糖尿病重症化予防対策の取組結果

ニュースリリース/NTTデータ

2016年4月12日

埼玉県保健医療部
埼玉県国民健康保険団体連合会
株式会社NTTデータ

平成26年度から開始した糖尿病性腎症重症化予防対策について、その実施状況を報告します。

1.事業の概要

糖尿病性腎症は、人工透析が必要となる最も大きな原因となっています。人工透析に移行すると、週2~3回の通院が必要となり、医療費も年間一人当たり約500万円と、移行前の10倍に高騰します。

そこで、埼玉県では国民健康保険被保険者を対象として特定健康診査やレセプト(診療報酬明細書)のデータを活用して、糖尿病が重症化するリスクの高い方(ハイリスク者)が人工透析に移行するのを防止するため、平成26年度から糖尿病性腎症重症化予防対策を行っています。

この事業では、市町村が事業主体となり、ハイリスク者のうち、医療機関未受診の方や治療中断されている方への受診勧奨、また、糖尿病で通院中の方への食事・運動等の保健指導を行います。

平成26年度に19市町で事業を開始、平成27年度には11市町が加わり、30市町が実施しました。(別紙1)

2.受診勧奨の結果

対象者

医療機関未受診の方及び治療を中断している方 5,622人

実施方法

受診勧奨通知、保健師等の専門職による電話や訪問による再度の勧奨

実施結果

受診勧奨2か月後までのレセプトデータから、受診状況を確認

効果

勧奨時点の未受診者 4,405人 うち受診者 807人(18.3%)

受診勧奨前2.5か月間と勧奨後2.5か月間の新規受診者の割合を比較

勧奨前の新規受診率10.0%に対し、勧奨後は18.3%と約1.8倍に増加(別紙2)

3.保健指導の結果(速報値)

対象者

糖尿病性腎症の病期2~4期の方 1,195人(第1回目の面談による指導を実施した方)

実施方法

かかりつけ医と連携し、6か月間、保健師等の専門職が食事や運動等の生活習慣の改善を支援

実施結果

指導開始前と6か月間の指導修了後の、糖尿病の進行を測る検査値

効果

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の変化を比較

  • HbA1c:5.5%未満なら正常、血糖正常化を目指す際の目標6.0%未満
  • 合併症予防のための目標7.0%未満
  • (比較の対象は、指導開始前後ともHbA1c値を取得できた279人)

対象者の平均値 開始前7.1%から修了後6.8%へ0.3ポイント改善

日本糖尿病学会では、合併症予防のための目標を7.0%未満に抑えることとしており、この目標をクリア(別紙3)

4.県からのメッセージ

  1. 1.糖尿病はとても恐ろしい病気ですが、重症化を予防できることも分かっています。糖尿病の不安がある方は放置せずに、一歩踏み出して、ご自身の健康を守りましょう。
  2. 2.平成28年度は40市町が取組を行う予定です。(別紙1)
  3. 受診勧奨の通知や保健指導のご案内は、ご自身の糖尿病の悪化を防ぐ重要なお知らせです。お住まいの市役所、町役場から通知やご案内がありましたら、未受診の方は速やかな受診を、保健指導を受けていない方は専門職の支援により、生活習慣改善にチャレンジされることを強くお勧めします。
  4. 3.受診勧奨の通知や保健指導のご案内を受けていない方におかれても、糖尿病がご心配な方、治療を中断されている方は、お近くの医療機関にご相談ください。

5.その他

糖尿病対策に関する情報(県 保健医療政策課)

別紙

本件に関するお問い合わせ先

埼玉県保健医療部
保健医療政策課
新都心医療拠点・医療プロジェクト推進担当
唐橋、秋葉
TEL:048-830-2407(直通)
E-mail:a3510-16@pref.saitama.lg.jp

埼玉県国民健康保険団体連合会
保健課
杉山、進藤
TEL:048-824-2539(直通)
E-mail:hoken@saikokuhoren.or.jp

株式会社NTTデータ
広報部
風間
TEL:03-5546-8051(直通)