アレア品川に睡眠解析ができる最新鋭のスリープテックホテルを開業
~睡眠データを活用した健康増進パーソナライズ・サービスへの本格参入~
トピックス
2023年12月6日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、2024年7月より自社保有のアレア品川(東京都港区港南1丁目9番36号)の1階に睡眠解析に特化したカプセルホテルを開業します。ホテル事業を展開するナインアワーズ、スマートウオッチのFitbitとの協業により、スリープテック、フードテック、ウェルネスデータを融合させた健康増進の新事業に本格的に参入します。2027年には、グローバルで1,000万人の睡眠データ(30,000床)を取得し、世界最大規模での睡眠データの蓄積・分析サービスを提供します。
当該ホテルでは、脳波センサーなどの最先端のセンサーテクノロジーに加えて、深部体温を推計する事で、体内リズムの可視化をするNTT研究所が開発中であるセンサーも試験的に活用する予定です。これらから得られるデータをもとに、本人同意のもと、NTTデータが睡眠データの取得・蓄積・解析を行います。利用者は、自身の睡眠データ、深部体温を知ることができ、さらに睡眠解析レポートを通じて、個人の健康状態や体内リズムに合わせた最適な睡眠環境を把握することができます。
また、本人同意のもと、これらデータから個人情報を削除した状態で、食品・飲料・消費財メーカーや、製薬・医療機器メーカーに対してデータ提供することで、新規事業、商品・サービス等、複数の検証のスピーディーな実施を可能とします。
さらに、展望として、睡眠の取り組みを皮切りに、生活シーンでウェルネスチェックができる環境を整備し、医療データへの拡大により、オンライン診療を含む、未病から治療までの一貫した体験の提供を目指します。
NTTデータは今後、睡眠データのみならず、さまざまなパーソナルデータの活用と解析によって蓄積したノウハウを用いて、ひとりひとりに合ったパーソナライズ・サービスを提供し、ヘルスケア関連事業において2030年までに、累計売り上げ300億円規模の事業を目指します。
背景
多くの生物にとって「食」は、生命維持のための営みですが、人間にとってはそれに留まりません。味わいやシチュエーション、一緒に食べる人との会話といった複合的な要素を含めると、心の豊かさや満足感をももたらすものです。人とのつながりやコミュニケーションにも密接している「食」は、食べる人のQOL(Quality of Life)や社会性を高めるなどの役割も担っています。
こうした食によって人々の健やかな生活の実現を目指すという考え方を、NTTデータは「Food&Wellness」と呼称し、情報技術の活用により、生活者が食を通じて心身ともに健康でより良い生活を送ることができるよう、取り組んでいます。
さらに、近年、睡眠時間の減少が話題となっており、慢性的な睡眠不足状態にある人が増えています。日本人の睡眠時間は世界各国と比較しても特に短く、経済協力開発機構(OECD)の2021年版の調査によると、日本人の平均睡眠時間は加盟国30カ国のうち最下位です注1。睡眠は人間の生命活動において重要な役割を担っており、睡眠時無呼吸症候群だけでなく、高血圧や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病など、さまざまな疾病と密接な関係にあります注2。
一方で、睡眠の時間や質は、既存の健康診断の検査対象となっておらず、生活者自身も睡眠状態を把握することは容易ではなく、意識変化や行動変容が起こりづらい課題があります。
取り組み概要
株式会社NTTデータグループの自社ビルであるアレア品川ビル(東京都港区港南1丁目9番36号(JR品川駅港区港南口直結))の1階に、睡眠解析を実施できるナインアワーズのカプセルホテルを開業します。NTTデータは、当該ホテルのオーナーとして、本人同意のもと赤外線カメラ、集音マイク、体動センサーを用いて睡眠データの取得・蓄積・解析を行うとともに、食品・飲料・消費財メーカーや製薬・医療機器メーカーの新規事業、商品・サービス等、複数の検証をスピーディーに実施できる場を提供します。さらに、希望者には「Fitbit」を提供し、日常の睡眠モニタリングデータを取得します。また、睡眠解析レポートに加え、ひとりひとりの健康状態や体内リズムに合わせた最適な睡眠環境を提供するため、NTT研究所による睡眠との関連が深いとされる体内リズムの可視化をするセンサーの試験的な活用を行います。将来的には、健康データおよび睡眠データによるより高度な解析、生活者に最適なレコメンドアルゴリズムの提供を目指すとともに、今回の開業を皮切りに、同様のコンセプトの睡眠解析ホテルを全国に展開する予定です。
