旭化成の機能材料事業におけるデジタル経営基盤を構築、国内外10拠点の経営情報を一元化 ~AnaplanとSalesforceを活用した未来志向の経営マネジメントの実現へ~
2021年9月30日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、旭化成株式会社(以下:旭化成)がグローバル展開している機能材料事業注1のデジタル経営基盤を共同で構築しました。本基盤は、2021年9月より同社の機能材料領域における次期中期経営計画の策定とモニタリングに向けた活用が開始されています。
本基盤では、営業活動の一元管理と将来に渡る製品別の連結収支計画の確認が行えます。国内外の全10拠点で1.5万件におよぶ製品に関する受注確度などの営業情報を、クラウドサービスの利用で一元化しました。従来決算のタイミングでしか把握できなかった製品別限界利益が、月次で営業利益ベースまで把握でき、10~20分程度かかっていた利益シミュレーション計算は、5秒前後に短縮できました。また、これらの営業情報を製品別のグローバル連結原価と連動させることで、5年先の将来に渡って期待される製品別の連結収支計画を可視化しました。より精度の高い中長期の投資計画や人員計画策定に向けた意思決定を可能にします。
NTTデータは、旭化成の未来志向の経営マネジメントを実現するDXパートナーとして事業貢献していくこととともに、製造業を中心とした多岐にわたる業種でAnaplan、Sales CloudおよびTableauなどのSaaS製品の活用を積極的に進め、2026年度末までにSalesforceおよび関連ビジネスで売り上げ500億円を目指します。
背景
昨今のコロナ禍を契機とした不確実性の高い時代において、グローバル企業では、従来の財務情報予実分析に加え、鮮度の高い営業情報や非財務情報などを組み合わせた未来予測志向の経営管理が一層重要になることが想定されます。
旭化成の機能材料事業は多様な樹脂製品をグローバルに事業展開していますが、樹脂製品の主要用途である自動車用途におけるEV化など、市場環境の変化に伴い、迅速に経営資源を有効活用する必要性が高まっており、データに基づいた正確な意思決定を実現するデジタル経営基盤の整備が急務でした。
そこで、NTTデータは、旭化成と共同でデジタル経営基盤の再構築を目的としたプロジェクトを立ち上げ、将来のビジネスの種である営業情報を活用したグローバル製品別連結損益の可視化などに取り組んできました。今回、実運用化への道筋を確認できたため、2021年9月より本格活用を開始しました。
デジタル経営基盤について
NTTデータは旭化成の機能材料事業が目指すべき将来像から「あるべきデジタル経営基盤」の構想策定をはじめ、国内外の全10拠点との合意形成、システム導入、現場定着まで支援してきました。
本基盤は、各拠点に散在するデータをスピーディーに集約し、経営の意思決定に必要な情報に作り上げるプラットフォームのAnaplan、顧客情報や案件情報の一元化や営業のプロセスの可視化を実現するSales Cloudおよび直感的なデータ分析を可能にするTableauのSaaS製品を組み合わせたシステム構成とし、アジャイルベースでの開発手法を用いて段階的に構築しました。
ステージ1
- 目的:
- 経営管理における予算、実績、見込みの計数情報の一元管理
- 使用製品:
- Anaplan、Tableau
- 概要:
- 世界中に分散している製造、加工、販売の各拠点における製品別の損益を分解しつつ、製品全体の損益を把握するため、全拠点のデータをAnaplanに入力し、自動的に製品別の連結予算が集計される仕組みを構築。
- 従来決算のタイミングでしか把握できなかった製品別限界利益が、月次で営業利益ベースまで把握でき、10~20分程度かかっていた利益シミュレーション計算を5秒前後に短縮。
- 損益情報は、最終顧客や用途などの分析軸でTableauに連携され、Tableauダッシュボード上で最終製品の利用用途や最終顧客ごとの製品収益性比較といったデータ分析を実現。
- 本基盤を活用することで、本社からの依頼事項削減などの業務効率化や、データ活用による各拠点での効率的な経営を実現。
ステージ2
- 目的:
- 受注前の営業情報と受注後の案件情報を含む、5年先のビジネスを見通した経営管理
- 使用製品:
- Anaplan、Tableau、Sales Cloud
- 概要:
- ステージ1で構築したシステムにSales Cloudで管理する営業情報を連携することで、1.5万件に上る中長期の製品別の期待連結収支計画を可視化。
- Sales Cloudによる営業支援と経営管理を両立する業務プロセスを再定義し、従来担当者によって管理レベルに差のあった営業活動の進捗率、受注確度、開発難度などの定量情報を標準化。
- これらの営業情報を製品別のグローバル連結原価と連動させ、5年先の将来にわたって期待される製品別の連結収支計画をシナリオ別に可視化し、精度の高い意思決定を実現。
- デジタル経営基盤の構築により、鮮度の高い営業情報を蓄積し続ける重要性が今後さらに高まることから、営業担当者が使いやすいように営業プロセス改革や現場定着のサポートを実施。
図:デジタル経営基盤のイメージ
今後について
NTTデータは、旭化成の機能材料事業におけるデジタル経営基盤の構築だけではなく、旭化成のさらなるデジタル技術の応用とデータ活用を支援し、未来志向の経営マネジメントを実現するDXパートナーとして事業貢献していきます。また、製造業を中心とした多岐にわたる業種でDXに関するサービスのさらなる拡充と価値創出を行い、Anaplan、Sales CloudおよびTableauなどのSaaS製品の活用を積極的に進め、今後2026年度末までにSalesforceおよび関連ビジネスで売り上げ500億円を目指します。
注釈
- 注1機能材料事業とは、旭化成のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる機能性樹脂を中心とした製品群により構成される事業領域を指します。高耐熱性・高強度・難燃性などの高い機能を持つ樹脂製品を、自動車・電気電子部品・OA・太陽電池などの様々な用途に供給しています。
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
参考
- NTTデータグローバル経営管理ソリューションについて
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/dx_business_management_consulting/ - NTTデータSalesforceオファリングについて
https://digital.nttdata.com/crm-salesforce/ - 旭化成 機能材料事業について
https://www.asahi-kasei-plastics.com/
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
宮尾、西澤
TEL:070-4437-3848
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
コンサルティング&ソリューション本部
コンサルティング事業部
山崎
E-mail:csaksales@kits.nttdata.co.jp
デジタルビジネスソリューション事業部
朝岡、大田、神谷
E-mail:salesforcecrm@kits.nttdata.co.jp
エンドースメント
Anaplanジャパン株式会社 社長執行役員
中田 淳
Anaplanは、NTTデータさまとともに旭化成さまの機能材料事業におけるデジタル経営基盤を構築出来た事を大変嬉しく思います。旭化成さまの機能材料事業は世界中に生産拠点があることから、変化する市場に対応可能なデジタル経営管理基盤を必要とされていました。Anaplanを活用することで、従来は決算のタイミングでしか把握できなかった製品別限界利益が、月次で営業利益ベースまで把握可能になったことに加え、10~20分程度かかっていた利益シミュレーション計算も、わずか5秒前後で可能になりました。これにより、一層正確かつ迅速な意思決定が可能となり、今後も旭化成様のデジタル変革に向けて、Anaplanが大きく貢献できるものと考えています。