国別登録簿システムの構築について

ニュースリリース/NTTデータ

2005年2月16日

株式会社NTTデータ

 (株)NTTデータは、環境省および経済産業省からの受託事業として、京都メカニズムで取り扱われるクレジットを管理する「国別登録簿システム」を構築し、2005年2月16日の京都議定書発効に伴い、一部の機能の運用が開始されました。NTTデータは、2002年から本システムの構築を開始し、これまで口座管理やクレジット管理および政府の汎用電子申請システム「ITEM2000」との連携等、本システムを運用する上で基本となる機能の開発を実施してきました。
 今回、運用開始された国別登録簿システムの機能は、企業が京都メカニズムにより取得したクレジットを管理する「口座開設機能」になります。これによって、自社の口座の開設を希望する企業は、環境省および経済産業省に申し出ることにより、国別登録簿システム上に口座を開設することができるようになります。なお、本システムについては、日本電気株式会社と連携して2002年より継続的に開発してきたものです。

 【京都メカニズムとは】
 京都議定書に基づき、温室効果ガスを削減するための国際的なルールです。主な項目としては、排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)があります。排出量取引とは、先進国間で、保有している排出枠(クレジット)を売買して取り引きすることであり、CDMとは途上国に先進国が投資して、温室効果ガスの排出量を削減するプロジェクトを実施し、その削減量をクレジットとして獲得できる仕組みです。JIは先進国が共同で温室効果ガス削減事業を実施し、削減量を投資国がクレジットとして獲得する仕組みとなっています。

 【クレジットとは】
 温室効果ガスの排出枠や削減量は、企業間や国際間で流通する際に、クレジットとして取り扱われます。単位は1クレジット=1トン(二酸化炭素換算)となっています。クレジットは、その発生起源によって、AAU(初期割当分)、RMU(国内吸収源活動による吸収量分発行されるクレジット)、CER(クリーン開発メカニズムで発生するクレジット)、ERU(共同実施で発生するクレジット)の4つに分類されます。AAUとRMUは先進国で発行するクレジットであり、CERおよびERUはそれぞれのメカニズムや事業を通じて得られるクレジットになります。

 【国別登録簿システムとは】
 京都議定書では、クレジットを電子的に管理することを前提としており、先進国は、京都メカニズムに参加するために「国別登録簿システム」の整備を義務づけられています。国別登録簿システムでは、国家間のクレジットの移転情報と同時に、自国内のクレジット移転情報も記録されます。具体的には、企業は自国の登録簿システム内に自社の口座を開設し、そこで自社のクレジットを管理するとともに、他社との間でクレジットの取引等が発生・成立した場合、登録簿システム上で、自社口座から相手先口座へのクレジットの移動を行うことができます。
 今回運用が開始されたのは、企業が環境省および経済産業省への申出に基づき、自社口座をオンラインで開設できる機能等です。その他の機能(各国間のクレジット移転機能等)についても、国際ルールが定まり次第運用される予定です。また、NTTデータは、UNFCCC(国際連合気候変動枠組条約事務局)が決定する技術仕様に基づき、取引ログを介して、CDM登録簿システムおよび他国の登録簿システムとクレジットのデータ交換を行うための、国際間移転機能の開発を実施しています。早ければ2005年中にも、CERが発行されることが予想されており、CDM登録簿システムとの間での国際間移転が始まろうとしています。

 【今後について】
 NTTデータは、国別登録簿システムの開発のみならず、UNFCCCが主催する、登録簿に関する技術者会議への参画などを通じて、国際間移転にかかるデータ交換ルール策定などに貢献してきました。 現在、本格的な京都メカニズム実施に向けた、他国の登録簿システムとの連携等にかかるルール検討に際し、国別登録簿開発者として、環境省および経済産業省の支援を実施しています。

 NTTデータは、今後、CSRなどの観点からも、企業がその事業活動を通じて排出している温室効果ガス量を正確に管理する必要性が高まってくると考え、国別登録簿システムの開発で培ったノウハウを基に、企業内における温室効果ガス排出量の正確な把握やクレジットの資産管理の実現等、ITを活用した総合的な京都メカニズム関連サービスの提供を目指します。


国別登録簿システムイメージ図


本件に関するお問い合わせ先

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広報室 龍
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