NTT DATA

DATA INSIGHT

NTT DATAの「知見」と「先見」を社会へ届けるメディア

キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
background-image-careers
2017.10.2技術トレンド/展望

未来洞察と新たな選択肢

現象や想像を基に将来の姿を具体化する「未来洞察」。既存のやり方とは全く別の観点で課題を無効化するなど、解決の糸口を見つける「新たな選択肢」。今回は、先を見て挑戦するための2つの考え方を紹介します。

未来洞察

未来の洞察には、既存の現象から変化を抽出し未来に時間軸を伸ばしていく方法と、想像やSFなどの夢物語を中心に時間軸を現実に戻していく方法の、2つの方向性があります。

まず既存の現象から変化を抽出する方法について、人口増加割合などの数値データを用いて将来推移を算出する堅実なアプローチも可能ですが、今回は少し違った視点で、「変化の抽出=可能性を見出す」という捉え方にて、3D印刷技術を例に挙げて説明します。3D印刷技術が世に出た当初は、コストや使える素材の種類や材料の制約、処理の遅さ、粗さなどから、使い道は非常に限られる、もしくはビジネスとしては使い物にならないという話もありました。やがて、3D印刷は将来世の中を変えるほどのインパクトを持つ技術だと言い出す人が出てきました。可能性を感じたパトロンが研究開発費用を出し、性能が飛躍的に向上することで、現在は多くの工場生産を変革するほどの技術に成長してきています。まだ遠いですが、将来は自宅に3Dプリンターが置かれ、ECにおける配送が無くなるような話も夢ではないでしょう。

この話のポイントは、「3D印刷は将来世の中を変えるほどのインパクトを持つ技術だと言い出した人」です。当該技術がどのような可能性を秘めているのか、未来の完成形を見出し、具体的なイメージを伝えられる形で表現できれば、あとはお金と時間で解決する問題になります。未来の完成形を見出し具体化する洞察はあらゆる場面で有効であり、生活やビジネスを変革するレベルにまで技術が育つためには必須のプロセスだと考えています。いち早く見出すことができれば、ビジネスで先手を取れるでしょう。最近の例であれば、太陽電池の効率向上とコスト低下が進展すれば世界のエネルギー事情は将来大きく変わる、といった話がついに現実味を帯びてきたのがわかりやすい例と言えます。

もうひとつの方法、想像やSFなどの夢物語を中心に時間軸を現実に戻していく方法ですが、「こんなことできたらいいな」が基本となります。ある意味ドラえもん的な話に近いかもしれません。これまで多くの人が想像してきた「できたらいいな」技術やサービスは、SF映画や漫画などの形で表現されてきました。これを理想形として、実現するための技術を逆に作っていくアプローチになります。スターウォーズなど有名な作品は注目を浴びやすく、ホバーバイク(※1)など多くの想像が既に実現されつつあります。まだ実現されていないもので今後期待が大きいのは、テレパシーや夢への干渉など"脳"に関する分野でしょうか。フェイスブックやイーロンマスクも積極的に"脳"分野への参入を表明しており(※2)、近い将来は脳分野で大きなブレイクスルーが起きる気がしています。想像の実現には、「実現したい」という情熱が最も大きな推進要素になります。

  1. ※1 ホバーバイク
    https://www.hoversurf.com/(外部リンク)
  2. ※2 フェイスブックやイーロンマスクが脳分野へ参入
    http://blogs.itmedia.co.jp/dyamaoka/2017/04/brain-it-facebook.html(外部リンク)

新たな選択肢

次に、全く別の観点から課題を無効化するなど、解決の糸口を見つける「新たな選択肢」の考え方を紹介します。今回は身近な例として、混雑と待ちの解消を題材としてみます。

例えばエレベータの混雑と待ちを解消するにはどのような方法があるでしょうか。ひとつは、扉の開閉速度や上昇下降のスピードを向上する、台数を増やす、といったハード面での性能向上があると思います。また、エレベータの動作アルゴリズムを賢くする、といったソフト面での性能向上もあるでしょう。これらは現在の形を改善・強化する方向の発想と言えます。一方で、「新たな選択肢」の考え方では、既成概念や常識にとらわれていないか? 他に選択肢は無いのか? という観点で課題を捉え直します。例えば以下のような話はどうでしょう。

  • 同じフロアの人が固まって乗るようにする
  • 低いフロアの人ほど扉に近い配置で乗ることで、着床時の人の出入りを最適化する
  • 隣接するビルと連絡通路を設け、隣のビルのエレベータを併用する
  • 混雑を回避する行動に対してインセンティブを与える
  • 社員の半分をテレワークにする

同じフロアの人が固まって乗れるよう、状況に合わせて人工知能が各人のスマホに行動指示を出しても良いですし、同様に「かご」内のどの位置に乗れば良いか本人に知らせることで、出入りを最適化することも考えられます。エレベータ本体に対する施策だけではなく、乗る人達に対する打ち手もあるということです。また、隣のビルのエレベータを併用する方法は、ビル内という枠組みすら超えた対応策でハードルが高そうに見えますが、エレベータの混雑時間帯が異なれば有効です。社員証や顔認証などでセキュリティを確保し、双方にメリットがあれば実現可能でしょう。社員の半分がテレワークを実施すれば、エレベータを必要とする人が半減するので、混雑しなくなります。

このように、視点や発想を変えることで、新しい解決策を検討することができます。特にテクノロジーの進歩によってこれまで不可能だと思われていたことでも、現在もしくは近い将来には可能になっている場合があります。その領域はビジネスとして誰も着手していないブルーオーシャンの可能性が高く、期待できます。

NTTデータでも、お客様と共創ワークショップを実施する際、「新たな選択肢」を意識して、さまざまな観点で新ビジネスや新サービスを考えています。

図1:未来に目を向けよう

図1:未来に目を向けよう

まとめ

今回は「未来洞察」と「新たな選択肢」という2つの考え方を紹介しました。現代のように高度に情報化・ネットワーク化・可視化が進んだ世界では、あらゆるビジネスやサービスが急激なコモディティ化に晒されます。そのため、次に来るトレンドを捉え、自らを変化させながら常に先を見て挑戦し続ける姿勢がますます重要になるでしょう。

  1. NTT DATA Technology Foresight
    http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/index.html
お問い合わせ