NTT DATA

DATA INSIGHT

NTT DATAの「知見」と「先見」を社会へ届けるメディア

キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
background-image-careers
2015.9.29技術トレンド/展望

[第40回]マイナンバー制度の本質は何か?今後の展開で何が求められるか?

いよいよ2015年10月から、個人番号と法人番号の通知が開始され、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が本格的に始まる。このマイナンバー制度の本質は何だろうか。また今後何が求められるか。

1.マイナンバー制度で整備されるもの

マイナンバー制度では個人番号や法人番号、個人番号カード、マイナポータル、情報提供ネットワークシステムなどのツールが新たに創設される。また公的個人認証サービスについてもサービスの追加や検証者の拡大などが行われる。

こうしたツールやサービスは、全体として、個人や法人を一意に特定するもの(識別子)が付された情報を必要に応じて要求・提供するための仕組みを構成している。この仕組みをマイナンバーインフラと呼ぼう。

2.マイナンバー制度の本質

そもそも、マイナンバー制度の本質はどのようなものだろうか。

マイナンバー制度の本質は、社会の各所に分散している情報を時間や空間、制度を超えて紐付け、その紐付けされた情報を活用することで付加価値のあるサービスを提供することにある。

付加価値のあるサービスの提供までできなければ、情報を紐付けする意味がない。また付加価値のあるサービスを作り上げるための情報の活用が十分でないと、サービスの価値は低いものとなる。こうしたとき、マイナンバー制度は制度として機能していないことになる。

たとえば、「マイナンバーを導入すれば税の不公平が是正されるというものではない」との意見がある。確かにその通り。マイナンバーが得意なのは情報の紐付けを低コストで確実に行うことである。そしてこの紐付けられた情報を使って税の不公平を是正するのは税制となる。税制改正まで行われない限り、つまり付加価値のあるサービスまで行き着かない限り、マイナンバーのメリットを享受できない。マイナンバー制度の構成は、マイナンバーインフラのうえに、社会保障や税などの制度のインフラが載っているというものだ。

3.マイナンバー制度の今後の展開に向けて求められること

こうしたマイナンバー制度の本質を踏まえた今後の課題は、次の5点である。

  • 対象拡大

    情報の紐付け対象をどのように拡大していくか

  • 利用機関拡大

    紐付けられた情報を活用する機関(組織)の拡大をどう考えるか

  • 情報活用

    紐付けされた情報をどのように活用するか

  • 付加価値創造

    付加価値のあるサービスをどのように作り上げるか

  • 社会的懸念への対応

    情報の紐付けに関連して懸念されることにどう対応するか

今後のマイナンバー制度の展開は、これらの課題を踏まえて検討される。例えば対象拡大で規定路線化されているのは預貯金口座や戸籍などへの番号登録である。対象拡大で下地を作った上で、情報活用として、資産保有状況の迅速な調査や関係機関間での情報要求・提供による添付書類削減などが行われる。場合によっては紐付けられた情報を匿名加工しビッグデータとして分析して情報の意味を引き出し政策立案や政策執行状況のモニタリングを行うこともあり得る。そしてこれを適切な対象への迅速な公的扶助の支給や手続の簡素化といった付加価値創造につなげる。

一方、プライバシー保護など、情報の紐付けに関連して懸念されることへの対応も必要になる。漏えいなどが起きないようにセキュリティ対策などを進めることは大前提として必要だ。一方、適法な収集であっても、情報が集積されたときや紐付けられたときの社会的リスクをどのように捉えるかが課題になる。情報の集積は一方で平常時の利便性のあるサービスの提供や、災害発生時など緊急時の迅速な対応に繋がる可能性がある。その反面、マイナンバー制度検討当初から意識されていたように、集められた情報を元に行動が監視されるように感じられていくと、自由な行動が萎縮するおそれがある。違法に収集された場合には、集積された情報にもとづく詐欺などが発生するおそれもある。こうした情報集積そのものがもたらす課題を、どのように関知するか、罰則で規制するか、個人情報保護委員会が監督し是正命令を出すか、他の何らかの方法によるか、どのように解いていくかも問われる。

マイナンバー制度は、今後社会のインフラとなり活用されていくが、付加価値創造に向けた不断の制度改正や社会的懸念への対応などが行われて、育っていく制度でもあるのだ。このため、価値創造や懸念への対応を促すように、国民や企業がどのような社会を望ましい社会とするか、積極的に声を上げていくことが求められる。

お問い合わせ