介護事業における事業所間手続きのデジタル化に向けて ~2020年度中に実証実験、2021年度内のサービス化を目指す~

ニュースリリース/NTTデータ

2020年3月16日

一般社団法人日本介護支援専門員協会
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ経営研究所

一般社団法人日本介護支援専門員協会(以下:日本介護支援専門員協会)、株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)と株式会社NTTデータ経営研究所(以下:経営研究所)は、3月16日、介護事業における居宅サービス計画書(ケアプラン)のペーパーレス化を目的に、全国展開に向けた活動を開始することで合意しました。

居宅介護支援専門員(ケアマネージャー)が在籍する居宅介護支援事業所注1と実際に介護サービスを提供するサービス提供事業所注2とで共有されるケアプランは、居宅介護サービスを受ける際に利用者の状態、要望に合わせて作成される介護サービスの計画書です。これまでは作成・修正の都度、また月々のサービス提供の予定と実績を共有するために、FAXや郵送、手渡しなど紙でのやりとりが行われており、転記ミスや誤送信などの課題がありました。3者は、介護事業所間でケアプランを電子的に受け渡すことができる「ケアプラン連携ICT基盤」を構築し、2020年度第2四半期より実証実験を行います。実証実験では電子データ連携より、手作業で入力していた介護実績などの誤入力防止や業務量削減、経費削減を検証します。

 
3者は今後、実証実験の結果に基づいてICT基盤の機能拡充や課題の精査を行い、全国統一のケアプラン連携ICT基盤の構築・実用化に向けて協力し、2021年度内のサービス化を目指します。

背景

高齢化と介護保険の担い手不足が進む中、介護に関する事務作業の効率化は喫緊の課題となっています。特にケアプランのやりとりは、これまでFAXや郵送、手渡し等、紙でのやりとりが行われており、効率化が必要とされる業務です。日本介護支援専門員協会の北海道支部である北海道介護支援専門員協会は北海道の補助を受けて、NTTデータグループの協力により、2017年からケアプランの事業所間手続きのデジタル化について効果測定等検証を進めてきました。

また、2019年5月22日に厚生労働省から「居宅介護支援事業所と訪問介護などのサービス提供事業所間における情報連携の標準仕様(以下、標準仕様)」注3が公表されたことにより、各事業所で使用している異なる介護ソフト間で標準仕様にのっとった電子データのやりとりを可能とする、ICT(情報通信技術)を活用した新しい仕組みの構築・提供が必要とされています。

こうした状況を受け、3者は初めて標準仕様に準拠した「ケアプラン連携ICT基盤」の構築・実用化に向けて協力していくことで合意しました。

「ケアプラン連携ICT基盤」の概要

「ケアプラン連携ICT基盤」は標準仕様にのっとって作成されたケアプランのデータ(CSVファイル)を、該当事業所に安全に送信することを目的としています。居宅介護支援事業所に対しては有償、サービス提供事業所に対しては無償で提供します。利用方法は以下の通りです。

利用シーンの例(居宅サービス計画書作成・共有時)

図:利用シーンの例(居宅サービス計画書作成・共有時)

効果

ケアプランの送受信をデジタル化することで、ケアプラン実績の入力作業が不要となります。これにより事務作業の効率化を図り、介護サービス利用者に接する本来業務の時間が増えることで、ケアマネジメントの質向上が期待できます。また、ペーパーレス化による経費削減効果も図れます。

体制と役割分担

  • 日本介護支援専門員協会:各都道府県の介護支援専門員協会支部や会員を通じた普及活動、「ケアプラン連携ICT基盤」の提供(各事業所からの申し込み受け付け、契約等)
  • NTTデータ:「ケアプラン連携ICT基盤」の開発・運用
  • NTTデータ経営研究所:実証実験の運用(計画、実行、結果のとりまとめ等)

今後について

2020年度中に実証実験を行うとともに、その結果に基づいて「ケアプラン連携ICT基盤」の機能拡充や課題の精査を行います。また、実証実験で確認された効果に基づき、全国の介護事業所に提供するための方策を検討します。

注釈

  • 注1居宅介護支援事業所とは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が所属し、要介護者等の自立支援のために適切なサービスが利用できるよう市区町村、サービス事業者等との連絡調整や介護サービスの基本方針となるケアプランの策定・実行(ケアマネジメント)を役割とする事業所です。
  • 注2サービス提供事業所とは、ケアプランに基づいて要介護者等が必要とする介護サービスを提供する事業所であり、具体的には訪問型サービス、通所型サービス、福祉用具貸与、短期入所等のサービスを提供する事業所を指します。
  • 注3「居宅介護支援事業所と訪問介護などのサービス提供事業所間における情報連携の標準仕様」とは、平成30年度の厚生労働省委託事業において、居宅介護支援事業所とサービス提供事業所との間で異なる介護ソフト間でもケアプランのデータ連携を行うことができることを目的として作成されたものです。
    https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000535306.pdf
  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

一般社団法人日本介護支援専門員協会
事務局
事業課
TEL:03-3518-0777

株式会社NTTデータ
広報部
廣田
TEL:03-5546-8051

株式会社NTTデータ経営研究所
コーポレート統括本部
業務基盤部
広報担当
伊達
TEL:03-5213-4016
E-mail:webmaster@nttdata-strategy.com

製品・サービスに関するお問い合わせ先

一般社団法人日本介護支援専門員協会
事務局
事業課
TEL:03-3518-0777

株式会社NTTデータ
第二公共事業本部
第四公共事業部
第一統括部
事業推進担当
亀井
TEL:050-5547-9629

株式会社NTTデータ経営研究所
ビジネスインキュベーション推進室
熊田
ビジネストランスフォーメーションユニット
繁本
TEL:03-5213-4140