人事制度・育成

高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力し、社員の多様な専門性・志向に応じた学習を推進しているほか、高い専門性に応じた処遇の実現等、社員の自律的な成長を促す制度を整備しています。

育成方針・仕組み

当社グループの教育・育成の原点は、社員が自発的に目標を持って「学び成長したい」と考えることです。
高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力しています。

国内における人財の育成

NTTデータグループ社、NTTデータ、NTT DATA, Inc(国内)では、実務教育(OJT)を要に、それを補完するものとして集合・オンライン研修(OFF-JT)を充実させています。
各職場では、育成責任と育成指導の役割分担を明確に定め、社員が自身の年間学習計画を設定する制度を設けることで、職場・社員双方へ組織的に働きかけ、学習意欲を高めています。2022年4月には、新たな人財育成基盤OliveOneを導入し、社員の多様な専門性・志向に応じた幅広いコンテンツの整備、学習の設計と獲得スキルの見える化、コミュニティ学習を通じた共創促進と学びあう風土の醸成を進めています。

教育・育成の考え方

研修体系

NTTデータグループ社、NTTデータ、NTT DATA, Inc(国内)では、ビジネスパーソンとしての総合能力(ジェネラリティ)向上とプロフェッショナルとしての専門性(スペシャリティ)向上の2つの視点から、社員の役職や業務に応じて必要な研修を適切なタイミングで受講できる環境を整えています。事業環境やテクノロジーの変化に応じて進化を続け ており、2024年度の「新入社員研修」では、業務遂行に必要なスキルの育成に加え、コンサルティング要素のロジカルシンキング・ドキュメンテーションのカリキュラムを強化しました。また、各階層別研修では、自律した人財に成長していくために必要なマインド・能力の基盤を形成するためのプログラムを導入しました。

人財育成体系

総合能力(ジェネラリティ)
専門性(スペシャリティ)

プロフェッショナルCDPによる人財育成の仕組み

NTTデータグループ社、NTTデータ、NTT DATA, Inc(国内)、国内グループ会社では、社員が高度な専門性と変化対応力を有するプロフェッショナル人財となることを目的に、当社におけるめざすべき人財像や成長の道筋を示し、その専門性とレベルを認定する制度として「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」を2003年以降、約20年にわたり運用しています。「プロフェッショナルCDP」は、若手社員から役員までの一人ひとりの自律的な成長を支援するもので、「プロがプロを育てる」という思想に基づき、所属組織のタテの関係性のみでなく、組織を越えた専門性のカテゴリーによるヨコ、ナナメで指導しあう仕組みとして機能しています。また、海外でも米国グループ会社が行っている「NTT DATA Learning Certification Institute(NLCI)」等の取り組みにより、専門性の認定を行っています。2023年度にはこれらの取り組みを通じて国内外で22,600人が新規認定され、延べ128,900人超が当社グループで認定されています。
プロフェッショナルCDPは、事業環境、テクノロジーの変化に応じて進化を続けています。2019年度には「ビジネスディベロッパ」、「データサイエンティスト」、2020年度にはITスペシャリストの専門分野に「クラウド」を追加、2021年度にはデジタルビジネスを牽引する人財として「デジタルビジネスマネージャ」、エンドユーザー視点で新たな価値を提案する「サービスデザイナ」、プロジェクトマネージャの新たな区分として「アジャイル」を追加、2022年度には「ITサービスマネージャ」に顧客価値向上の観点を追加しています。

プロフェッショナルCDPの人財タイプ

専門性に応じた多様なキャリアパス

社員の有する多様なスキルの更なる発揮にあたって、社員一人ひとりが専門性に応じた多様なキャリアパスを実現する制度を整えています。
NTT データグループ社、NTT データ、NTT DATA, Inc(国内)では、Advanced Professional(ADP)制度を2018年12月に創設し、卓越した知見を持った旬のビジネスを牽引する即戦力人財を外部からも獲得できるようにしました。本制度は、内部登用も可能としており、2024年7月1日時点で、内部登用4人、社外採用8人の計12人が認定を受けてい ます。加えて、2019年10月にはスペシャリストのキャリアパスを実現するTechnical Grade(TG)制度を創設しました。
本制度は2024年7月1日時点で、215人が認定を受けています。2020年7月には社員の多様な強みの発揮による価値創出を最大限に引き出すために、その職務が生み出す価値をベースとしたジョブ型雇用制度であるFlexible Grade(FG)制度を創設し、2022年7月より管理職すべてに適用しました。

