はじめに:コロナ禍で改めて問われるDigital Transformationの重要性
新型コロナウイルス流行の長期化に伴い、さまざまな企業が組織戦略の方向転換に迫られています。人と人との物理的な接近・接触を回避しつつ、新たなビジネススタイルを確立するうえで、「Digital Transformation(以下、DX)」の重要性がより一層認識されてきています。NTTデータでは以前から、Scaled Agile Framework®(以下、SAFe®)を活用することでお客さまのDX実現をサポートし続けていますが、今後もこうした活動は今後も拡大していくことでしょう。本記事では、NTTデータにおけるSAFe®の普及状況と成果の一部についてご紹介したいと思います。
組織のBusiness Agilityを高めるSAFe®
組織一丸となって市場ニーズの変化に適応し革新的なソリューションを提供し続ける能力のことを「Business Agility」と呼びます。DXを成功させるために、このBusiness Agilityが重要であることは、想像に難くないかと思います。SAFe®はBusiness Agilityの実現を強力にサポートするフレームワークとなっています。一例として、SAFe®が提唱するポートフォリオ管理手法を導入することで、従前の組織にありがちな鈍重な意思決定プロセスが改善され、経営層の考えが速やかに現場に浸透するようになります。また、「Agile Release Train」と呼ばれる大規模かつクロスファンクショナルな開発体制を導入することで、Scrumのような少人数チームでは実装不可能な規模のソリューションを、複数チームが連携しながらスピーディーに市場に提供することが可能となります。
図1:SAFeのBig Picture(※)
NTTデータにおけるSAFe®の取り組み
NTTデータでは近年、SAFe®の公認コンサルタントであるSAFe Program Consultant(以下、SPC)の育成と増員に努めています。SPCの人数は現時点で海外OpCoを含めたNTTデータグループ全体で100人に迫る勢いで増えており、NTTデータはSAFe®の提唱元であるScaled Agile, Inc.社から「Gold Partner」に認定されています(2020年8月時点)。また、その他のSAFe®資格取得者(以下、Non-SPC)の育成も積極的に進めています。対面トレーニングの開催が困難な状況ではありますが、NTTデータでは短期間でリモート研修を提供する準備を終え、既にトレーニングを再開しています。私も本年度に入ってから5回以上のリモートトレーニング講師を務め、100人を超えるNon-SPCを育成いたしました。こうした営みは国内に留まらずグローバルに進めており、海外OpCoを含めたNTTデータグループ全体のNon-SPCの人数は、本年度中に1000人を超えることが確実となっています。NTTデータとして、世界中のあらゆる業種のお客さまに対し、DX実現を強力にサポートする体制が整いつつあると言えるでしょう。
こうした活動は既に実を結びつつあります。一例として、とある外資系保険会社から「グローバルにSAFe®導入を進めたい」というご要望を頂きました。「世界各地にSAFe®の有識者が存在し、密に連携し合いながらご支援できる」というNTTデータとしてのケーパビリティを速やかにご提示した結果、NTTデータグループはpreferred supplierとして選定いただきました。その他、国内でも製造業や金融業をはじめとするさまざまなお客さまにSAFe®の導入を進めており、着実に成果を上げ始めています。
今回は一部の事例をご紹介させていただきましたが、今後もSAFe®を活用したDX実現の事例は増えていくことでしょう。成果は引き続き、積極的に発信させていただきますので、どうぞ楽しみにお待ちください。
おわりに
コロナの感染拡大が進む現状において、今までどおりのビジネスを推進できなくなっており、あらゆる企業が苦境に立たされています。しかし、これは見方を変えると、新しいビジネスチャンスとも言えます。NTTデータでは、本記事でご紹介したSAFe®のみならず、さまざまな取り組みを通じて、お客さまのDX実現をサポートし続けていきます。