ビッグデータの概念が2010年代に登場してから、新たに取得可能になったデータ利活用の検討が続けられています。金融機関は以前から経営管理やリスク管理などの業務に、基幹業務のシステムで生成された高品質のデータを利用してきました。一方、近年は取り得るデータの増加に対応した新たなデータの利活用方法やマネジメント方法の検討が進められています。
現在、利活用できるデータは主に3つに分類されます。
- 今までの業務で利用しているがデータ化されていない書類や画像など、従来は捨てていたデータ
- センサの普及などによって新しく取得可能になった、IoTデータや動画など、新たに発生しているデータ
- 業務上でシステムに登録されているデータなど、既に情報系システムで扱っているデータ
これらのデータの特徴とマネジメントのポイントを説明します。
図1:利活用できるデータ
(1)従来は捨てていたデータ
紙などの帳票はAI-OCRの技術進歩によって構造化データへの変換が可能になりましたが、未だ不完全な部分もあるため、非構造化データと合わせて保有することが一般的です。また、非構造化データから構造化データを抽出する際には、データ利活用のテーマにそった品質基準の設定が重要です。基幹業務では書類の記載内容を正確にデータ化することが求められますが、利活用や分析テーマによっては多少の誤りが認められる場合もあるため、基準を見極めてデータ化することが必要です。
また、データの内容が明らかな構造化データとは違い、非構造化データはどんなデータが登録されているか(何の書類なのか、誰がいつ取った写真なのか、構造化データと紐づける情報が何か等)の情報の管理が不可欠といえます。
(2)新たに発生するデータ
センサの普及によって新たに取得が可能となったIoTデータは、金融機関自身がセンサを設置するよりも、他社で保有しているセンサデータを受領して利活用するケースが増えています。他社の業務で生成されるデータはその業務の遂行のための基準は満たしますが、金融機関のデータ利活用に必要な品質を満たしているとは限りません。そのため、品質基準を満たさないデータが連携されないか定期的にモニタリングして確認することが必要不可欠になると考えられます。
(3)既に情報系システムで扱っているデータ
既に業務上でデータ化されている自社データを他社のデータ利活用のために提供する取り組みも進んでいくと予想されます。
他社にデータ提供するためには、社内規定や業務プロセスの変更などの事前準備が必要な傾向にあります。社外へのデータ提供に際しては、データが利活用できる範囲を明確にし、その範囲内で利用されているか監督することが重要です。
更に、他社へデータの提供をする場合は、その他社でのデータ利活用が金融機関の顧客の利益に貢献するかどうかも確認することも求められます。銀行における融資や債権管理、保険会社の保険料支払いなど、金融機関と顧客の間の業務に影響するようなビジネスに寄与するかどうか、他社のデータ利活用が金融機関の経営戦略やビジネスモデルと合致しているか、見極めることが重要です。
図2:経営戦略とデータマネジメントの関係
今後、センシングファイナンス™(※)の取り組みに代表されるような金融と他業種の連携が増えていくことが予想されます。多種多様なデータが取得可能で取り扱えるようになった今、経営戦略と整合したデータ利活用の方針「データ戦略」を明らかにし、それを実現するために必要な「データマネジメント」を実践していくことが肝要です。
「センシングファイナンス」の可能性:
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2019/051501/