勘定系システムをオープン化するフレームワーク「PITON™(ピトン)」の製品化決定 ~MEJARに続き、しんきん共同センターの次期勘定系システムでの採用が決定~

ニュースリリース/NTTデータ

2022年1月20日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、メインフレーム注1上に構築されたシステムをオープン化注2するためのフレームワーク「PITON™(ピトン)」を2024年から製品として提供します。
「PITON」は金融機関の勘定系システムなど、高い信頼性が求められるシステムを安全にオープン化できるフレームワークであり、メインフレーム向けに開発されたアプリケーションをオープン系の基盤上で稼動させることを可能とします。これまでメインフレームのみで提供してきた勘定系システムにおいて、システム更改時の「PITON」採用によりオープン化を選択できるようになります。安定した稼動実績のある既存業務アプリケーションに変更を加える必要がなくなることから、メインフレームで構築されたシステムのオープン化の移行リスクを低減します。
「PITON」による安全なオープン化により、ハードウエアの調達やシステムの開発・維持・運用に必要なIT人材の確保など、勘定系システムのサステナビリティを確保できます。システムと最新技術の親和性が向上するため、利用金融機関のデジタル化やコスト削減にもつながります。また、オープン化によって勘定系システムにおいてもクラウドやデータセンターの活用が進むことにより、将来的に消費電力削減などによるお客さまの脱炭素化への貢献も期待できます。
「PITON」はファーストユーザーである次期MEJAR注3の2024年のサービス開始と同時に製品化します。また、2026年目途で更改予定のしんきん共同センターの次期勘定系システムでも採用が決定しました。しんきん共同センターの次期勘定系は「PITON」を採用することにより、これまでメインフレームで稼動してきた共同システムをオープン環境へ移行します。

背景

これまで金融機関の勘定系などミッションクリティカルシステム注4の多くはメインフレーム基盤を中心に構築されてきました。しかし近年、国内のメインフレームの供給が年々減少しており、さらに開発に従事するメインフレーム技術者も減少傾向にあります。そのため、メインフレームの価格高騰や、メインフレームを前提としたシステムそのものの継続性に対する懸念が高まっています。
NTTデータはこうした状況を受け、2017年からメインフレーム上で稼動する業務アプリケーションをオープンサーバー上で稼動させるためのフレームワークの研究開発を始めました注5。2019年には、NTTデータが提供する共同利用型勘定系システムに当該フレームワークを適用するための技術検証を始めました。研究開発と技術検証の結果、2021年4月1日にMEJAR各行が共同利用する次期システムへ当該フレームワークを採用することで各行と基本契約を締結注6しました。
そして、NTTデータはこのたび当該フレームワークを「PITON」として2024年のMEJAR利用開始に合わせて製品化することとし、さらに2026年のしんきん共同センターの次期勘定系システムでの採用が決定しました。

概要

「PITON」はメインフレーム向けに開発されたアプリケーションを、オープン系の基盤上で稼動可能とするフレームワークです。

図1:「PITON」の概念図

図1:「PITON」の概念図

オンライン取引、バッチジョブ制御に加え、データベース管理、通信制御、運用制御など従来メインフレームの専用ミドルウエアが担っていた各種制御機能の役割を、「PITON」とオープン系の汎用製品の組み合わせで代替します。これにより、オープン化にあたってメインフレームで稼動実績のある業務アプリケーションに手を加える必要がなくなります。移行リスクの低減や、オープン化後の安全性の確保が可能です。

「PITON」によるオープン化の価値

安全性・信頼性を保持したオープン化によって提供できる価値は以下の3点です。

  • (1)サステナビリティの確保
    システムを構成するハードウエアや製品などが中長期的に確保できるようになり、システムの継続性が確保されます。オープン系の技術者はメインフレーム技術者と比べて母数が多いため、システムの開発・維持・運用に必要なIT人材も中長期的に確保・育成しやすくなります。
  • (2)デジタル化への貢献
    システムと最新のオープン技術との親和性が増すことで、システムを使ったデジタルサービスの開発などに貢献します。
  • (3)グリーンIT推進
    オープン技術との親和性を生かしたクラウドやデータセンターの活用により、消費電力削減などの観点でお客さまの脱炭素化に貢献します。

図2:「PITON」のロゴ

図2:「PITON」のロゴ

しんきん共同センターの採用

しんきん共同センターの勘定系システムは、信用金庫の92%である234金庫(2021年11月時点)が共同利用する基幹システムであり、一般社団法人しんきん共同センターが運営しNTTデータが開発・維持管理を受託しています。これまでメインフレーム上で運用を行っていましたが、2026年更改予定の次期システムで「PITON」を採用し、これまでの勘定系プログラム資産を極力生かす形でオープン環境に移行することを決定いただきました。オープン環境に移行することで運用の効率化やシステムの継続性の確保を目指します。

今後について

「PITON」のファーストユーザーである共同利用型勘定系「MEJAR」の商用サービス開始(2024年)に向けて開発や検証を進めます。また、ミッションクリティカル領域を中心に、さらなる適用の拡大を検討していきます。

注釈

  • 注1官公庁や金融機関等の大量のデータやトランザクション処理を扱う基幹システム向けに古くから提供されてきた、一般的にメーカー固有のCPUやOS等を用い高い性能や信頼性を保持した大型のコンピューター製品のこと。
  • 注2オープンサーバー製品を採用するなど、市場に提供されている汎用製品を主体としたシステム構成にすること。
  • 注3株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループの株式会社横浜銀行と株式会社東日本銀行、株式会社ほくほくフィナンシャルグループの株式会社北陸銀行と株式会社北海道銀行、および株式会社七十七銀行の5行が共同利用している勘定系システム
  • 注4高い信頼性・可用性・性能等が要求される、社会的に重要な役割を担うシステムのこと。
  • 注5「2018年7月20日 ニュースリリース「金融勘定系システムのオープン基盤提供に向け本格始動」
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/072001/
  • 注6「2021年4月1日 ニュースリリース「横浜銀行、北陸銀行、北海道銀行、七十七銀行、東日本銀行と次期共同利用システムに関する基本契約を締結」
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/040102/
  • 「PITON」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

参考:「PITON」の由来

ピトンとは、クライミング等においてルート確保のために岩壁や氷壁に打ち込む鋼鉄製の釘のことを言うフランス語から引用しており、金融システムの安全性を「確保」し、人から人へと「継承」し、目標に向かって「導く」存在となるとの思いを込めています。新たに打ち付けるピトンだけでなく、先人の打ち付けたピトンを活用しながら安全を確保するように、最新の技術要素と当社がこれまで手掛けてきたミッションクリティカルシステム運営で蓄えた高信頼性に対するノウハウを組み合わせて、安心安全にメインフレームのオープン化へと導く支えとなります。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
岡林
TEL:050-3644-3163

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
バンキング統括本部
ONEバンキングプラットフォーム推進室
出畑、増谷、原野
第三金融事業本部
しんきん事業部
坂口、東野

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