グローバル調査結果:AIを通じた金融機関と個人の新しい関係 ~世界の金融機関の8割超が、顧客向けサービス個別化へのAI活用を模索~

ニュースリリース/NTTデータ

2021年2月24日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、2020年12月、海外グループ会社とともに、デジタルの世界において、金融機関がAIを使ってどのように顧客を獲得し、維持できるのかを探ることを目的に、世界8カ国の金融機関と消費者を対象としたグローバル調査を実施しました。

調査について

  • 対象国:日本、米国、英国、ドイツ、スペイン、イタリア、ブラジル、メキシコ
  • 金融機関:銀行(全体の64%)のほか、証券会社、資産運用会社、カード決済分野などのシニアエグゼクティブ476人(うち日本は50人)
  • 消費者:18歳以上の4,807人(うち日本は600人)

調査結果について

本調査からは、

  1. (1)デジタルに精通した新しい消費者は、個人の事情に合わせた推奨意見(財務アドバイスなど)の提供を金融機関に期待しており、そのための追加的支払いや個人情報提供にも前向き
  2. (2)顧客の獲得・維持を目指す金融機関の多くでは、金融以外のサービス業者ともエコシステムで提携しつつ、AIと顧客データの活用による、個別化したプロアクティブ(先取的かつ能動的)なサービスの開発・提供に取り組み中

であることが分かりました。

主な調査結果は以下のとおりです。

  • 金融機関の8割強は、顧客獲得・維持のうえでAIが戦略上重要な地位を占める、との考えに同意
    金融機関では、顧客を獲得・維持していくのに今後AIが重要な役割を果たす、という点について、おおむね意見が一致しています。

  • 金融機関が顧客を獲得・維持するうえでの最大の課題は、顧客ごとにアドバイスをカスタマイズして提供するためのAIとデータの活用
    金融機関が顧客を獲得し維持していくためのさまざまな課題(信頼の確立、非銀行業者との競争、対面でのやりとりの制約など)があるなかで、最大の課題として挙げられているのは、顧客一人一人に合わせたアドバイスを行ううえでのAIの活用です。しかし、AIの実装は容易でないうえ、活用への明確な戦略が整っていないケースも少なくありません。

    もっともこの点に関連し、金融機関は、長年の取引関係のなかで蓄積された豊富な顧客データという、固有の強みをもっています。
  • 顧客は、大きな支出全般の決定に関し、金融機関の良心的アドバイザーとしての役割を期待
    消費者の多くは、金融機関がプロアクティブにアドバイスしてくれることを望んでいます。すでに予定済みの支払いについてのリマインド(消費者全体の53%)にとどまらず、半分近く(同46%)が、大きな支出の決断への良心的かつ理性的なアドバイザーとしての役割も期待しています。

  • 顧客ごとに完全に個別化された提案に対し、個人情報を提供し追加的に支払うことに前向きな顧客セグメント(「未来派」)が拡大中
    消費者は、「未来派」(Futurists)と「伝統派」(Traditionalists)に分類することができます。前者は、「自らの金銭的福利向上の目的で、商品やサービスについて個別化された提案がされるのであれば、より多くのお金を支払う意思がある」人たちです。個人情報の提供にも前向きな「未来派」は、相対的に若く、テクノロジーに慣れ、デジタルの商品やサービスを好む傾向にあります。

    「未来派」が消費者全体に占める比率は、8カ国全体で35%となっていますが、日本ではそれより低く26%です。一方そのなかで、「良心的アドバイザーとしての役割」や「財務管理に関する個別化されたオンラインガイダンス」に支払う用意がある人の比率は、8カ国全体よりむしろ高くなっています(それぞれ69%、73%<8カ国では51%、52%>)。
  • 金融機関の93%が、個別化プロアクティブサービスの提供は「未来派」顧客を獲得・維持できる機会だと考えているものの、顧客ごとの個別推奨にAIとデータを活用している先は、わずか16%
    金融機関による顧客向けカスタマイズには、(1)大まかな個別調整(各顧客セグメントを対象にする「1対多」での個別化)と、(2)完全な個別化(「1対1」での個別化)の、2つのレベルがあります。これらについて、多くの金融機関ではまだ企画段階にあり、すでに大まかな調整に向けてデータを活用しようとしている金融機関は全体の32%、完全個別化についてはわずか16%となっています。

    現在これらの個別化に向けて取り組み中の金融機関の比率はイタリア(40%)で最も高く、以下、ドイツ(26%)、スペイン(26%)、ブラジル(20%)、米国(19%)、日本(18%)、メキシコ(15%)、英国(10%)と続いています。

    将来を見据えた金融機関では、今後3~7年の間に、顧客一人一人に完全に個別化されたプロアクティブサービスが差別化の手段となる、と考えています。
  • 金融機関の間では、個別化プロアクティブサービスを構築するための一連の活動が進行中で、14~18%の先が旅行会社や音楽・ゲームのプロバイダーなどのサービス業者と積極的に提携
    取り組まれているサービス適用分野トップ3は、金銭的福利関連(財務アドバイスなど)、金融サービス全般、税務です。それ以外の多くの分野でも、実際の投資や検討が進められています。一部では、金融分野とは一見縁遠い、旅行会社や音楽・ゲームのプロバイダーとの提携も検討中ないし進行中です。

    こうした点について日本では、主な適用分野は金融サービス全般やセグメント調整した融資推奨となっているほか、金融関連以外については、8カ国全体に比べ飲食・音楽・旅行に取り組んでいる先が相対的に多め(一方、ゲームとロイヤルティ関連は少なめ)となっています。

レポートのダウンロードについて

調査結果のレポート(日本語版)は、こちら からダウンロード可能です。

本件に関するお問い合わせ先

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株式会社NTTデータ
広報部
西原
TEL:050-3646-2104

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金融事業推進部
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