国内初、防災無線でみちびきの衛星回線を活用し防災情報を配信

サービスインフォメーション

2020年3月5日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、自治体が携帯通信網、緊急速報メール、LPWA網注1を活用することで防災情報を配信する「減災コミュニケーションシステム®」注2を2007年より提供しています。今回、本システムに準天頂衛星みちびき(以下:みちびき)の衛星回線を利用した「災危通報サービス」の防災情報注3自動配信機能を、2020年4月より提供開始します。防災無線システムの放送装置への、みちびき活用は国内初の事例となります。

従来は、携帯通信網を活用して自治体庁舎に設置してあるパソコンや送信装置などから職員が防災情報や避難情報を入力して屋外スピーカーなどに配信する方法や、緊急速報メールなどを自動配信し、情報発信していました。今回、新たに衛星回線みちびきの受信機を屋外スピーカーに設置したことで、有事の際に庁舎や地上回線が使えない場合でも、みちびきから直接屋外スピーカーに防災情報を自動配信できるようになります。そのため、職員の安全を確保したうえで、住民への情報提供ができ、防災情報を継続して屋外スピーカーから配信することが可能です。

4月の機能提供に先駆け、2020年2月に沖縄県うるま市(以下:うるま市)協力のもと、みちびきからの防災情報の受信確認などを検証する実証実験を行い、有効性を確認しました。

本機能を有した屋外スピーカー装置はすでに自治体へ800台以上の導入が決定しています。今後NTTデータは、みちびきを活用した防災情報配信を減災コミュニケーションシステムの機能として提供し、さらなる拡販を目指します。

背景

東日本大震災から9年、熊本地震(2016年)や西日本豪雨(2018年)、北海道胆振地震(2018年)、台風19号(2019年)などの災害が全国各地で甚大な被害を及ぼしています。防災情報は庁舎から配信先(屋外スピーカー、戸別受信機、携帯など)に配信するため、こうした災害時に自治体庁舎が被災した場合、情報配信が途絶えてしまうなどの課題がありました。

NTTデータはこれらの課題を解決するため、より確実に住民へ情報を届ける手段として、減災コミュニケーションシステムに、みちびきを活用した防災情報の自動配信機能を提供することにしました。

みちびきの衛星回線を活用した防災情報伝達の流れ

図1:みちびきの衛星回線を活用した防災情報伝達の流れ

概要・特長

本機能は、気象庁から発せられた防災情報を通じてみちびきの衛星回線から屋外スピーカーに伝達します。防災情報を受けた屋外スピーカー装置は、装置内の音声合成機能によって、受信した文字データを音声データに自動生成し、音声鳴動します。各住宅向けに配布している戸別受信機注4へも、屋外スピーカーからLPWA網を活用し、防災情報を配信します。

また、自治体職員がパソコンや送信装置などから防災情報を入力する等の作業をしなくても、みちびきから受けた情報を屋外スピーカーが自動で発信することが可能となります。

※屋外スピーカー装置の一部であるみちびき受信機は古野電気(株)の製品を利用しています。

実証実験

気象庁から発せられた防災情報を想定し、みちびきの衛星回線を通して実環境でも正常に受信可能であるかの確認等について計測を検証しました。

  • 期間:2020年2月~
  • 場所:うるま市(海に面した自治体であり、津波を警戒している沿岸部を中心にフィールドの提供に協力)
  • 結果:みちびきを通して発信された防災情報が、日本南方エリアでも受信でき、屋外スピーカーの鳴動が確認できました。

みちびき受信機設置の屋外スピーカー

みちびき受信機設置の屋外スピーカー

減災コミュニケーションシステムについて

2007年より提供している減災コミュニケーションシステムは、自治体から、住民に向け防災、避難や行政の情報等を伝達するためのシステムです。

今回、みちびきの衛星回線を活用した防災情報の自動配信機能の追加に合わせて、屋外スピーカーに備えるバッテリーを最大144時間(6日間)対応へと拡大しました。そのため、継続した情報伝達が可能となります。今回の衛星回線の機能追加により、インフラ通信網を補強することでより堅牢な防災情報システムを実現しています。

減災コミュニケーションシステムの全体イメージ

図2:減災コミュニケーションシステムの全体イメージ

今後について

NTTデータは引き続き、国内他地域での実証実験を実施していくとともに、2020年4月より減災コミュニケーションシステムの標準機能として本機能を提供開始し、さらなる拡販を目指します。 また、今後もお客さまの要件に合わせシステムを更新し、想定される災害対応だけでなく多くのサービスとの連携・多様化・深化に対応していきます。

注釈

  • 注1LPWA網とは、特定小電力無線であり、IoTやM2M領域を中心として活用が広がっている無線通信技術です。
  • 注2減災コミュニケーションシステムは、多様なインフラ通信網(携帯通信網、緊急速報メール網、LPWA網)と伝達手段で多層的に防災情報を一元で配信することで住民の皆様へ確実に情報を伝達する仕組みです。
    減災コミュニケーションシステム:https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/disaster_mitigation_c/
  • 注3減災コミュニケーションシステムで配信する防災情報とは災危通報サービスの一部情報(地震速報、震度、津波、気象、洪水、火山情報)のことを指します。みちびきから配信される防災気象情報すべてを配信しているわけではありません。
    みちびきサービスについて:https://qzss.go.jp/
  • 注4NTTデータ2018年1月29日ニュースリリース「減災コミュニケーションシステム®」にLPWAを活用した戸別受信端末を今夏追加
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/012900/
  • 減災コミュニケーションシステムは日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
デジタルコミュニティ事業部
第一ビジネス統括部
観光・防災推進担当
山口、入福、戸上
TEL:050-5547-3617