消費者と食の提供側をデジタル技術でつなぐプラットフォームの検討を開始 ~第一弾として、食の制約を解消する取り組みを社内レストランで実施~

サービスインフォメーション

2020年3月18日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、飲食店における料理の原材料情報と、消費者一人一人が持つ宗教や健康面などの食の制約情報を比較解析する仕組みを作り、2月下旬より社内レストランにおいて有効性を評価する試行実験を開始しました。なお、消費者が持つ食の制約情報の扱いについては、NTTデータが主催するオープンイノベーション活動「豊洲の港から」注1を通じて協業に発展した、株式会社CAN EAT(以下:CAN EAT)と共同で取り組みます。本仕組みの活用により、食の制約があっても安心して食べられるメニューを探すことが容易になります。

NTTデータは、食にまつわる社会課題の解決にデジタル技術で貢献する活動を、継続的に拡張・加速させています。今回、消費者と食の提供側をデジタル技術でつなぐ統合的なプラットフォームの検討を開始しました。これにより、食のTransparency(トランスペアレンシー:透明性)を向上させ、健康で楽しい食生活を支援します。

背景

世界人口爆発や地球温暖化等による食料危機、フードロス、廃プラスチック問題などといった地球規模の社会課題に対する関心が高まってきているなか、食分野にもデジタル化の波が押し寄せています注2。食分野に適用可能なテクノロジーが近年目覚ましく進展したことも大きな要因です。例えば、ウエアラブル/インプランタブルデバイスで生体情報をモニタリング、AIで料理画像を判定して食事履歴を収集、データ解析により最適行動を促す、賞味期限に応じて価格をデジタル値札で変更、などが挙げられます。また、消費者の意識が変わり、食の価値観が多様化してきています。例えば、アニマルウェルフェア注3に対する意識の高まりなどによるエシカル消費注4の拡大、肥満や糖尿病などの生活習慣病患者の増加による健康意識の高まりなどです。

こうした社会環境の変化を鑑み、NTTデータでは、多様なデジタル技術で食にまつわる社会課題の解決に貢献する取り組みを、拡張・加速させています。その取り組みの一環として、今回、飲食店における料理の原材料情報と、消費者の食の制約情報を比較解析する仕組みを作り、2月下旬より社内レストランにて試行実験を開始しました。個別対応と固定メニューの2場面を設定しており、どちらの場合においても、消費者が食の制約情報に合わせて不自由なく食べられる環境を作ろうとするものです。

図1:試行実験の全体像

図1:試行実験の全体像

図2:画面イメージサンプル

図2:画面イメージサンプル

試行実験について

今回、NTTデータはプラットフォーム検討における取り組みの第一弾として、食の多様化への対応ニーズに着目し、消費者が安心して食べられる環境作りをテーマとしました。特定の食材に制約がある場合の対処について、社員が実際に社内レストランを利用するユースケースで試行実験することで、必要な情報の抽出と適切なUX設計へのフィードバックを得ることが目的です。また本実験は、食の制約がある人の外食をサポートするサービスを提供しているCAN EATと共同で実施します。

実施期間2020年2月25日~3月31日
実施場所豊洲センタービル36階 レセプションスペース会(Cai)
対象レストラン利用者で食の制約がある人
各社の役割NTTデータ:原材料情報をもとに消費者にパーソナライズ配信をする仕組みの開発、試行実験の運営
CAN EAT:消費者が食の制約情報を入力し、レストランへ知らせるサービスを提供

1.個別メニューへの対応

レストランを利用する消費者が、最初に予約した時点から最終確認の電話が来るタイミングまでに自身の食の制約情報をシステム上で入力し、レストランがその情報を見た上で対応を消費者と意識合わせできる状況を作ります。これにより、消費者の食の制約情報を元にしたメニューでの個別対応を可能とします。

2.固定メニューへの対応

レストランで提供している固定メニューを対象として、料理の原材料情報をもとに、食の制約がある人にとって食べられるか否かを高い精度で判断できる表示(例えば「小麦」が料理の何処にどう使われているのかわかる)を生成します。また、原材料情報と消費者の食の制約情報を掛け合わせることで、各消費者が食べられるメニューを個別にアプリでお知らせするなど、パーソナライズされた情報提示や配信を可能とします。

これにより、消費者の食の制約情報に合わせて、食べられるメニューが選択可能になると考えています。

食に関するプラットフォームの検討について

食の領域に関するアプリ等のデジタルツールは、すでにさまざまな種類が存在しており、目的に合わせて最適なツールを活用すれば消費者が相応のメリットが得られる環境が整ってきています。しかし、各ツールは個別に機能していることが多く、さらなるユーザーの利便性を追求するには、各情報を統合的に扱える仕組みが必要です。そこでNTTデータは、食の領域に関するあらゆるデータを既存サービスも含めて統合的に連携して扱い、単独の用途に捕らわれない幅広い視野かつ長期視点でのアウトプットを返せる、統合的なプラットフォームの検討を開始しました。これは、消費者が健康で楽しい食生活を送れるよう、デジタル技術を用いて食の提供側と適切な連携を行うことで、従来よりもパーソナライズされた、きめ細かい対応を可能とする仕組みです。

例:「健康診断データ」「昼食の内容」「腸内細菌の割合」をもとに、帰りに寄り道すべき場所から引き合いが来る、食べたことがないメニューを予算内で探せる、週末までに揚げ物を食べられる限度回数が算出される、など。

図3:食に関するプラットフォームの構想

図3:食に関するプラットフォームの構想

今後について

今後NTTデータは、健康で楽しい食生活を実現するため、食を取り巻く業界内外に変革をもたらすデジタル技術の進化を中長期的な視点で見通し、食に関するプラットフォームの整備を進めていきます。具体的な活動としては、消費者が苦痛なく利用できるUXの洗練、蓄積されるデータを解析するエンジンの設計、ユースケース検証を通じたデジタル技術の精査等を順次実施する予定です。

CAN EATのサービスについて

食べられないものをアンケート形式で登録し、お店や友人に伝えられるサービスです。

https://caneat.jp/

CAN EATはクラウドファンディングで資金調達しサービスを開発したベンチャー企業であり、多数のビジネスコンテストで受賞しています。NTTデータが主催する「豊洲の港から」を通じたオープンイノベーション活動の一環で、今回の協業に発展したものです。今回の試行実験はB to B領域では初めての活用事例になり、既存業務システムと連携して企業活動における「おもてなし品質」を高める観点でも期待されます。

注釈

  • 注1豊洲の港から
    http://oi.nttdata.com/
  • 注2「食」に押し寄せるデジタル化の波~フードテックと未来の食の姿~
    https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2019/0731/
  • 注3アニマルウェルフェアとは、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。
  • 注4エシカル消費とは、環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費することを指します。
  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

社内レストランでの試行実験について

株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
技術開発本部
企画部
松下、伊藤
TEL:050-5546-2308
E-mail:rdhkouhou@kits.nttdata.co.jp

食に関するプラットフォームの検討について

株式会社NTTデータ
製造ITイノベーション事業本部
第四製造事業部
三竹、三井
TEL:050-5546-9018

コンサルティング&マーケティング事業部
多田、内田
TEL:050-5546-9530