独自開発「プログラム合成技術」により、生産性を従来比約1.7倍
~国内初、金融機関の大規模開発でデータ基盤移行の自動化を実証~
トピックス
2025年4月24日
株式会社NTTデータグループ
株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータグループ)は、2021年に論文発表したSQLクエリを自動生成する技術注を応用し、データ基盤の移行に必要な移行前後のデータ形式の差分を補正するプログラムを自動生成する「プログラム合成技術」(以下、本技術)を自社開発しました。この技術を金融機関の大規模開発に適用し、データ基盤移行における有効性を検証しました。これは国内で初めて本技術を商用プロジェクトに適用した事例であり、検証では人手での作業と比較して約1.7倍の生産性を実現しました。NTTデータグループは、今後もこのような先進的技術の適用を推進することで、システム移行や刷新の効率化を実現し、お客さまのビジネス変革を強力に支援してまいります。
背景
システムの老朽化や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、さらにデジタル社会の実現をめざした官民連携などを目的に、現行システムから新システムへの移行や刷新に取り組むプロジェクトは数多く存在し、NTTデータグループはこれまで多くのお客さまのシステム移行や刷新を手掛けてきました。
システム移行や刷新の際には、一般的にデータ基盤の移行が伴いますが、移行前後で格納する文字列の形式やデータ構造に差異が生じる場合、その差分を吸収する補正処理プログラムの開発が必要となります。特に、データ項目が数千個を超えるような膨大な場合には、人手による開発に多くの時間とリソースが必要で、開発期間が長期化するという課題がありました。
このような課題の解決をめざし、NTTデータグループは、入出力データからプログラムを自動生成する「プログラム合成技術」の研究開発を長年にわたり進めており、本技術の研究成果は国際的にも高い評価を得ています。

図:プログラム合成技術を活用したシステム移行・刷新のイメージ
概要(特長)
NTTデータグループは、このたびシステム移行や刷新における効率化を実現する「プログラム合成技術」を自社開発し、国内で初めて商用プロジェクトに適用しました。本技術の特長は以下の通りです。
(1)処理能力向上による大規模データへの対応
従来の技術では自動生成できるプログラムが多様である一方、入出力データが数キロバイトを超えると処理性能が著しく劣化する課題がありました。この課題を解決するため、数ギガバイトの入出力データを処理できる技術を開発し、大規模データを扱うデータ基盤にも適用することができます。
(2)プログラム生成対象の自動除外による適用範囲の拡大
これまでのプログラム合成技術では、入出力データから完全なプログラムを生成する手法が一般的であったため、一部の特殊な処理の生成により、プログラム全体の生成が失敗する課題がありました。そこで、自動生成が難しい範囲を自動で特定し、生成対象から除外する技術を新たに開発しました。これにより、これまでプログラム生成が難しかったデータ基盤にも適用することができます。
(3)セキュアな環境で安全に商用データを利用可能
本技術を商用データで活用するためには、セキュリティー面で安全性が確保されたツールの動作環境が求められます。そこで、インターネットから隔離された安全な開発環境で動作するツールとして本技術を提供します。
今後について
プログラム合成技術はデータ基盤移行が伴う多くの開発プロジェクトに適用可能な技術です。NTTデータグループでは、今回の金融機関での実績に加え、さまざまな業界やお客さまのデータ基盤刷新プロジェクトでプログラム合成技術の適用を進め、2028年度までに30件の大規模案件への適用をめざします。また、技術の進化に伴い、より複雑なデータ構造や処理に対応できるよう研究開発を継続し、お客さまのシステム刷新の促進に貢献していきます。
解説動画:独自開発「プログラム合成技術」により、生産性を従来比約1.7倍(03:09)
注釈
- 注 データベース領域におけるトップクラスの国際論文誌Proceedings of the VLDB Endowmentにおいて、2021年にSQL自動生成技術に関する論文を発表。国際会議International Conference on Very Large Data Bases 2021で、本成果について研究発表。
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Apps&Data技術部
E-mail:appsdata_pr@hml.nttdata.co.jp