自由貿易協定活用に伴う業務を最大40%効率化する「JAFTAS®」がRCEPへ対応開始 ~関税減免効果による輸出企業の価格競争力確保に必要な手続きを迅速化~
2021年10月1日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)が株式会社東京共同トレード・コンプライアンス(以下、東京共同)と提供する、自由貿易協定(以下、FTA注1)活用支援システム「JAFTAS®」(読み:ジャフタス)は、2021年10月1日から地域的な包括的経済連携協定(以下、RCEP注2)に対応開始します。
JAFTASはFTA活用時に輸出企業に求められる輸出品のMade in Japan(原産性)証明を支援するシステムで、既に大手自動車メーカーをはじめ鉄鋼、素材、化学、電子部品メーカーなど1,400社以上が利用しています。協定ルールのマスタや標準化された業務フローに基づく原産資格調査機能、証明書類の作成と保管、輸出者と仕入先のコミュニケーションなど、一連の作業をシステム上で実現し、FTA専門家のサポートとともにサービスを提供します。
今回、RCEPの発効に先駆けて対応することにより、輸出企業がRCEPの関税削減効果を発効後速やかに得るために必要な原産性証明業務をサポートします。こうしたDXによる効率拡大が、日本の自動車業界はじめ、輸出企業の競争力強化に直結すると考えています。
背景
近年、日本と主要貿易国・地域間でFTAが相次いで発効され、日本の輸出企業にとって関税減免の恩恵を受ける機会が広がってきています。FTAを活用し関税減免の恩恵を受けるためには、輸出品の原産性(製品や部品が日本の原産であること)を証明する必要があり、自動車メーカーの場合、数万点にもおよぶ構成部品の証明と、多数の部品メーカーの協力が不可欠です。こうした負担の大きい原産性証明業務を軽減するため、自動車業界では業務や帳票の標準化活動注3にいち早く取り組んできました。その結果を受け、東京共同とNTTデータはJAFTASを開発し、2020年9月より提供を開始しました。注4
新協定へのJAFTAS®の対応
JAFTASはサービス開始以来、日英協定(2021年1月1日発効)、TPP11協定ペルー加入(2021年9月19日発効)、日タイ協定 附属書二の改正(2022年1月1日発効)等、経済連携協定の制度対応に迅速に対応してきました。今回、早ければ2021年末とも言われるRCEP発効に先駆け、2021年10月1日より、RCEPによる原産性証明業務をJAFTASの標準サービス内で対応します。RCEPは日本、中国、韓国などと東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の合計15カ国で構成され、世界最大の自由貿易圏を創出するFTAです。減免対象となる貿易取引の規模が大きく、さらには、中国、韓国に対して初めて日本が締結する協定となることから、日本企業に大きな経済メリットをもたらすことが期待されています。
図表1:RCEPの参加国と日本からの輸出インパクト
「JAFTAS®」の特長
JAFTASは、原産性証明業務のプロセスや必要な情報をクラウド上でシステム提供し、それをFTA専門家がサポートするソリューションです。システムの提供と専門家によるサポートにより、原産性証明業務に不安や負担を感じる方も安心して業務を進めることが可能で、大きく以下のような特長があります。
原産性証明業務に必要な業務プロセスや情報を網羅的にシステム提供しています。
- 日本が締結している18協定のルールや対応HSコードをデータベース化しており、証明作業を効率化
- 「関税分類変更基準」「付加価値基準」の2つの原産資格判定機能を搭載し、判定結果に基づく根拠書類(対比表、計算ワークシート)を作成することが可能
- 日本商工会議所合意の証明書類を発行可能。根拠書類は調査に紐づけシステム内で保管可能
- 輸出者が仕入先を招待し、調査の依頼/回答がシステム内で完結
- FTA制度変更時もFTA専門家が迅速にシステムを更新し、最新のルールに対応可能
FTAを初めて利用する方でも原産性証明業務を行えるようFTA専門家が支援します。
- システムや協定ルールなど、不明点をFTA専門家のサポートを受けながら調査を進めることが可能
- 仕入先もFTA専門家のサポートを無償で利用可能
- 原産性証明の制度・手続きが分かる漫画形式のガイドブックや、動画コンテンツを閲覧可能(2021年後半に追加予定)
「JAFTAS®」の効果
自動車業界における導入企業の事例では、業界内の標準化活動や、FTAを活用するための体制、業務構築に加えてJAFTASを導入することで、煩雑な手作業が大幅に削減されています。仕入先からの原産資格調査結果回答率が50%から76%に改善され、また、回答リードタイムが最大4割削減されるなどJAFTAS導入の効果が表れています。
図表2:JAFTAS利用による効果イメージ
新プラン JAFTAS®Lite
今回のRCEP対応と合わせて、輸出量が比較的少ない企業でも利用しやすい、「JAFTAS®Lite」プランを新設します。既にJAFTASを仕入先として利用している企業は、現在利用しているアカウントで自社輸出に対する原産資格調査が作成可能です。自社輸出の原産資格調査と、輸出者からの調査依頼に基づく原産資格調査の両方に対応し業務を効率化します。なお、契約利用希望者向けにJAFTASの新プランについて説明会を開催します。詳細は以下よりご確認ください。
JAFTAS新プラン 契約利用希望者向け説明会
日程:2021年11月4日(木)14:00~15:30
お申込みはこちらから https://tktc2.resv.jp/
今後について
NTTデータは東京共同と、日本全体でのFTA活用の加速に伴い、一層高まると想定される原産性証明業務のシステム化ニーズにJAFTASで対応していきます。システム提供とFTA専門家によるサポートにより、RCEP及びFTAの更なる活用促進を推進し、自動車業界にとどまらず日本の貿易やグローバルロジスティクスの発展に貢献していきます。
注釈
- 注1自由貿易協定(FTA)とは、国や地域間の取引でかかる関税や規制を緩和し、物品やサービスなどの貿易の拡大を促進するための協定です。FTAに加え、投資や知的財産権などより広範囲の取り決めを経済連携協定(EPA)といいます。
- 注2RCEPは日本、中国、韓国などと東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の合計15カ国で構成され、世界最大の自由貿易圏を創出する経済連携協定です。減免対象となる貿易取引の規模が大きく、さらには、輸出最大国である中国と輸出量上位の韓国に対して初めて日本が締結する協定となることから、日本企業に大きな経済メリットをもたらすことが期待されています。
- 注3自動車部品工業会HPで掲載:https://www.japia.or.jp/topics_detail1/id=1136
- 注4自動車業界が標準化を支援、自由貿易協定活用支援システムを提供開始
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2020/061900/
自動車輸出にまつわるFTA活用の深刻な問題と解決に向けた業界のアクションとは?
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/033001/
- 「JAFTAS®」は株式会社東京共同トレード・コンプライアンスの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
- 株式会社東京共同トレード・コンプライアンスは、「JAFTAS®」の運営のため東京共同会計事務所の100%出資により設立された会社です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
公共統括本部
第一公共事業本部
第二公共事業部
第一営業担当
篠田、石川
TEL:050-5546-7776
E-mail:epateam@kits.nttdata.co.jp