AIと画像解析技術を活用した「生育診断」および「病害虫・雑草診断」ソリューションの試行サービス開始 ~農業生産者の営農活動をサポートし、生産性向上に貢献~
2019年4月9日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータCCS
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)、株式会社NTTデータCCS(以下:NTTデータCCS)は、AIと画像解析技術を活用し、水稲の生育ステージを診断する「生育診断ソリューション」と、農作物に発生した病害虫・雑草の同定を可能とする「病害虫・雑草診断ソリューション」を開発し、2019年4月1日より、試行サービスを開始しました。
本試行サービスは、営農支援プラットフォーム「あい作」注1のオプション機能としての提供、スマートフォンアプリでの提供、API注2連携による提供を行います。スマートフォン等で撮影した圃場(ほじょう)の画像から、AIが水稲の生育ステージや、病害虫や雑草の種類を判断し、経験の浅い営農者でも適切なタイミングで施肥等の作業を実施することができます。
本試行サービスを通じて、診断精度のさらなる向上を図るとともに、本格サービス開始に向けて、AIが学習する際の基となる教師画像データを蓄積します。
NTTデータとNTTデータCCSは、本試行サービスの提供を通じて、2020年度以降の本格サービス提供を目指し、農業の効率化、生産性向上に向けた取り組みを推進していきます。
背景
日本の農業は、担い手の減少・高齢化による労働力不足が深刻な状況にあり、生産規模拡大・生産性向上が国の喫緊の課題となっています。一方で、農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業も多い状況となっており、大規模化や生産性向上の制約となっています。政府からは、技術発展の著しいロボット技術やAI、IoT等の先端技術を活用した「スマート農業」の実現により、生産性向上や労働力不足の解消を図るため、「未来投資戦略2018」(平成30年6月15日閣議決定)において「スマート農業」の実現に向けた取り組みを総合的に推進する方向性が示されました。
NTTデータCCSは、これまでに培ってきたAIと画像解析技術を活用し、農業の効率化や生産性向上を支援するソリューションとして、水稲の「生育診断AI」、および、日本農薬株式会社の協力のもとで農作物の「病害虫・雑草診断AI」の開発を行ってきました。この度、NTTデータがこれらの技術の本格展開に向けて、2019年4月から2020年3月末まで試行サービスを提供することとしました。
生育診断ソリューションについて
「生育診断ソリューション」は、圃場をスマートフォン等で撮影した画像からAIが水稲の生育ステージを診断するソリューションです。生育ステージの診断には、熟練者の経験に基づく判断が必要ですが、「生育診断ソリューション」を使用することで、経験の浅い営農者でも、AIが診断した生育ステージにより、適切なタイミングで施肥等の作業を実施することが可能となります。適切なタイミングでの追肥は、収量の増加や品質向上につながるものであり、それにより、営農者の収益性の向上に貢献することとなります。
これまでに、コシヒカリで診断技術の実証を行ったところ、高い精度での診断が可能であることが確認できており、今回の試行サービスを通じて、他の品種への適用について実証を行います。
図1:「生育診断ソリューション」のイメージ
病害虫・雑草診断ソリューションについて
「病害虫・雑草診断ソリューション」は、圃場においてスマートフォン等で撮影した病害虫・雑草の画像からAIが病害虫・雑草の同定を行うソリューションです。AIが病害虫や雑草の種類を正確に同定することで、より効果が高く、適切な防除策を営農者が選定できるようサポートします。病害虫・雑草の防除は、発生初期段階で防除を行うことで被害を抑制することが可能となりますが、病害虫・雑草の発生初期段階で種類を特定するには熟練者の経験に基づく判断が必要です。「病害虫・雑草診断ソリューション」を使用することで、経験の浅い営農者でも適切な対処を適切な時期に実施することが可能となります。
図2:「病害虫・雑草診断ソリューション」のイメージ
両社の役割
- NTTデータ:教師画像データ収集基盤の構築、試行サービス提供基盤の構築、営農支援プラットフォーム「あい作」のオプション機能の開発。
- NTTデータCCS:生育診断AI、病害虫・雑草診断AIの提供。
今後について
NTTデータとNTTデータCCSは、2019年度中までの試行サービスでの結果をもとにさらなる改善を行い、2020年度以降の本格サービス開始を目指します。
注釈
- 注1営農支援プラットフォーム「あい作」は、NTTデータが農業協同組合、農事組合法人等に向け、2018年10月10日から提供開始した営農支援プラットフォームです。今後、農業流通に関わる各ソリューションとも連携することで、営農支援プラットフォームの価値を向上させ、2020年度末までに国内100組織への導入を目指しています。
- 営農支援プラットフォーム「あい作」サイト
https://nd-agri.jp/products/
- 営農支援プラットフォーム「あい作」サイト
- 注2API(Application Programming Interface)とは、あるシステムで管理するデータや機能などを、外部のシステムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めたインターフェースの仕様です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
大島
TEL:03-5546-8051
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第三金融事業本部
戦略ビジネス本部
食農ビジネス企画担当
佐藤、内田
TEL:050-5546-9784