以下、睡眠データの活用による各者へのメリットです。
ホテル利用者
各種機器により収集されたデータをもとに、NTTデータが睡眠解析レポートを作成します。利用者は、自身の睡眠データ、体内リズムを知ることができ、それにもとづいて作成された睡眠解析レポートを通じ、個人の健康状態や体内リズムに合わせた最適な睡眠環境を確認できます。さらに、希望者にはホテルでGoogleのスマートデバイス「Fitbit」を提供し、ホテル外での日常の睡眠データも収集できるサービスを企画中です。
将来的には、睡眠解析データ・Fitbitデータ・健康診断データなどを統合解析することで、ひとりひとりに合った睡眠改善プログラムや食の提案を行っていく予定です。
食品・飲料・消費財メーカー、製薬・医療機器メーカー
各種メーカーが進める新規事業、商品・サービス等においても、ホテル利用者の睡眠データの活用が可能です。従来では、睡眠解析データから睡眠の質や傾向を図ることはできましたが、原因がアルコールの摂取か、食事時間の問題であるか等、生活者自身が原因の見当をつけることが難しく、改善アクションをとりづらいということがありました。しかし、これらの統合されたビッグデータを用いれば、似た属性・健康状態の人がどのような睡眠状態にあるか等、近しい人の睡眠傾向から比較し改善ポイントを知ることができるため、より効果的なアクションを生活者に提案することが可能になります。
ホテル概要
名称 | 未定 |
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住所 | 東京都港区港南1丁目9番36号 |
定員 | 70床 |
備考 | 取得された睡眠データは、本人の同意なしに第三者へ提供することはありません。 |
本ホテルで用いる各社のソリューション
1.Food&Wellnessプラットフォーム|NTTデータ
NTTデータは今後拡大するWellness市場×パーソナライゼーションの進展を見据え、生活者の健康情報を活用したFood&Wellnessの取り組みに注力しています。「Food&Wellnessプラットフォーム」サービスでは、NTTデータ社員約1200人(2022年7月時点)の健康データを活用することで、新規事業や新規マーケティング施策の有効性を確認するPoCを速やかに実施できます。
健康診断データに加え、ゲノムデータ、バイタルデータといった、さまざまなパーソナライゼーションに必要なデータを活用できる基盤となっています。
(Food&Wellness公式LP:https://foodwellness.nttdata.com/)
(Food&Wellnessサービスインフォメーション:https://www.nttdata.com/global/ja/news/services_info/2021/111900/)
2.Fitbitを活用した日常の睡眠モニタリング、Google Cloudを活用したビッグデータ解析|Fitbit&Google Cloud
Fitbitは、毎日の睡眠の質・運動量などを記録し、健康状態を確認できるウェアラブルデバイスです。Google Cloudを導入することで、クラウドコンピューティング環境の構築、AI活用、ビッグデータ解析、高度なデータ管理基盤の構築といったDXの推進が実現可能です。
Fitbit端末を身に着け、生活者の1日のライフサイクル(心拍データや睡眠ログ等)を可視化し、健康意識向上、行動変容を促すだけでなく、多種多様なバイタルデータをGoogle Cloudを活用して多面的に分析することで、生活者のウェルビーイング向上の課題解決に貢献します。
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Google Cloud の詳細については以下をご確認ください。
https://cloud.google.com/?hl=ja
3.睡眠解析サービスによる疾病の早期発見の実現|9hours
カプセルホテルを運営するナインアワーズの睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」は、カプセルの形状を生かし、赤外線カメラ・集音マイク・体動センサーを使って、同意を得た利用者の宿泊中の睡眠データを収集、解析するものです。NTTデータとナインアワーズは、生活者が無意識のうちに、パーソナルデータの取得・活用ができる世界の実現に向けた第一歩として、現在、Sleep Lab事業(睡眠解析+カプセルホテル)を企画しており、生活者の1日の約1/3を占める睡眠に関する課題解決に貢献します。
