顧客接点システムを成長させていくことが必須
デジタルシフトが加速するなか、顧客とのタッチポイントを経営戦略として捉える企業が増えています。お客様の事業をより発展させるためには、柔軟に顧客接点システムを成長させていくことがベストであると、NTTデータでは考えています。
株式会社NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 デジタルビジネスソリューション事業部 朝岡 慎治
重要となるポイントは、第1に「経営戦略」を見据えたビジネスモデルの再構築です。アパレル企業のノース・モールはカタログ通販というビジネスモデルから、EC、さらには新たな収益モデルへの進化を見据えています。
第2に「Global Standard」と照らし合わせた業務効率性の再検討です。グローバルで利用する顧客のベストプラクティスが詰まったSaaS型CRMを利用することで、成功している企業のシステムだけでなく業務のノウハウを活用することも可能になります。
第3に「顧客視点」に立った柔軟性かつ常に成長するシステムの調達です。ノース・モールはビジネスの起点を顧客視点とし、それに合わせる形で業務とシステムを刷新しました。
図1:経営戦略において求められる顧客接点システムの役割
顧客起点の基盤づくりの第一歩は「CRM活用」
現在、アパレル業界は構造的な問題を抱えています。端的に言えば圧倒的な供給過多の状況にあり、毎年、廃棄される衣服の量は消費される量を大きく上回っています。ひとりひとりの日々の発想や着眼点、働く際の基本姿勢、モノづくり、業務プロセス、顧客サービス、そうした経営のすべてを顧客や市場を中心に再構築しなければ、アパレル産業の未来はありません。
そこでノース・モールでは、顧客起点でビジネスを把握できる“仕組み化”に着手し、そこに業務やサービスを合わせていく形をとることにしました。この顧客起点の基盤づくりの第一歩が、CRMの活用です。電話とWebのように異なるチャネルで受注した場合でも、購入された方が同一であれば一人のお客様として認識し、より個人に合わせたサービスを提供するためのツールとして「Salesforce」を導入したのです。
ノース・モール株式会社 代表取締役会長 兼 社長 兼 CEO 前之園 世紀 氏
現場が感じられる“顧客提供価値の向上”へ
ノース・モールの取り組みにおける最重要ポイントは、とにかく腹を決めて徹底的にやり抜くことです。そして、やり抜くと決めたならば「CRMが経営戦略・経営改革に直結していること」「経営トップの理解と本気と積極的な関与があること」、そして何よりも「組織を越えたチームワーク」が必須となります。
仕組み化の最大ポイントは、顧客提供価値の向上を現場が肌で感じられるようにすることです。CRMから得られる多くの気づきに基づく商品開発やサービス開発など、現場から生み出される新しい価値がお客様にもたらす影響を肌で感じることで、取り組みを加速させるモチベーションにも繋げることができます。
この取り組みを重ねることでのみ、生きた情報システムや経営基盤を作っていく具体的なノウハウを蓄積することができます。
次のフェーズとしては、お客様が古着を販売して新商品を購入する「Sell-Old-Buy-Newバリューチェーン」の仕組み化にチャレンジしていきます。
図2:ノース・モールが徹底して取り組んだ顧客起点の基盤づくり
参考
- ※2020年9月 ノース・モール株式会社の社名変更に伴い、該当箇所を修正しました。
- ※本記事は、2020年1月24日に開催されたNTT DATA Innovation Conferenceでの講演をもとに構成しています。
講演資料のダウンロードは、以下よりお問い合わせください。