ASEAN全域の歴史的文化遺産をデジタルアーカイブ、世界公開へ
2020年2月27日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、ASEAN事務局が推進するASEAN諸国注の貴重な歴史的文化遺産をデジタル化する「ASEAN Cultural Heritage Digital Archive(略:ACHDA)」プロジェクトにおいて、ASEAN地域全体の文化遺産を集約するデジタルアーカイブシステムを構築し、第1フェーズとしてインドネシア、タイ、マレーシアの3カ国で文化遺産約160点のデジタル化を完了しました。
2020年2月27日よりインターネット上に公開されるアーカイブサイト「ACHDA」では、世界中からこれらの文化遺産の閲覧が可能となります。本システムでは、従来のNTTデータのデジタルアーカイブシステムで対応していた画像・音声・動画データだけでなく、立体造形物の3Dデータにも対応しました。
また、今後第2フェーズとしてカンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオスの文化遺産のデジタル化とアーカイブサイトでの公開を順次開始する見込みです。将来的にはASEAN全10カ国への展開を目指します。
なお、本活動は日本政府の拠出金により、2006年に設立された「日・ASEAN統合基金(JAIF)」の援助によって実施しています。
背景と目的
人口約6億5千万人を超えるASEAN地域では、多様な民族、宗教、人種、文化を擁し、「ONE VISION, ONE IDENTITY, ONE COMMUNITY」を掲げ、より強固な結束へ向けて一体感を醸成する文化事業が進められてきました。こうした背景のもと、ASEAN事務局はこれまで各国個別に行ってきた文化発信をASEAN全域で一元化し、ASEAN域内の文化交流を促進することや、歴史的に価値の高い文化遺産を後世に継承していくこと、さらには、ASEAN域外の人にもASEAN各国の文化に触れる機会を提供することを目的に、2018年にACHDAプロジェクトを開始しました。
NTTデータは、本プロジェクトにおいて歴史的文化遺産のデジタルアーカイブシステムの開発を進めてきました。
デジタルアーカイブシステムについて
本プロジェクトは、従来デジタルアーカイブ事業で対象としていた貴重な文献等の画像・音声・動画データに加え、立体造形物の形状・色・質感を含む高精細3Dデータの保全と公開を可能にしました。これらは当社デジタルアーカイブソリューション「AMLAD®」(読み:アムラッド)の機能拡充により実現し、文化遺産が災害や事故、経年劣化により失われることを防ぎ、長期的に保全します。
2020年2月27日よりインターネット上に公開されるデジタルアーカイブサイト「ACHDA」では、世界中の誰もがASEAN諸国の文化遺産のデジタルデータに自由にアクセスできるようになります。
今後の取り組みについてはASEAN事務局で検討が進められ、NTTデータは、ASEAN全10カ国での文化遺産のデジタル化や持続的なデジタルアーカイブの仕組みの構築を視野に入れ、ASEANへの更なる貢献を図ります。
図:ACHDAで3Dアーカイブ対象とする立体造形物(マレーシア博物館局で保管される「BELT BUCKLE」)
公開サイト「ASEAN Cultural Heritage Digital Archive」
URL:https://heritage.asean.org
歴史的文化遺産のデジタルアーカイブの様子(動画)
ASEAN事務局、日本大使館、NTTデータからのコメント
ASEAN 事務次長(社会文化共同体担当)クン・ポアック
ACHDAプロジェクトは、この地域の豊かで多様な文化遺産に対し、人々の理解と鑑賞を高めるというASEANの主要目的の重要なステップになります。ASEANアイデンティティ育成の努力をする中、私達はこのウェブサイトを使用するASEAN市民が、共有の文化遺産をよりよく理解し、より大きな地域への帰属意識を持つことを願います。2020年をASEANアイデンティティの年として祝う私達にとって、本日のACHDAウェブサイト立ち上げは、大変タイムリーなことであります。
ASEAN 政府代表部特命全権大使 千葉 明
このACHDAウェブサイトを使用すれば、だれでも、いつ、どこからでも簡単かつ瞬時に多くの文化遺産にアクセスできます。これはASEANだけでなく全世界に有益な革新的なプロジェクトです。JAIFを通して日本の高い技術がこのプロジェクトの立ち上げで不可欠な役割を果たしている、それを見る事ができとてもうれしく思います。
NTTデータ 執行役員 園田 勝一
ACHDAプロジェクトを通じ、NTTデータの情報技術がASEANの文化遺産におけるその価値の継承と発信に貢献できることを心から光栄に思います。ASEANを通して、この取り組みの価値が広く知られることになり、現在の貴重な文化資産を確実に未来に伝えていくという新たな文化が醸成されていくことを心から願っております。
デジタルアーカイブソリューション「AMLAD」とは
「AMLAD」は、博物館・図書館・公文書館や企業・団体が保有する画像、動画、音声などのあらゆるデジタルコンテンツを一元管理し活用するものです。NTTデータが、文化遺産という「人類の資産」の後世への継承と新たな情報利用の機会を世界中の多くの方に提供するために開発しました。(URL:http://www.amlad.jp/)2018年にはバチカン教皇庁図書館が所蔵する歴史的な手書き文献3,000点のデジタル化を実施し、「AMLAD」を活用してその保全と公開を現在も行っています。その他、国立国会図書館や高野山大学など、世界有数の文化機関に対して提供されています。NTTデータは今後もデジタルアーカイブ技術を通した文化遺産の保全・活用の取組みを世界各国へ展開することを目指しています。
注釈
- 注ASEANとは、東南アジアの10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)が加盟する地域協力機構です
- 「AMLAD」は日本、CTM(欧州)、米国における株式会社NTTデータの登録商標または商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
黒澤
TEL:03-5546-8051
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
長谷部、古川、野元
TEL:050-5546-2651
参考
デジタル化した文化遺産の代表例については以下の通りです。
インドネシア国立博物館の「Prajnyaparamita Sculpture(読み:プラジュニャーパーラミター スカルプチャー)」
タイ国立図書館の「Manuscript cabinet on pig-legged(読み:マニュスクリプト キャビネット オン ピッグレッグド)」
マレーシア博物館局の「BELT BUCKLE(読み:ベルトバックル)」