治験トータルソリューションプラットフォーム「PhambieLINQ™」の販売開始 ~製薬企業と医療機関の業務プロセスを変革、新薬開発のスピードアップを実現~
2020年11月5日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、製薬企業と医療機関をシームレスにつなぎ、治験業務プロセスを変革する治験トータルソリューションプラットフォーム「PhambieLINQ™(ファンビーリンク)」を、製薬企業向けに2020年12月より販売開始します。
PhambieLINQは、治験の計画から承認申請までの一連のプロセスにおいて、製薬企業内や製薬企業と治験を実施する医療機関の間でシームレスに、データの連携・共有を可能とする、業界横断型のプラットフォームです。「治験関連文書作成効率化」「臨床データの収集支援」などの機能があり、今回第一弾として、臨床データの変換・転送を行うClinical Data Transfer(以下、CDT)を提供します。CDTでは、医療機関で作成された臨床データファイルを、セキュアなネットワークを介して製薬企業側のデータベースに転送することが可能です。これにより、医療機関におけるデータ転記作業やミスを削減し、治験のスピードアップに貢献します。
NTTデータでは今後、2021年以降、PhambieLINQの各ソリューションを順次提供予定です。これらのソリューションの提供を通して、治験に関わるさまざまな業務の効率化・データ品質の向上に寄与していきます。
背景
NTTデータは長年、製薬企業の治験業務ソリューションや医療機関へ各種システム、ネットワークソリューション等を提供し、詳細な業務フローや関係法規制などのノウハウを蓄積してきました。また、複数の製薬企業や日本トップクラスの高度専門病院とデザイン思考を活用したワークショップや実証実験注1を行い、治験業務のさまざまな課題解決に向けた具体的な検討を進めてきました。
こうした取り組みを通して、NTTデータでは広範な治験プロセスを最先端のIT技術でつなぎ、治験業務の効率化を図る製薬企業・医療機関横断型の治験トータルソリューションプラットフォームPhambieLINQを開発し、第一弾として、医療機関から製薬企業へ臨床データを報告するプロセスをサポートするCDTを2020年12月より販売開始します。
図1:PhambieLINQイメージ全体図
Clinical Data Transferの概要(特長)
治験では、一般的に、医療機関が製薬企業のEDC注2システムに診療時のデータを入力して症例報告書を作成し、臨床データを報告しています。しかし、医療機関は診療時に電子カルテシステム等にデータを入力・保存するため、症例報告書作成時には、電子カルテシステム等のデータをEDCシステムへ手作業で転記する作業が生じています。
CDTは、CDISC注3標準準拠の臨床データファイルを扱い、医療機関から製薬企業への当該ファイルの転送およびデータ変換を行います。本ソリューションを利用することで、医療機関における転記作業や転記ミス等を是正し、同時に、製薬企業側のデータ品質を保つことにかかる労力、負担を大幅に削減します。
医療機関・製薬企業間のセキュアなデータ転送
医療情報を扱うネットワークとして豊富な実績のある「L-AXeS®」注4を採用し、セキュアな共同利用型ネットワーク基盤を構築します。医療機関・製薬企業間をつなぎ、セキュアかつ低コストで臨床データの転送を実現します。
臨床データを各製薬企業の症例報告書に合わせて変換
CDTは、各製薬企業の標準に合わせた用語変換や翻訳を行います。これにより、症例報告書の作成にかかる医療機関の労力と、正確性を担保する業務注5にかかる製薬企業の労力の双方を削減するとともに、臨床データの品質向上にも寄与します。
図2:Clinical Data Transferイメージ図
今後について
NTTデータは、PhambieLINQの他ソリューションについても順次提供を計画しており、主に治験計画段階における治験関連文書の作成を効率化するソリューションを2021年度に提供開始予定です。また、治験実施段階における、医療機関での臨床データの収集支援を行うソリューションを2022年度に提供を予定しており、新薬開発の効率化に向けた仕組みづくりに貢献していきます。
注釈
- 注1プロトタイプシステムを用いて、対象業務の稼働削減等の効果や実現性を確認する実証を行っています。
- 注2EDC(Electronic Data Capture)は、臨床データを電子的に収集する仕組み、もしくはそのシステムのことです。
- 注3CDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)は、臨床試験データの世界標準の開発、管理・更新等を行い、関連する組織を運営している団体の名称です。
- 注4「L-AXeS」は、臨床検査における依頼・報告等の医療情報の送受信を、オンライン上でセキュアに実施可能とする共同利用型サービスで、30社以上の企業、2,000以上の医療機関で利用されています。http://www.l-axes.info/
- 注5症例報告書の正確性を担保する業務(SDV:Source Document/Data Verification)は、製薬企業が医療機関から報告を受けた症例報告書と各医療機関の電子カルテシステム等に保存された情報とを突き合わせ、その正確性を担保する業務です。
- 「PhambieLINQ」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
- 「L-AXeS」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ
株式会社NTTデータ
第二公共事業本部
社会保障事業部
関根、中川
TEL:050-5546-7752