キリンビール福岡工場へAIを活用した濾過計画システムを導入

~年間約1,500時間の時間創出を実現し、生産性向上に貢献~
サービスインフォメーション

2019年3月25日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ、代表取締役社長:本間 洋)は、ビールを製造する醸造工程において、AIを活用して最適な濾過計画を立案するシステムをキリンビール株式会社(以下:キリンビール、代表取締役社長:布施 孝之)と株式会社NTTデータセキスイシステムズ(以下:NTTデータセキスイシステムズ、代表取締役社長:近藤 賢)と共同で開発し、2019年3月上旬からキリンビール福岡工場で試運用を開始、4月から本格稼働する予定です。

当システムの導入により、今まで熟練者が最大6.5時間程度かけて立案していた濾過計画が最短30分に短縮され、年間で最大9割強、約1,500時間程度の効率化につながります。工場では、創出された時間でさらなる品質向上に向けた取り組みや、熟練者からの技術伝承を進め、高い品質管理レベルの製造体制を維持します。

NTTデータは今後も、AI&IoT技術を活用し、お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援していきます。

背景

お客さまの価値観が多様化する中で、生産部門においては、これまで培ってきた生産プロセス技術をさらに効率的に活用できる生産設備・システムを構築していく必要があります。

キリンビールは、AIやIoTを活用したさまざまな取り組みによって生産性を向上させ、働き方改革を推進するとともに、より高品質なモノづくりの実現に取り組んでいます。そこで今回NTTデータと共同で、ビールを製造する醸造工程において熟練者の知見に頼る部分多く、さまざまな条件を勘案しながら立案する「濾過計画業務」に、AIを活用して最適な計画を立案するシステムを開発しました。

概要

本濾過計画システムは、ビール醸造における濾過工程注1において、払出元の貯蔵タンクと使用する濾過機、受け入れ先の製品タンクの組み合せを自動で割り当て、計画を立案するための仕組みです。自動割り当てのロジック部分にAI注2を活用しています。

図:濾過計画システムイメージ

濾過計画システム概要

  1. 1.内容
    発酵したビール類から酵母や原料を濾過する工程の計画立案作業をAIによって自動化します。ビールの製造計画やタンクの使用状況、品質分析データ等に対して、予め設定した制約条件を元に濾過計画を自動判定することで、これまで1回あたり最大6.5時間かかっていた作業を30~60分に短縮できます。なお、計画実行の際は計画担当者によるチェックを行います。
    制約エンジン開発には、スタッフの勤務計画作成や製品検査計画作成等への応用例があるiZ-C(制約プログラミングを行うためのNTTデータセキスイシステムズ社開発ライブラリ)を利用し、複雑な制約を考慮した計画を出力する事を実現しています。
  2. 2.稼働開始時期
    キリンビール福岡工場:2019年3月上旬に試運用開始、4月に本格稼働予定

各社の役割

  • キリンビール:濾過計画の検証
  • NTTデータ:プロジェクトの全体管理、業務設計
  • NTTデータセキスイシステムズ:AIエンジン(制約プログラム)の開発、チューニングの実施

今後について

本システムの導入により創出された時間で、工場ではさらなる品質向上に向けた取り組みや、熟練者からの技術伝承を進め、高い品質管理レベルの製造体制を維持します。

NTTデータは、AIやIoTを活用したさまざまな取り組みによって生産性を向上させ、働き方改革を推進するとともに、お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援していきます。

注釈

  • 注1濾過工程とは、熟成を終えたビール類から酵母や濁りの原因となるタンパク質を取り除くための工程です。
  • 注2生産計画、配送問題などのスケジューリング問題を解くための方法論(制約プログラミング技術)をAIとして定義しております。
  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
製造ITイノベーション事業本部
KIRINビジネスアライアンス統括部
アライアンス企画
阿部、中村
TEL:050-5546-9114

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