AI画像技術を活用し、インドで10万人に結核診断へのアクセスを支援 ~先進技術を活用して、持続可能な開発目標(SDGs)へ貢献~
2021年1月29日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:本間 洋、以下:NTTデータ)は、マイクロソフトコーポレーション(以下、マイクロソフト)が推進する「AI for Health注1」と連携して、インドにおいて約10万人の結核診断へのアクセス向上支援を2021年1月から開始します。本取り組みは2020年6月より両社で開始した戦略的協業注2における、社会貢献活動への取り組みの第一弾として、持続可能な開発目標(SDGs)の一つである結核流行の終息注3に向け、NTTデータのもつAI画像診断技術およびマイクロソフトのMicrosoft Azureの無償提供によりインドでの多くの結核患者の早期発見・治療を支援します。
背景
結核は世界の死亡原因トップ10の一つで、2019年には結核により140万人が亡くなっています。注4この結核の流行を2030年までに終息させることは、持続可能な開発目標(SDGs)の健康目標の一つです。結核根絶に向けた課題の一つに、乏しい診断機会や結核発見の遅れが患者個人の重症化やさらなる蔓延を招いていることから、医療へのアクセスが困難な地域における結核患者の早期発見が重要とされています。
これまでAI画像診断技術に関する研究開発・実証実験を行ってきたNTTデータは、事業と企業活動を通じた社会貢献を経営戦略に織り込んでおり、マイクロソフトが推進する「AI for Health」と連携し、結核など感染症根絶に取り組み社会に貢献することをマイクロソフトと合意しています。
この連携の第一弾として、結核患者が世界で最も多いとされるインドにおいて、検診車を使った約10万人の結核診断へのアクセス向上支援を開始することとしました。
プロジェクト概要
インドのパートナー企業DeepTek注5では、病院等へAI画像診断技術を提供してきました。このたび、DeepTekと連携し、この技術をさまざまな地域を回り結核診断を行う検診車に搭載し、マイクロソフトのAzureと連携させインドのチェンナイにおける住民の結核診断へのアクセス向上を支援する計画です。
チェンナイにおいては、医療へのアクセスが難しい地域における結核患者の発見に取り組んでおり、本プロジェクトではそうした地域を訪問する検診車において撮影されたX線画像をAI画像診断技術により分析し、結核の疑いがあると判定された患者に結核検査(喀痰検査)を実施することで、結核患者の早期発見を目指します。
図1:インド チェンナイにおけるX線搭載検診車
図2:検査の流れ
地域 | インド チェンナイ |
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規模 | 約10万人の診断アクセス向上を支援 |
期間 | 2021年1月から2022年3月まで |
連携組織 | プロジェクトオーナ Greater Chennai Corporation(GCC) 技術提供 NTTデータ、マイクロソフト、DeepTek |
エンドースメント
インド チェンナイ Greater Chennai Corporation
AIを組み合わせたX線スクリーニングより結核感染の検出率が大幅に改善しました。私達はDeepTekが提供するこの技術に大変満足しており、彼らとそのパートナーに心から感謝します。
Greater Chennai Corporation シティ・ヘルス・オフィサー Dr.ジャガディーサン
マイクロソフト
インド政府が2025年までに目指す結核の撲滅などの社会課題の克服に向けて、AI for Goodプロジェクトを通じて、NTTデータおよびDeepTekと協働できることを大変うれしく思います。マイクロソフトのミッション「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」は、当社の製品開発、新しいテクノロジーの探求、そしてお客様との協働においても重要な指針となっています。
マイクロソフト コーポレーション AI for Good リサーチ ラボ ゼネラルマネージャー ユアン ラヴィスタ フェレス
AI画像診断ソリューションとは
X線やCT画像などの医療画像を用いた診断は、それを行う放射線科医が世界的に不足していることを背景にAIによる診断支援の研究開発や実証実験などの取り組みが進んでおり、NTTデータは、これまでに技術開発に取り組むとともに、世界各地の病院で実証実験を行ってきました。注6注7
図3:AI画像診断ソリューションの画面
今後について
今回の活動結果を踏まえ、チェンナイ以外の多くの地域において結核診断を支援していきます。また、COVID-19(Coronavirus Disease 2019)注8への対応などより多くの症例への対応も推進していく計画です。
注釈
- 注1AI for Healthは、マイクロソフトが、AIによって研究者や研究組織を支援し、世界中の人々や地域社会の健康を向上することを目的として、2020年1月に開始したプログラムです。詳細は下記を参照ください。
https://news.microsoft.com/ja-jp/2020/01/30/200130-ai-for-health-child-mortality/ - 注2マイクロソフトとの戦略的協業は、2019年12月に日本電信電話株式会社とマイクロソフトが締結した戦略的提携に基づき実施したものです。
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/061001/ - 注3SDGsのターゲット3.3「By 2030, end the epidemics of AIDS, tuberculosis, malaria and neglected tropical diseases and combat hepatitis, water-borne diseases and other communicable diseases.」
https://www.un.org/sustainabledevelopment/health/ - 注4世界保健機関(WHO)Global tuberculosis report 2020
https://www.who.int/publications/i/item/9789240013131/ - 注5DeepTek社(読み:ディープテック)は、インドに本社をおきAI医療画像診断ソリューションおよび、遠隔読影サービスを提供するスタートアップです。NTTデータは、同社に出資を行い連携の強化を図っています。
- 注6AIを搭載した画像診断支援ソリューションがCOVID-19の診断支援に貢献
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/052501/ - 注7岩手医科大学とAI画像診断の実証実験を実施
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/052901/ - 注8COVID-19(Coronavirus Disease 2019)とは、新型コロナウイルス感染症のことです。
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
田中
TEL:050-3644-3022
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
技術開発本部
企画部
及川、田代
TEL:050-5546-2308