4.体内リズムの可視化をめざしたウェアラブル深部体温センサー|NTT物性科学基礎研究所
深部体温は医療現場でも用いられる重要なバイタルサインですが、近年、体内リズムを反映する指標としても注目されています。深部体温は体の核心部の温度であるため、測定を精確に行うためには体腔内にセンサーを挿入する必要があり、負担が大きいことが課題です。NTT物性科学基礎研究所では、熱の流れに着目し、体にセンサーを貼るだけで深部体温を測定可能とする技術の研究を行っています。
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NTT物性科学基礎研究所、深部体温センサーの詳細については以下をご確認ください。
体内リズムの可視化をめざしたウェアラブル深部体温センサ技術|NTT R&D Website(rd.ntt)
今後について
今後は一般の生活者を対象に、睡眠データのみならず、健康診断データやさまざまなウェルネスデータを取得・統合し、データ活用へとつなげていく「Food&Wellnessプラットフォーム」の実現を目指します。取得・統合したデータを用いて、医療機関や専門家との共同研究や、食品・飲料・消費財メーカー・不動産・金融などの幅広い業界を巻き込み、さまざまなパーソナルデータの活用と蓄積した解析ノウハウを基にした一人一人に合ったパーソナライズ・サービスの提供で、2030年までに累計売り上げ300億円規模の事業を目指します。将来的には、医療領域のデータへの拡大により、オンライン診療を含む、未病から治療までの一貫した体験の提供も目指していきます。
NTTデータが描く食品業界の未来
NTTデータは、業界・技術のForesight起点で未来を構想し、共創パートナーとしてお客さまの成長とビジネス変革を実現していきます。食品業界においては、消費者の健康意識への高まりを背景に、パーソナライズ化/デジタル化が進む生活者接点領域を中心に、国内のみならず世界の動向を調査することで食の未来を予見・創造し、「食✕テクノロジー」で食品メーカーとともにデジタル化を推進していきます。
NTTデータが取り組む「Food&Wellness」について
Food&Wellnessでは、将来的には“Anytime Wellness Check”、生きるすべてのシーン(24h)でウェルネスチェックができる世界、すなわち生活者が能動的に行動しなくても、パーソナルデータの取得が可能な世界を実現し、食品・飲料・消費財メーカー・不動産・金融や医療機関と共創しながら、生活者のWell-being向上を目指します。
株式会社ナインアワーズについて
ナインアワーズは、2013年に設立された世界最大のカプセルホテル運営会社です。
国内24施設/4000床を運営管理し、年間100万人お客さまを迎えています。
2021年からは、宿泊されたお客さまの睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」を開始し、5万人強の睡眠データベースを保有しています。
(株式会社ナインアワーズHP:https://ninehours.co.jp/)
注釈
- 注1 「令和3年度 健康実態調査結果の報告」(https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000904748.pdf)
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注2
[e-ヘルスネット]睡眠と生活習慣病の深い関係:三嶋和夫
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
専門家に聞きました今日から使える睡眠トリビア:監修 栗山健一
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/minna/sleep/
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本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第二インダストリ統括事業本部
食品・飲料・CPG事業部
第1ビジネス統括部
ビジネス担当
横堀、大西、佐治
E-mail:fwsales@kits.nttdata.co.jp