食品流通分野でのバリューチェーンマネジメントを検証無線ICタグを利用した実証実験を開始

　(株)NTTデータ、丸紅(株)および(株)マルエツの3社は、食品流通分野における無線ICタグの活用に関する実証実験を2003年9月24日から開始します。本実験では、食品が生産者や食品メーカから出荷され、卸売業者を経て、小売店の店頭に並び、最終的に消費者の手に渡るまでのライフサイクル管理における無線ICタグの有効性および実用化に向けての課題を検証します。実験期間は、9月24日から11月23日までの約2ヶ月間を予定しています。

【実験の概要】
　本実験の期間中、フィールドとなるマルエツ潮見店には、食品卸売り7社、食品メーカ17社の協力のもと、無線ICタグがついた生鮮食品や加工品、日配品などの商品が約90アイテムほど並びます。生産者および食品メーカから出荷される段階から商品の一つ一つに付与された無線ICタグが、物流ルートを経由し、店頭で消費者の手に渡るまでの間に、物流作業や店舗作業の効率化、消費者の受容性について検証を行います。実験期間中に使用する無線ICタグは約5万枚を予定しています。
　無線ICタグには個別IDのみが付与され、賞味期限日や出荷場所などといった商品に関する属性情報は閉域網で接続された情報センタで管理されます。また商品が流通していく中で追加される情報も情報センタで蓄積されます。蓄積された情報については、生産者から消費者まで、バリューチェーンに関わる各プレイヤへの有効な提供・活用についても検討します。

1. 実施時期：

実験は検証内容にあわせて、3つのフェーズに分けて実施する予定です。

フェーズ(1)　(9/24〜9/26)

• 物流における作業効率化検証

　関東圏内にある物流センタにおいて、商品やケース、パレットに無線ICタグを貼り付け、入出荷検品や在庫管理などへの活用を検証します。


フェーズ(2)　(10/6〜11/23)

• 生産者〜店舗の一気通貫の検証


• 店舗における作業効率化検証


• 消費者の受容性検証

　生産者および食品メーカから無線ICタグ付きの商品が出荷され、物流ルートを通過するときの情報の登録・活用について検証します。また、店舗における商品陳列や棚卸、お客様へのサービス提供などへの活用を検証します。


フェーズ(3)　(11月以降実施予定)

• 他方式無線ICタグとの比較検証

　UHF帯電波方式無線ICタグを用いて、店舗を中心に、有効性および技術面での検証を行う予定です。



2. 実施項目

(1)消費者受容性の検証
　実験期間中は、マルエツ潮見店のお客様を対象に、100名の消費者モニタを募集する予定です。

• 情報表示端末で、商品の安全性やこだわりの製法、調理方法やレシピなどおいしく食べる方法などを提供します。


• 消費者モニタへのアンケートを実施し、消費者の反応を調査します。


(2)物流効率化・店舗生産性向上の検証

• 目視確認やバーコード読み取り、重量確認に依存していた入出荷検品や小分け検品、賞味期限管理などの作業を効率化する方法を検証します。


• 棚卸作業に依らないリアルタイム在庫管理への利用を検証します。


• レジでの一括精算への活用について検討します。


(3)情報活用の検証

• 特定の商品について、通過履歴、現在所在を確認する方法を検証します。


• リアルタイムな在庫、販売データの提供により、需要予測および生産計画、配送計画への活用を検討します。



3. 実施店舗

マルエツ潮見店　(東京都江東区)　の1店舗
営業時間：朝10時〜深夜1時

*UHF帯電波方式無線ICタグ：
米国のオートIDセンターでは、UHF帯電波方式の製品が標準規格として選定されています。
日本では、現時点においてのUHF帯域の使用は認められていませんが、経済産業省でも、UHF帯ICタグ製品をベースとした各種実証実験の実施が推進されています。


【別紙】実証実験参加企業一覧