インド医療機関にてAI画像診断支援の実証実験を完了 ~北米市場における顧客基盤を活用、グローバルでのソリューション展開を目指す~

ニュースリリース/NTTデータ

2018年9月26日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:本間 洋、以下:NTTデータ)と、NTTデータのアメリカ子会社であるNTT DATA Servicesは、インドのDeenanath Mangeshkar病院注1(読み:ディーナナス・マンゲッシュカー、以下:DM病院)にて、2018年春にAI画像診断支援ソリューションの実証実験を実施しました。

本ソリューションは、患者の医療画像から重篤な疾病をAI技術で分析し、放射線科医の診断を支援するものです。本ソリューションは、脳出血をはじめとした12種類の疾病に対応しています。実証は肺気腫を対象にCT画像を使って行い、より多くの患者検出に貢献することを確認しました。

NTTデータは、本ソリューションのグローバル展開を計画しており、複数国の患者に有効であることを確認するため、アメリカに次ぎインドで実証を行い、さらに2018年度中に日本の病院との実証実験も予定しています。本実証で得られた結果を踏まえ、病院の協力を得た技術開発、実証実験を加速させ、2022年までにグローバルで100億円の売上高を目指します。

背景

X線、CT、MRIなどの人体画像に基づく、重大な症状の診断は、専門医である放射線科の医師が行うことが一般的ですが、画像は多い場合1人600枚ほどになり、診断に時間を要しています。また、放射線科医が不足し、一人でも多くの患者を診断するために、効率よく診断できることが重要になってきており、AI技術の活用が注目を集めています。

NTT DATA Servicesでは、医療画像のアーカイブソリューション「Unified Clinical Archive」注2(以下:UCA)を約1100の医療施設に提供しています。NTTデータは、UCAで培った実績を生かして、AI画像診断支援ソリューションを開発しており、今回病院側の協力を得られたインドで実証を行うことにしました。

NTTデータのAI画像診断支援ソリューション

AI画像診断支援ソリューションは、患者の医療画像をAI技術で分析し、疾患の可能性がある箇所を画像上とテキストで示します。UCAはクラウド型のソリューションとして北米3位のシェアをもち、190億枚をこえる画像をアーカイブしています。NTTデータは、UCAの顧客の協力と蓄積したノウハウに加えて、医療画像に疾患情報ラベルを付与するアノテーション・ソリューションをもつアメリカのMD.ai注3と提携することで、AI画像診断支援ソリューションを開発しています。

【図】

図1:AI画像診断支援ソリューション画面例

放射線科の医師は無数の疾病の中から患者の症状の原因を診断する必要があります。本ソリューションは、AI画像診断支援ソリューションベンダー2社注4と提携することで、より多くの疾病に対応しています。

【図】

図2:AI画像診断支援ソリューションを使った診断の流れ

実証実験の概要と結果

本実証はNTTデータのインドにおけるパートナー会社であるDeepTek注5と連携して行いました。実証は、肺気腫を対象に患者データ389名分のCT画像をAI画像診断支援ソリューションで診断しました。従来の診断では、17件の肺気腫が報告された一方で、本ソリューションは56件を検出しました。差分は、医師が緊急の治療が不要と判断した軽度の肺気腫であることが分かり、本ソリューションがより網羅的なレポート作成や、将来のリスクを含めた診断の支援が可能であるといえます。また、誤検出は結核患者を抽出していることが判明し、先進国ではあまり見られない結核が影響したことがわかりました。

本ソリューションがより多くの患者検出に貢献できることを確認するとともに、グローバル展開するために、国や地域によって気候、生活環境、食習慣などによる、疾病の違いに対応するため、今後、継続して複数カ国の病院での課題抽出が必要であることを確認しました。

今後の計画

今後NTTデータは、各国に合わせたサービスの確立、既存の診断プロセスへの円滑な統合などユーザビリティー観点を検証し、個人情報保護を目的とした匿名化等データの取り扱いを含むAI技術が組み込まれた新しい診断の仕組みづくりに向けて、検討を進めていきます。また、グローバルでのプレゼンスを生かし、研究開発・実証を複数カ国で進め、本ソリューションのグローバルへの普及を加速させていきます。

注釈

  • 注1インド、プネ市にある、800床をもつ市内最大規模の総合病院で、正式名称は、Deenanath Mangeshkar Hospital and Research Center(読み:ディーナナス・マンゲッシュカー・ホスピタル・アンド・リサーチ・センター)です。
  • 注2医療画像のアーカイブソリューション「Unified Clinical Archive」(読み:ユニファイド・クリニカル・アーカイブ)
    クラウド型のソリューションとして北米3位のシェアをもち、190億枚をこえる画像をアーカイブしています。
    https://us.nttdata.com/en/industries/healthcare-and-life-sciences/healthcare-providers/enterprise-imaging-and-analytics(外部リンク)
  • 注3MD.ai社(読み:エムディー・ドット・エーアイ)は放射線科医によってアメリカで設立され、医療画像に対する診断情報を付与するためのソリューションを提供するスタートアップです。画像やテキストデータを活用して、診断情報付与の自動化・効率化を行うソリューションを提供しています。
  • 注4NTT DATA Servicesでは、UCAにパートナーソリューションを含む、AI診断ソリューションを統合しています。
    https://us.nttdata.com/en/news/press-release/2017/november/ntt-data-announces-new-enterprise-imaging-platform-based-on-analytics(外部リンク)
  • 注5DeepTek社(読み:ディープテック)は、インドに本社をおきAI医療画像診断ソリューションおよび、遠隔読影サービスを提供するスタートアップです。NTTデータは、同社に出資を行い連携の強化を図っています。
  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

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