全天候で撮影可能な衛星を活用した、全世界デジタル3D地図を提供開始 ~フィンランドの小型レーダー衛星会社のICEYE社と提携~

ニュースリリース/NTTデータ

2020年12月4日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、フィンランドの小型レーダー衛星会社 ICEYE社注1との業務提携を行い、NTTデータの衛星画像ソリューションに新たに「全天候型地図情報提供サービス」を追加して、2020年12月4日より販売を開始しました。
NTTデータは2014年から、光学衛星注2画像を利用した世界最高精度の全世界デジタル3D地図「AW3D®全世界デジタル3D地図(以下:AW3D)」を世界130カ国以上へ提供してきました。一方で、光学衛星には雲や煙がある場合に地上の画像撮影ができず、更新頻度に課題がありました。今回の新しいサービスでは、ICEYE社が運用する複数機の小型レーダー衛星注3の撮影データと、NTTデータが持つ高精度の画像解析技術を用いて、全天候下で全世界を対象として地図情報を抽出して提供します。天候に依存せず、地形や土地利用等の地図情報が取得できるため、定期的なインフラ企業の設備管理、山岳域における自然災害監視や土地利用の把握、災害発生時の状況把握等での活用が期待されます。
今後NTTデータは、本サービスの追加により、衛星画像ソリューションの売り上げを2025年度末までに100億円に拡大することを目指します。

背景

近年、インフラ老朽化や自然災害への対応力強化を目的とした「国土強靭化」に官民をあげて取り組む中、リスク情報把握にかかる人手を削減したい、人が現地に入れないエリアや悪天候時であっても現況を把握したい、というニーズがあがっています。
このようなニーズに対応するためNTTデータは、今回新たに雲や煙を透過して撮影が可能なレーダーを搭載したフィンランドのICEYE社と業務提携し、天候に依存しない確実な状況把握を可能とする「全天候型地図情報提供サービス」を2020年12月4日より提供開始しました。

ICEYE社との契約について

「全天候型地図情報提供サービス」は、小型レーダー衛星の運用で世界をけん引するフィンランドICEYE社とNTTデータが、衛星画像の提供に関する契約を締結したことにより実現しました。本契約は、日本国内注4において、ICEYE社の運用する衛星画像を提供できる権利です。また、全世界に向けた衛星画像の付加価値サービスで連携を行っていきます。

全天候型地図情報提供サービスの特長

これまで光学衛星を活用したことにより実現された「高解像度」かつ「高位置精度」の3D地図に加え、レーダー衛星を活用することによって「高頻度」かつ「高網羅性」を実現し、撮影開始から最短半日で画像の提供が可能となります。雲が多く、光学衛星では撮影が難しい、山岳エリアや赤道付近のエリアでも、最新の状況が入手可能となります。

NTTデータの優れた解析技術を利用した付加価値サービスの提供

NTTデータが20年来培ってきた衛星画像加工技術を利用し、レーダー衛星画像による地物抽出、3D地図化、および差分解析等の情報提供を行います。また今後、AW3Dと組み合わせることにより、被雲がない完全な3D地図の提供を行う予定です。

世界最高解像度で1日複数回撮影できるレーダー画像

小型衛星でありながら世界最高の50cm解像度で提供可能であり、車・船・鉄塔・建物等の詳細な情報の取得が可能です。
また、1日複数回日本上空を撮影可能です。高頻度で情報取得することができるため、定常的なメンテナンス業務等への活用が期待されます。現在3機運用中ですが、次年度には10機に増やす計画を予定しており、より高頻度での撮影が可能となります。

図1: ICEYEを活用した3D地図(雲仙普賢岳 平成新山)

図1: ICEYEを活用した3D地図(雲仙普賢岳 平成新山)

サービス提供について

・製品種別:
STRIPMAP(解像度3m、シーンサイズ50km×30m)
STRIPMAP HIGH(解像度3m、シーンサイズ50km×30km)
SPOTLIGHT(解像度1m、シーンサイズ5m×5km)
SPOTLIGHT HIGH(解像度1m、シーンサイズ5m×5km)

・提供単位:
シーン単位

図2:レーダー衛星画像(左:SPOTLIGHT HIGH 0.5m解像度 雲仙普賢岳砂防ダム、右:STRIPMAP 3m解像度 三宅島)

図2:レーダー衛星画像(左:SPOTLIGHT HIGH 0.5m解像度 雲仙普賢岳砂防ダム、右:STRIPMAP 3m解像度 三宅島)

今後について

今後NTTデータでは、画像販売のみならずレーダー衛星画像に関する付加価値加工を行って衛星画像ソリューションビジネスを拡大し、2025年度末までに売り上げを100億円に拡大することを目指します。

注釈

  • 注1ICEYE社
    ICEYEは、商用のレーダー衛星コンステレーションを構築・運用しており、2018年より世界のお客さまに向けSARデータを提供しています。独自の衛星コンステレーションを構築し、政府および民間におけるお客さまの意思決定を強力に支援しています。世界初の航空宇宙技術、ニュースペースアプローチにより、数多くの迅速かつ信頼できる情報が求められるグローバルな社会課題に応えています。昼夜を問わず高頻度で撮影できるICEYEのレーダー衛星画像サービスにより、海運、災害対応、保険、金融などの分野におけるお客様の課題解決に貢献します。詳細はこちらをご覧ください。https://www.iceye.com/
  • 注2光学衛星とは、可視から近赤外域、熱赤外の電磁波を検出する光学センサーを搭載している衛星です。
  • 注3レーダー衛星とは、マイクロ波を照射し、地表面からの反射を検出するレーダーセンサーを搭載している衛星です。
  • 注4安全保障分野と保険分野を除きます。
  • 「AW3D」は、日本国内における株式会社NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センターの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
宮尾
TEL:050-3646-0307

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
スマートビジネス統括部
営業企画担当
栗林、本間
TEL:050-5546-2507

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -

参考

AW3Dについて
2014年2月、NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち(ALOS))」が撮影した約300万枚の衛星画像を使い、世界で初めて5m解像度の数値標高モデル[Digital Elevation Model(DEM)]で世界中の陸地の起伏を表現している全世界デジタル3D地図のサービス提供を開始しました。
2015年5月からは、都市計画等の分野において利用を広げるために米国の民間衛星会社Maxar社(旧DigitalGlobe社)の衛星画像を活用した高精細版3D地図の提供を開始しました。これにより最高50cm解像度を実現し、都市エリアを中心とした「建築物」レベルの細かな起伏の表現が可能となりました。さらにAI等最先端技術を用いた地物情報抽出にも取り組んでおり、お客さま業務の短工期化、低コスト化を支援しています。
AW3Dは、世界130カ国以上・1,800プロジェクト以上で、新興国におけるインフラ整備や防災対策などの社会問題の解決に活用されており、社会および経済発展へ貢献しています。
AW3D Webサイト http://www.aw3d.jp/