社員・家族による“水辺の外来種調査”を日本全国で実施 ~NTTデータグループ社員とその家族によるITを活用した生物多様性保全活動~

ニュースリリース/NTTデータ

2010年10月15日

株式会社NTTデータ

NTTデータグループは、生物多様性保全という社会課題への貢献活動を目的に、財団法人日本自然保護協会(東京都中央区 理事長:田畑 貞寿)の協力のもと、2010年6月から9月までの約3ヶ月間、NTTデータグループの社員・家族による「生きもの情報館」を活用した水辺の外来種調査を実施しました。

この調査は、外来種生物の中でも分布の記録が十分に収集できていないとされている、アメリカザリガニやウシガエルといった水辺に生息する外来種について、日本全国の主要拠点10箇所でNTTデータグループ社員とその家族、のべ230名が分布状況の調査を行い、自然保全活動をITで支援する市民参加型WEBサイト「生きもの情報館」への登録を行う形で実施されたものです。

本調査の内容は、今月愛知県名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において日本自然保護協会から紹介されます。

背景

NTTデータグループでは、中期経営の重点施策に「環境志向経営の推進」を掲げ、今年度環境メッセージ「地球ソリューション。~ITで、地球環境の課題を解いていく」を制定し、各アクションプランを推進しています。そのひとつとなる環境社会貢献活動の一環として、地域の自然や生物多様性について社員と家族に考えてもらうきっかけづくりと、当社事業を活かした社員・家族による生物多様性保全という社会課題への貢献活動を目的に、今回水辺の外来種調査を実施しました。

【画面イメージ】

「生きもの情報館」画面イメージ

【写真】

調査内容を「生きもの情報館」に登録

【写真】

自然観察員の説明を受けながら外来種を観察

調査概要

NTTデータグループでは、日本自然保護協会の協力のもと、外来種の中でも特に未だ記録が十分に収集できていないといわれている水辺の外来種に着目し、全国の主要拠点で社員、家族の参加により、調査を行い、「生きもの情報館」への登録を行いました。

実施地域

日本全国10箇所(札幌、仙台、東京、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、福岡)

実施期間

2010年6月下旬~9月中旬(計10回実施)

参加人数

NTTデータグループの社員およびその家族 のべ230名(うち、子ども73名)

調査対象

水辺の外来種8種(アメリカザリガニ・ウシガエル・ミシシッピアカミミガメ・スクミリンゴガイ・オオフサモ・ホテイアオイ・ミズヒマワリ・ボタンウキクサ)

収集データ数

189件

調査結果

「生きもの情報館」に登録された調査データに基づいて、外来種の分布状況の解析を日本自然保護協会に依頼しました。観察した池の特徴や立地を踏まえ解析された結果と考察は以下のとおりです。

  • アメリカザリガニは7箇所で観察された。立地に関係なく、都市周辺のほとんどの池や河川で観察することができると考えられる。
  • ウシガエルは2箇所で観察された。コンクリートで護岸された池でも、身を隠せる場所があれば生息していると考えられる。
  • ミシシッピアカミミガメは5箇所で観察された。アメリカザリガニと同様に水辺の種類や立地と関係なく観察された。
  • オオフサモは松山、ホテイアオイは仙台と東京でのみ観察された。ミズヒマワリとボタンウキクサは観察されなかった。これらの水草類があまり観察されなかったのは、特定外来生物、要注意外来生物に指定され、公園での駆除が進んでいることが推測される。

水生植物は動物と違い、移動することがなく、種子を広く散布することが少ないために、駆除作業などは比較的容易です。そのため、今回水生植物が観察された仙台・東京・松山では、調査結果を活用することで、地域の駆除、在来種回復の計画に直接役立てていくことが可能になります。

一方、水生動物は生きもの自身が移動をするため、発見された場所のみの駆除の計画ではなく、より広範囲の対応を取っていく必要があります。今回アメリカザリガニは35件、ミシシッピアカミミガメは48件のデータが各地で収集されており、本調査のように、広範囲の全国様々な環境のデータを蓄積することで、生息地の比較ができ、生物多様性保全のための計画の策定に結びついていくと考えられます。

なお、本調査の内容は、現在愛知県名古屋市で開催している生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において日本自然保護協会から紹介されます。

財団法人日本自然保護協会からのメッセージ

「近年、市民や企業による自然保護活動の重要性に注目が集まっています。COP10においても外来種問題を含めて生物多様性の劣化を今後10年を目処に減少させていくには、あらゆる主体の保全に向けた取り組みが必要であると述べられています。日本自然保護協会でも自然観察指導員の養成など市民を中心とした自然保護活動を長年行って来ました。今回実施した、『水辺の外来生物しらべ』は企業とその家族が一体となって自然観察を行い、そのデータを自然保護に役立てていこうという新しい試みでした。

自然保護というと難しい、あるいは自分には関係ないと思うかもしれません。しかし、堅苦しいものではなく、普段あまり気に留めていなかった自分の身の回りの自然をもう一度振り返ってみて、自分が子どもの頃見ていた自然とどう変化があるか、あるいは身近な環境の変化に改めて気づくことがとても重要になってきます。今回の水辺の外来種調べでも、観察中に『身近にこんなに外来の生き物がいるとは思わなかった』、『自分が子どもの頃は見なかった生き物がいる』という声が多く聞かれました。

そのような身近な自然の変化に気づくことが生物多様性保全の第一歩につながってくると思います。日本自然保護協会はより多くの人が身近な環境の変化に気がつき保全のための行動につながるように協力していくとともに今回のイベントで収集できたデータをはじめ科学的なデータを収集し、生態学的な知見に基づく保全策を検討していきたいと考えています。」

生きもの情報館について

NTTデータは、身近な自然の保全活動を推進している日本自然保護協会の活動をITで支援するため、里山をはじめとする身近な自然に生息する"生きもの"の情報を日本全国から集める市民参加型WEBサイト「生きもの情報館」を構築し、2009年3月に日本自然保護協会に寄贈しました。

生物多様性を守るためには、まず「いつ」「どこに」「何が」いたのかを記録し、効果的な対策につなげることが大切とされています。「生きもの情報館」上で日本全国の多くの方々にいろいろな生きもの観察記録を登録してもらい、その情報を解析することで計画的な保全活動につなげます。

今後について

NTTデータでは今後、今回の水辺の外来種データの拡充をはじめ、生きもの情報館等、ITの活用による生物多様性の保全活動をさらに推進するとともに、国内に留まらず、海外も含め社員や家族も参加する保全活動を展開し、グループとして環境保全活動を推進していきます。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
岩内
TEL:03-5546-8051

環境社会貢献活動に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
環境経営推進室 小川
TEL:050-5547-9451