インドネシア国内初、モバイルNFCペイメントの実証実験成功 ~商用化へ向け技術基盤を整理~

ニュースリリース/NTTデータ

2012年3月29日

株式会社NTTデータ
PT. NTT DATA Indonesia

株式会社NTTデータ(代表取締役社長:山下 徹、以下 NTTデータ)とPT. NTT DATA Indonesia(代表取締役社長:大谷 明、以下 NTT DATA Indonesia)は、2011年10月より2012年2月にかけて、インドネシア国内最大手通信キャリアのPT. Telekomunikasi Indonesia社(代表取締役社長:Rinaldi Firmansyah、以下 PT. TELKOM社)と、同国内初となるモバイルNFCペイメント注1のプロトタイプシステムを構築し、共同で技術検証をしました。これにより、NFCのブリッジテクノロジーが実用に耐えうる十分な通信距離・処理性能を発揮することを確認し、インドネシア国内におけるモバイルNFCペイメントの商用化の可能性を確認しました。

NTTデータグループでは、2012年度内の同国でのモバイルNFCペイメント商用化に向け、PT. TELKOM社をはじめ、引き続き通信キャリアや銀行等の現地事業者へのサポートを行います。またインドネシアに限らず国内で培った非接触電子マネーシステムの構築や運用ノウハウを元に、海外でのNFCペイメントの普及に取り組みます。

背景

日本は10年以上前より交通乗車券や物販での決済を中心に非接触型の電子マネーが普及しており、2004年からは「おサイフケータイ®」による携帯電話型のサービスも開始され、世界でも非接触型電子マネーの先進国としての地位にあります。NTTデータも「WAON」をはじめとするさまざまな非接触型電子マネーシステムの構築に関わってきました。

一方、海外ではNFC ForumやGlobal Platform、GSMA等の標準化団体によって、国際的なNFC関連の標準仕様策定が進み、NFC対応チップがAndroidやブラックベリー端末にも搭載されるなど、NFCが新たな決済手段やマーケティングツールとして近年注目を集めています。

NTTデータは、日本での非接触型電子マネーのシステム構築や運用ノウハウを元に、今後マーケットの拡大が予想される東南アジア諸国の事業者と議論を重ね、モバイルNFCペイメントの商用化を目的として2011年9月よりインドネシア最大手通信キャリアPT. TELKOM社と共同で、インドネシア初となるモバイルNFCペイメントのプロトタイプシステムを、同国内での実際の想定利用シーンに基づいて構築しました。

【図】

概要図

プロトタイプシステムの概要

  • インドネシアで普及している非接触ICカードリーダーに、POS、RFIDリーダー、サーバーを組み合わせて構築
  • RFIDタグの付いた商品を入れたバスケットをレジに置き、支払い額を自動算出
  • 携帯電話を非接触ICカードリーダーにかざし、支払いやチャージ、残高照会や履歴照会
  • サーバー経由、もしくは携帯電話同士をかざし、ユーザー間で電子マネーを送金

プロトタイプシステムの特長

複数のブリッジテクノロジーの活用

インドネシアの携帯電話の大半がNFC非対応端末である実情を考慮し、既存端末を「NFC化」する技術、ブリッジテクノロジー(つなぎ技術)を複数種類活用しました。NFCアンテナ内蔵のSIMカードやmicroSDカードを既存のNFC非対応端末に取り付けることで、NFC対応端末として活用することができます。またブリッジテクノロジー内のアプリケーションは共通のものを使用し、インストール工程においてブリッジテクノロジー製品への依存を無くしました。

同一非接触ICカードリーダーで複数タイプを処理

インドネシアで普及している非接触ICカードリーダーで、全てのタイプのブリッジテクノロジーの処理を実現しました。既に同国内で実績のあるICカードリーダーを使用することにより、既存の非接触ICカードリーダーで流用可能な、商用サービスの技術検証を行いました。

実証結果

  • 3種類のブリッジテクノロジーデバイス、5種類の携帯電話、2種類の非接触ICカードリーダーを組み合わせ、非接触ICカードリーダー~携帯電話間の通信距離、サーバー~POS間、サーバー~携帯電話間でのトランザクション処理速度等を計測し、実用に耐えうる十分な性能を発揮できることを確認しました。
  • 共通のJava Card注2アプリケーションを使用して、複数のブリッジテクノロジー製品の差異を意識することなく、非接触ICカードリーダーのアプリケーションを構築できることを確認しました。

実証実験における役割分担

  • NTTデータ

    全体設計、携帯電話アプリおよびJava Cardアプリ構築、技術検証

  • NTT DATA Indonesia

    サーバーアプリ構築、検証環境構築

  • PT. TELKOM RDC

    RFIDリーダーアプリ、NFCリーダーアプリ、およびPOSアプリ構築、技術検証

今後について

PT. TELKOM社は、今回のプロトタイプシステム構築をモバイルNFCペイメントのサービス商用化に向けたロードマップの第一段階と位置づけ、引き続き小売店舗での実際の通貨を用いたフィールドトライアル等でユーザビリティ検証を予定しています。NTTデータとNTT DATA Indonesiaは、引き続きPT. TELKOM社と協力し、インドネシアでのモバイルNFCペイメントビジネスの拡大に取り組んでいきます。また、東南アジア地域を皮切りに海外向けモバイルNFCペイメントソリューションを整備し、2012年度内商用化をめどに東南アジアを中心とした新たなマーケットの拡大に取り組んでいきます。

注釈

  • 注1NFC

    Near Field Communicationの略称で、13.56MHzの周波数を利用する通信距離数cm程度の近距離無線通信技術のこと。FeliCaやMIFARE等の既に普及しているICカード非接触無線通信技術との上位互換性があり、NFC対応機器同士は双方向通信が可能で、今後の幅広い活用が見込まれている。

  • 注2Java Card

    メモリーとCPUを搭載したICカード上で動作するJavaの実行環境、またはJavaで記述したアプリケーションを利用できるICカードのこと。

  • 「おサイフケータイ」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
  • WAONはイオン株式会社の登録商標です。
  • FeliCaはソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です。
  • FeliCaはソニー株式会社の登録商標です。
  • MIFAREはNXPセミコンダクターズ社の登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
田中、戸田
TEL:03-5546-8051

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
ビジネスソリューション事業本部
プラットフォーム&サービスビジネスユニット
大熊、中代
TEL:050-5546-8337