しています。
本サービスの導入により、インターネットバンキング上の送金テンプレートや顧客管理システムなどの住所データを生成AIで自動的に項目別に構造化し、ISO20022注1の新フォーマットへ対応させることが可能となります。国際的な統一規格がなく複雑な各国の住所入力にかかる手間やミスを大幅に軽減し、円滑で効率的な国際送金の実現・継続に寄与します。
また、国内外でデジタルトランスフォーメーション(DX)やITモダナイゼーションのニーズが高まるなか、本サービスにおいてはグループ内アセットを有効活用しグローバル展開を可能とするため日・英両言語対応としました。世界中の現地グループ会社と連携し、海外市場への販路拡大をめざします。
NTTデータおよびNTTデータ ルウィーブは、今後も生成AIを活用し、金融機関や企業が直面する制度対応や課題解決をサポートし、より効率的で信頼性の高いソリューションを提供していきます。

背景

外国送金にかかる代表的な国際決済ネットワークであるSwift注2は、外国送金時に使用する電文について、2025年11月までに新フォーマットである国際標準規格ISO20022に移行することを発表しています。Swiftは、2025年11月までは既存フォーマット(MTフォーマット)と併存するものの、2025年11月以降は新フォーマット(MXフォーマット)のみを取り扱う予定です。このことから、外国送金を利用する金融機関、および企業は、MTフォーマットの利用期限である2025年11月までにISO20022への対応として電文の変更等が必要となり、住所データについても移行対応が求められます。しかし、各国の住所定義は、通称や旧称などの表記、特別区など固有要素、通りや番地の番号表記順序などが異なり、これらをすべて体系的にまとめた情報は存在しません。現在、Swiftから公表されている住所定義は33の国・地域のみであり、それ以外の国・地域については網羅的な情報がないため、効率的な移行作業を行ううえでの課題となっています。
こうした状況を踏まえ、NTTデータおよびNTTデータ ルウィーブは、高度なデータ処理技術とISO20022対応の専門知識を活用し、効率的かつ正確な一括住所構造化を実現する「ISO住所構造化サービス」を開発しました。

概要(特長)

「ISO住所構造化サービス」は、Swiftが推奨するFully-structured形式注3に準拠した住所情報変換を可能とするNTTデータ ルウィーブの「STRUCTURIZ™」注4をベースに機能拡張し、NTTデータのクラウド基盤上に構築した共同利用型サービスです。各金融機関や企業は個別にシステムを構築する必要がなく、導入コストを抑えつつ、迅速かつ効率的にISO20022への移行を実現できます。

(1)提供価値

本サービスでは、企業の多様なニーズに応じた2つの利用方法を提供し、さまざまなシーンでの活用を可能にします。

1.事前データ移行

金融機関や企業のシステムに登録されている顧客情報(取引先企業の情報)を事前にデータ移行(住所構造化)する事ができます。送金時は、すでに構造化された住所情報を使用して送金を行います。

例)企業のERPシステム内データを、事前に一括構造化

図1:事前データ移行のイメージ

2.リアルタイム利用(※2025年初夏、サービス提供開始予定)

「事前データ移行」後に発生する新規取引先についても、本サービスを利用することで、随時住所の構造化が可能です。これにより、金融機関や企業はシステム登録や送金を常に構造化された住所情報で行うことができます。

例)システム未登録の新規取引先について、発生都度に構造化

図2:リアルタイム移行のイメージ

(2)構造化の仕組み

従来、MTフォーマットでは、住所情報について構造化せずに、国や都道府県、市町村名などの項目を一つのフィールドにまとめて入力していました。しかしながら、MXフォーマットでは各項目別に構造化し入力する必要があります。
本サービスは、国ごとに異なる住所体系を独自ロジックで分析しAI技術で自動検知し、MXフォーマットの細分化された各住所項目(Ctry<国名>、CtrySubDvsn<都道府県名・地域名相当>、PstCd<郵便番号>、TwnNm<市町村相当>など)へ自動変換入力を行います。利用対象は、今回のISO20022への移行を必要とするすべての金融機関(外国送金実施者)、一般企業(外国送金の依頼人)、Fintech企業(金融サービスの提供者)となっており、対象者が手作業で行う場合の調査や構造化、あるいは表記ゆれの修正などの負担を大幅な軽減できます。
さらに、今後はHybrid(Semi-structured)形式注5への住所変換も対応可能となる予定です。

図3:ISO住所構造化サービスのイメージ

(3)グローバル対応

ISO20022対応は日本国内だけではなく、全世界の金融機関や外国送金を行う企業にとって必須の制度対応です。このため、本サービスでは日・英両言語対応を実現、海外市場での使用を可能としました。世界中の現地グループ会社と連携し、欧米・アジアなどでの販路拡大を予定しています。

今後について

NTTデータ、およびNTTデータ ルウィーブは、今後もISO20022対応について、OpenAPIなどの機能拡張を通じて各企業システムやFintech企業の金融サービスとの連携を実現し、企業がより円滑に国際送金業務を行えるよう貢献していきます。
また、ISO住所構造化サービスにとどまらず、今後も金融機関や企業が直面する制度対応や課題解決をサポートするために、生成AIを活用して、より効率的で信頼性の高いソリューションを提供していきます。

注釈

  • 注1 ISO20022とは、国際標準化機構(ISO)が定める金融サービスに関連するデータフォーマットの共通化・標準化を目指して規定された国際標準規格です。システム処理に適した形でより多くの情報を送受信することが可能な共通フォーマットとして、Swiftや世界各国の国内決済において採用されています。
  • 注2 国際銀行間通信協会
  • 注3 Fully structured形式は、ISO20022で定義される住所情報の構成要素タグすべてに対応した形式です。
  • 注4 STRUCTURIZ™では、自然言語解析や大規模言語モデルなど幅広いAI技術を駆使して住所構造化ルールを学習させるため、投入された住所情報をSwiftの新フォーマット(MXフォーマット)における構造化住所へ変換することが可能です。セキュリティ面では、生成AIによる再学習防止策や外部漏洩対策を講じています。
  • 注5 Hybrid(Semi-structured)形式は、必須項目(Mandatory)のみ対応し、それ以外は一律、AddressLine(アドレスライン)と呼ばれる項目に設定が可能な形式です。
  • 「STRUCTURIZ(ストラクチャライズ)」は、NTTデータ ルウィーブが商標登録出願中の名称となります。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第三金融事業本部
e-ビジネス事業部
デジタル戦略室(OpenCanvas Atelier)
島村、山本、渡邉、土橋
E-mail:addressstructuring@hml.nttdata.co.jp

NTTデータルウィーブ株式会社
アドバンスド・ソリューション事業本部
Paymentソリューション事業部
遠藤、松田、角
E-mail:sriz-service-info@hml.nttata-luweave.com