キャリアパス体系

自律的なキャリア構築の支援

自律的なキャリア構築については、社員自らがキャリアビジョンを描き、実現に向けて「自律的に学び、成長したい」と考えることを原点として、社員の成長が会社の成長につながり、会社の成長が社員の更なる成長機会提供へとつながる「成長の好循環」を通じて、お客様や社会への高い価値提供を実現することを掲げています。
従来、直属上司とのコミュニケーションの中で社員自身のキャリア像のすり合わせを行っていましたが、更なる自律的キャリア構築を促す取り組みとして、2023年度から従来の取り組みに加え、より上位の上長と社員とのキャリア面談を導入し、社員が描く中長期的なキャリアビジョンを把握し、ありたい姿の実現に向けた行動の支援を実施しています。

自律的キャリア形成のプラットフォーム

また、2024年度から、社内のキャリア有識者に気軽な相談ができるキャリアメンタリングや、「今持つ専門性の進化」及び「新たな専門性の獲得」を通じて、成長した各自の総合力の発揮による多様な価値創出をめざすことを目的としたデュアルキャリアプログラム(社内兼業)等のキャリア形成支援を強化しています。
社員に挑戦機会を提供し、多様な働き方で多様な人財が活躍できる会社、会社の成長とともに社員一人ひとりが自分のめざす目標に向かって成長を感じられる会社、この会社で働きたい・働き続けたいと思ってもらえる魅力ある会社を実現していきます。

評価の仕組み

NTTデータグループ社、NTTデータ、NTT DATA, Inc(国内)では、社員の雇用形態にかかわらず、成果・業績・行動を重視した処遇体系を整えています。社員それぞれが期待される「ビジョンの実践」と「プロフェッショナリティの向上」を発揮し、「成果・業績」を上げることを社員の行動スタイルとして定着させています。
勤務評定については、一人ひとりが上司と面談をして個人目標を定め、その成果に対する評価を行うほか、複数の評価者による評価も実施するなど、多様な側面から透明性のある評定が全社員に実施されるよう努めています。上司との個別面談は「目標設定面談(期首)」「目標振返り面談(中間)」「目標振返り面談(期末)」「行動・業績評価フィード バック面談(4月頃)」と年4回の機会を設けており、全社員対象に実施しています。「目標設定面談(期首)」では、当該年度の目標などについて上司と部下が認識を合わせ、上司からアドバイスなどをしています。「目標振返り面談(中間)」「目標振返り面談(期末)」「行動・業績評価フィードバック面談」では、達成した成果・業績と目標達成のプロセスを上司と部下が一緒に振り返り、更なる改善と成長に向けたアドバイスと動機づけを行っています。
契約社員についても業務達成度等を報酬に反映させる仕組みを導入しているほか、長期にわたり活躍できる人財と判断した場合は、正社員として採用しています。

事業成長を支える人財、経営人財の育成の取り組み

デジタルビジネスをリードする人財育成の取り組み

デジタル人財の育成を強化しており、約2カ月間の集中プログラムでデジタルスキル習得を図る「Digital Boot Camp」等の育成プログラムを2019年度から開始し、技術者の育成を進めています。また注力技術領域(Cloud、D&I、Cyber Security、EAS、ADM、Edge as a service)を定め、最先端技術が学べるグローバル共通の教育プログラムにより、クラウド技術者30,000人以上の育成を実現しています。
お客様のバリューチェーンの変革に注力するとともに、生成AIを活用した抜本的な業務効率の向上やイノベーションの促進、企業文化の醸成等社内バリューチェーンの変革を推進するため、GenerativeAI推進室を設立し、生成AI人財育成に取り組んでいます。生成AI人財育成として、全社員向けの基礎知識を有するレベル(Whitebelt)から、生成AIを活用したプロジェクトで価値提供できるレベル(Yellowbelt、 Greenbelt)、プロジェクトをリードし後進を育成するレベル(Blackbelt)までのレベル設定に応じた人財像と育成ロードマップを描き、2024年度末までに生成AIのプロフェッショナル人財15,000人の育成を目指しています。

