食品流通分野におけるRFIDタグ実証実験の結果報告について

ニュースリリース/NTTデータ

2004年1月23日

株式会社NTTデータ
丸紅株式会社
株式会社マルエツ

 (株)NTTデータ、丸紅(株)および(株)マルエツの3社は、王子製紙(株)、大日本印刷(株)、日本NCR(株)、日本電信電話(株)、マーケティング総合研究所、マイティカード(株)および食品メーカ17社、卸企業7社の協力のもとに実施した、食品流通分野におけるRFIDタグの活用に関する実証実験の結果を公表します。

【実証実験の概要】
 2003年9月24日より11月23日までの約2ヶ月間に、RFIDタグを貼付した約80種類の商品について、生産者・メーカ〜卸〜店舗(マルエツ潮見店)〜消費者までの流通過程において、下記の内容の実証実験を行いました。

・実施期間フェーズ1:9月24日(水)から9月25日(木)の2日間
(物流センタでの実験)
 フェーズ2:10月6日(月)から11月23日(日)の49日間
(生産者・メーカ〜卸〜店舗〜消費者までの流通実験)
・使用したRFIDタグ方式:電磁誘導方式(13.56MHz)*
・使用したRFIDタグ数量:43,366枚
・対象商品種類:30種類(生鮮食品)
47種類(加工食品)
・店頭ディスプレイの利用回数:10,675回


各実施項目における検証結果の概要は以下のとおりです。
  1. バリュー・チェーン(生産者・メーカ〜店舗の商品流通)

     物流拠点を通過するときのRFIDタグ読み取りおよび情報登録については、期間中、概ね問題なく実施されました。また、商品の通過履歴や現在所在の表示についても、問題なく実施され、情報管理プラットフォーム*の有効性が確認されるとともに、参加企業での需要予測および生産計画、配送計画などへの活用について検討が進みました。

     また店頭ディスプレイについては、99名の消費者モニタだけでなく、一般消費者からも、一日平均200以上の商品が閲覧されるなど幅広く利用されました。この利用の主な目的としては、パッケージや価格および成分表示だけではわからない情報を確認するためであり、特に、閲覧された回数の多い項目は「産地・製法」、「安全性」、「環境・企業」といった内容です。このようなことからも、消費者の、食の安全性に対する情報ニーズの高さがうかがえます。


  2. 店舗における作業効率化

     店舗における商品陳列や棚卸、レジ精算への活用については、ある条件のもとで商品にRFIDタグが貼付された場合には、一定の効率化、実用化の目処を得られました。

     リアルタイムでの棚在庫確認およびレジ一括精算の実用化に向けては、陳列棚やレジ周辺環境および各店舗における運用について、RFIDタグに適した環境、運用を実現することにより、画期的な効果が期待されます。


  3. 物流における作業効率化

     ケース単位にRFIDタグを付与した商品の管理については、輸送温度帯の違い(常温、低温、チルド、冷凍)やケース内に入っている商品の材質、水分量がケース情報の読み取りにどのような影響を及ぼすのかという点について調査し、実用化に向けたケース形状や運用条件について、一定の見通しを得ました。

     しかし、商品単品単位にRFIDタグを付与した商品管理手法については、本実験で採用した電磁誘導方式では、商品がパレットに積載されている場合やケースの中に商品が小分けにされて梱包されている場合においては、入出荷時の検品の際に一括読み取りなどの場面で課題が残りました。

 今後3社は、消費者モニタのアンケート結果等も踏まえ、さらに検証・検討を行い、食品流通業界におけるRFIDを利用したバリュー・チェーンの早期実用化に向け、啓蒙活動などを進めていきます。


*電磁誘導方式(13.56MHz)タグ:
本実験では、Infineon社製「my-d」およびPhilips社製「I-Code SLI」を使用し、ラベルおよびカードへの加工、金属対応シールへの加工を行いました。それぞれ、大日本印刷が「Accuwave」、王子製紙が「メタル好き好きタグ」として商品化しています。

*情報管理プラットフォーム:
NTTデータは、あらゆる情報がつながり、新たな価値連鎖を実現するユビキタス社会の創出に向けて、RFIDタグなどの情報格納デバイスを利用し、様々な情報に安全にアクセスするためのユビキタスサービスプラットフォーム構築に取り組んでいます。
本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報室 広報担当
TEL:03-5546-8051

丸紅株式会社
広報部 報道課 西崎
TEL:03-3282-4803

株式会社マルエツ
広報IR部 湯本
TEL:03-3590-0016