医薬品の作用・副作用の分子メカニズム解析プロジェクトの実施 〜PCグリッドコンピューティング『cell computing®』を計算基盤として適用〜

ニュースリリース/NTTデータ

2003年9月16日

株式会社NTTデータ
アクセルリス株式会社

 (株)NTTデータ(江東区 社長:浜口 友一)、アクセルリス(株)(中央区 社長:角田 礼昭)は、理化学研究所ゲノム科学総合研究センター タンパク質構造・機能研究グループ 計算プロテオミクス研究チーム(チームリーダ:松尾洋)により選定された薬品とタンパク質の相互作用の試験的確認を行い、in silico*1アプローチの薬品開発における有効性を実証します。
 プロジェクトでは、分子レベルで医薬品が人体に存在する複数のタンパク質それぞれに対してどのような働きを行うかをコンピュータ上で検証し、タンパク質と医薬品の作用・副作用のマトリクスを作成するというものです。
 具体的には、アクセルリスがタンパク質と医薬品の結合をシミュレーションするアプリケーション(LigandFit*2)を提供し、NTTデータがPCグリッドコンピューティング*3 cellcomputing®により計算基盤の提供を行うことでプロジェクトを支援するものです。

【プロジェクトの概要】
 疾患治療に用いられるほとんどの薬品の直接的な働きは、一定の種類のタンパク質(群)に作用してその働きを調整することです。ところが、現在広く用いられている既存の医薬品の中には、どのタンパク質にどの程度の強さで作用しているかがよく把握されていないものが多く存在します。最近は特定のタンパク質を用的として設計された医薬品も増えてきていますが、その場合でも、人体中に存在するそれ以外の膨大な種類のタンパク質のそれぞれに対してどのような作用を及ぼすかが実際に確認されているわけではありません。いずれの場合も、薬品の直接的な作用メカニズム、つまりどのタンパク質の機能をどのように調整しているかは十分に解明されていないのが現状です。
 そこで、理化学研究所ゲノム科学総合研究センター タンパク質構造・機能研究グループ 計算プロテオミクス研究チーム 松尾チームリーダーにより選別された人体への影響が大きいと想定されるタンパク質と薬品をコンピュータ上にバーチャル化し、PCグリッドコンピューティングを基盤とした、in silico手法を用いて効率的な処理を行うことで薬品とタンパク質との相互作用を試験的に確認します。このin silicoを可能とするアプリケーションとして、アクセルリスのLigandFit、PCグリッドコンピューティングをNTTデータのcell computingのエクストラネットバージョン*4を用いて行います。


【参加PC】
 エクストラネットで繋ぐ計算資源となるPC群については、日本アイ・ビー・エム(株)(港区 社長:大歳 卓麻)、インテル(株)(千代田区 代表取締役共同社長:吉田 和正)、名城大学(名古屋市 学長:兼松 顯)、東京工科大学(八王子市 学長:相磯 秀夫)、東亞合成株式会社(港区 社長:山寺 炳彦)が所有するPC400台の参加協力のもと実施しています。

【各社の役割】
アクセルリス株式会社
LigandFitの提供およびアプリケーション技術サポートを提供します。
http://www.accelrys.com/jp/

株式会社NTTデータ
NTTデータはcell computingのPCグリッド技術開発を行い、ビジネスにおいて米国United Devices社と提携しています。

【今後について】
 プロジェクトを通じて、アクセルリスでは、in silicoアプローチの薬品開発における有効性を実証するとともに、NTTデータではin silico手法とPCグリッドコンピューティングのエクストラネットでの性能検証を行います。

*1 コンピュータ上で行うバーチャルな分子ドッキング
*2 タンパク、リガンドのドッキングおよび親和性評価を高速かつ高精度に行うソフトウェア
*3 ネットワークに接続された一般の家庭や企業にあるPCの余剰CPUパワーを用いて膨大な計算処理を行うNTTデータのネットワークサービス
*4 特定のPC群だけcell computingサーバとのコネクションを許可したモデル

*cellcomputing®はNTTデータの登録商標です。
*その他文中の社名、商品名は各社の登録商標もしくは商標です。


(参考)プロジェクトにおける具体的な処理内容
本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報室 宗像(むなかた)
TEL:03-5546-8051

アクセルリス株式会社
マーケティング 谷地(やち)
TEL:03-3206-3575