加えて、デジタル化によるビジネス及びテクノロジーコンサルティングのニーズ拡大を背景に、Foresight起点のコンサルティング力の強化を行っています。コンサルティング人財の育成として、方法論(Foresight Design Method)の整備や研修プログラムの開発・実施により、営業人財・SE人財をはじめとする既存社員のリスキルを進め、2023年度は650人がトレーニングを受講し、2024年度も1,200人の受講を予定しています。現在、国内グループ全体では2,400人以上がコンサルタントとして活躍しています。

生成AI人財育成体系

1,5000 Gen AI Talents

グローバルマーケットで活躍できる人財の育成

NTTデータグループ社、NTTデータ、NTT DATA, Inc(国内)では、海外事業の急速な拡大に伴い、市場や競争環境の変化に応じて柔軟に活躍することのできる人財の育成を進めています。
日本国内で採用した人財に向けては、グローバルマーケットで活躍できる人財の育成を目的としたプログラムを各階層に展開しています。2024年度からグローバルな実務経験を有する社員の育成によりフォーカスし、海外案件への若手社員の派遣を支援するBusiness Acceleration Assignments(BAA)プログラムや、経営幹部育成のプログラムに参加することで多様なチャンスを得られるNTT Universityへの参加を通じて、社員がグローバル対応力を強化できる多様な「場」を提供しています。
グローバルに活躍できる幹部人財の育成として、全世界のグループ会社合同で、次世代を担う経営層を育成するための Global Leadership Program(GLP)を2009年から実施しています。GLPでは、グローバル/ローカル両面の戦略に対する課題を検討し、その両面からOne NTT DATAを実現するためには何が必要か、何をすべきかを自分ごととして考えることを目的としており、GLPに参加した当社グループの海外人財はすでに350人となりました。(2023年度のGLP新規修了者は33人)。
世界50カ国・地域超に広がる社員の多様性と個性とを尊重し合える育成の場を実現することは、当社グループのダイナミズムそのものであると考えています。このような様々なグローバルのプログラムから輩出された卒業生は累計930人となり、より高みのあるビジネスに挑戦する原動力となっています。

グローバル人財の育成フレーム

また、2022年8月に世界6カ国に立ち上げたイノベーションセンターでは、先進技術に対する感度が高いイノベータ顧客と共創R&Dを行い、世界トップクラスの先進技術の活用ノウハウを有したグローバルチームを組成しており、世界各地域でのプロジェクトへの参加・ネットワーク形成を通じて日本国内で採用した人財の育成にもつながっています。2024年7月には世界11カ国に拠点を拡大し、人数も当初100人から約220人に増加し、グローバルマーケットへの対応力を強化しました。その他、グローバル系研修の一環として、海外留学研修制度も用意しており、欧米大学でのMBA取得を支援しています。

経営人財の育成

NTTデータグループ社、NTTデータ、NTT DATA, Inc.(国内)では、変化の激しい環境においても経営を牽引するグループ経営人財の中長期的な育成に多角的に取り組んでいます。グループ経営課題の解決に直接取り組むスタッフ業務へのジョブアサイン・グローバル事業へのジョブアサイン、体系的な経営関係知識の獲得と社外リレーション構築 を目的とした外部セミナー・研修等への派遣、現役の役員との対話により経営哲学を学ぶ機会の提供(役員塾)、NTT持株会社が主催するNTT共通の経営人材育成プログラム「NTT University」への参加など、幅広い施策を通じて、意欲と能力を兼ね備えた次世代の経営人財を育成しています。これまでの取り組みの成果として、現在組織長等タレン トプールに所属する日本人人財は約110人となっています。

経営人財管理の全体像

また、海外人財についても、これらの経営人材育成プログラムへのインテグレーションを進めています。前述のとおり、NTTデータグループが主催するGLPに参加した当社グループの海外人財は、すでに350人となりました。海外幹部のサクセッションマネジメントはこれらの人財を基本的な母集団として外部機関のアセスメントを活用しながら実施しています。
今後も当社グループの持続的経営を支える経営人財の育成をグローバルに高度化していく予定です。