NTTデータと慶應義塾大学SFC研究所がアジアの大学におけるIT分野の技術開発と人材育成に関する取り組みを共同で推進
2012年6月15日
株式会社NTTデータ
慶應義塾大学SFC研究所
株式会社NTTデータ(東京都江東区、代表取締役社長:山下 徹、以下 NTTデータ)と慶應義塾大学SFC研究所(神奈川県藤沢市、所長:金子 郁容、以下 慶應SFC研究所)は、アジア地域の大学におけるIT分野の先進的なテーマやアジア各国のニーズに適するソリューション・技術に関する研究開発の推進と、高度な専門性を持つITエンジニアや新規事業創造を実現できる人材の育成に関して協働していくことで、6月15日に基本合意しました。
NTTデータと慶應SFC研究所は、本協働を通じて、アジア地域の大学におけるIT技術開発力の伸張とIT人材育成に貢献し、将来的なアジアの大学を起点としたイノベーションの発信とビジネスの展開を目指します。
1.概要
NTTデータと慶應SFC研究所は、慶應義塾大学が運営推進するアジア国際教育協力プロジェクトSchool on Internet Asia(代表:村井 純 環境情報学部教授・学部長、以下、SOI Asia)注1のネットワークインフラを活用し、アジア地域の大学におけるIT技術開発力の伸張と人材育成を目的とした、研究開発・教育活動を共同して推進します。推進チーム代表には、國領 二郎(慶應義塾大学総合政策学部教授・学部長)が就任します。
2.具体的な取り組み
産学連携研究推進に向けた取り組み
- (1)ICTの新規利活用を目的とする研究開発の実施
- 実施主体
NTTデータ、慶應SFC研究所、バンドン工科大学(インドネシア・バンドン市)
- 実施概要
「M2M×農業」注2をテーマに、センサー制御の農業分野への応用についての研究開発を行います。
第一フェーズとして、年内に植物成育に必要な情報(温度、光量等)をセンサーから収集する技術に関する実証実験を行います。
- 実施主体
- (2)アジア市場における先進的なクラウドサービスに関する研究開発の実施
- 実施主体
NTTデータ、慶應SFC研究所、マレーシア科学大学(マレーシア・ペナン市)
- 実施概要
「OpenFlow」、「OpenStack」注3を活用したフルOSSクラウド基盤の構築に関する研究開発を行います。第一フェーズとして、年内にマレーシア科学大学のキャンパスネットワークを利用したOpenFlowネットワーク構築に関する実証実験を行います。
- 実施主体
人材育成に向けた取り組み
- (1)新規事業人材育成支援
- 実施主体
NTTデータ、慶應SFC研究所
- 実施概要
SOI Asiaパートナー全大学より起業に関心を持つ優秀な学生を募り、講義と演習をセットにした「起業家育成プログラム」を実施します。
講義は、慶應義塾大学ほかSOI Asiaパートナー大学の教員が受け持ち、講義はSOI Asiaの衛星授業配信基盤を利用してSOI Asiaパートナー全大学に同時中継されます。
また、SOI Asiaパートナー全大学が参画するビジネスプランコンテスト「Business Plan Contest at SOI Asia」と連携、起業家志向の高い人材とのマッチング機会を創出します。NTTデータは、これら人材に対して2ヵ月程度のインターンシップを提供する予定です。
- 対象大学
チュラロンコン大学(タイ・バンコク市)、ヤンゴンコンピュータ科学大学(ミャンマー・ヤンゴン市)、バンドン工科大学(インドネシア・バンドン市)、マレーシア科学大学(マレーシア・ペナン市)等、SOIアジアパートナー全大学
- 実施期間
第一回:2012年下期(予定)
- 実施主体
- (2)ITエンジニア人材育成支援
- 実施主体
NTTデータ、慶應SFC研究所
- 実施概要
SOI Asiaパートナー全大学よりITエンジニアリングに関心を持つ優秀な学生を募り、講義と演習をセットにした「ITエンジニア育成プログラム」を実施します。
講義は、慶應義塾大学ほかSOI Asiaパートナー大学の教員が受け持ち、講義はSOI Asiaの衛星授業配信基盤を利用してSOI Asiaパートナー全大学に同時中継されます。NTTデータは、これら人材に対して2ヵ月程度のインターンシップを提供する予定です。
- 対象大学
ハノイ工科大学(ベトナム・ハノイ市)、ヤンゴンコンピュータ科学大学(ミャンマー・ヤンゴン市)等、SOIアジアパートナー全大学
- 実施期間
第一回:2012年下期(予定)
- 実施主体
3.本取り組みの経緯および意義
NTTデータでは、2012年度~2014年度の中期経営計画で掲げた、新規分野拡大・商品力強化にむけた「戦略的R&Dの強化」の一環として、トップレベルの大学と連携した、先端技術の研究開発による技術力のさらなる向上を目指しています。また、グローバルビジネスの拡大・充実・強化も掲げており、地域カバレッジの拡大/既進出地域の事業拡大を目指す上でも、アジア各国のITエンジニアの育成とアジアのトップ大学が持つ人的リレーションの積極的な活用は、必要不可欠であると考えています。
慶應義塾大学は、2001年より運営・推進するSOI Asiaを通じて、アジア14カ国、36大学・研究機関表1をパートナーとして、衛星インターネットの活用により遠隔講義等の高等教育の相互協力とIT技術者の人材育成を行ってきました。そして、この活動の中で、各地の大学はアジアにおける先端大学の地位を獲得し、特にITやネットワークに関しては大きな技術研究力と人材育成力を持つに至っています。最近では、アジア各国大学における日本企業や慶應義塾大学との共同研究への期待、さらにはアジア各国の学生たちの強いアントレプレナーシップの醸成が進んでいる状況です。
そこで、アジアの大学における技術開発の進展や、各国での大学発の技術やビジネスモデルの事業化を推進していくためには、技術開発と人材育成に関するパートナーが必要であるとの認識を持つに至っていました。
このような背景から、NTTデータと慶應SFC研究所は、昨年より「アジア地域の大学初ベンチャー企業の創出、ICTに関する産学連携研究発展のための技術分野や事業分野における検討」をテーマに、研究責任者として國領が就任、協働開始の具体化に向けた検討を推進してきました。
この協働により、アジアの大学における技術開発とそれを活用した実用化の伸張、並びにアジア各国大学の人材育成に貢献することを目指します。
国名 | 組織名 |
---|---|
インドネシア共和国 | ブラビジャヤ大学、サムラトランギ大学、ハサヌディン大学、バンドン工科大学、シアクアラ大学 |
ラオス人民民主共和国 | ラオス国立大学 |
ミャンマー連邦 | ヤンゴンコンピュータ大学、マンダレーコンピュータ大学 |
タイ王国 | チュラロンコン大学、アジア工科大学、プリンス・オブ・ソンクラ大学、チュラチョームクラオ・ロイヤル・ミリタリー・アカデミー(タイ) |
マレーシア | マレーシア科学大学、アジア医療科学技術大学 |
ベトナム社会主義共和国 | ベトナム情報技術研究所、ハノイ工科大学、ベトナム国家大学 |
フィリピン共和国 | フィリピン政府科学・技術省付属高等理工研究所、サン・カルロス大学 |
モンゴル国 | モンゴル科学技術大学 |
ネパール王国 | トリブヴァン大学 |
カンボジア王国 | カンボジア工科大学、カンボジア健康科学大学 |
バングラデシュ人民共和国 | バングラデシュ工科大学 |
シンガポール共和国 | テマセク・ポリテクニック |
東ティモール民主共和国 | 東ティモール国立大学 |
日本 | 東京海洋大学、北陸先端科学技術大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学、慶應義塾大学 |
その他国際機関等 | The United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization, Southeast Asian Ministers of Education Organization, University Network, Thailand, Canal ASEAN Virtual Institute of Science and Technology, Collaboration for Network-eNabled Education, Culture, Technology and sciences, Nepal Research and Education Network |
注釈
- 注1SOI Asia
ブロードバンドインターネットのインフラ研究と運用を行うアジアの先端技術系大学間の連携。2001年から授業共有を、2008年から起業家支援(インキュベーション)活動を開始
- 注2M2M
「Machine to Machine」の略。機器同士が直接通信することで情報交換するための仕組み
- 注3OpenFlow
非営利組織「Open Networking Foundation(ONF)」により標準化が進められているネットワークを制御するためのソフトウエアインターフェース規格
- OpenStack
OpenStackプロジェクトの開発している、オープンソースのクラウド基盤ソフトウエア
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
TEL:03-5546-8051
慶應義塾大学SFC研究所
プラットフォームデザイン・ラボ事務局(國領研究室)
TEL:0466-49-3557
FAX:03-5501-9678
E-mail:sec@jkokuryo.com